表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

第5話 宇宙船の発射場

翌朝、サイオンの家には重苦しい空気が漂っていた。YUTAKAとミューズは、夜通しガスを説得し続けたが、「行かない」の一点張りだった。


「じいちゃん、なんでだよ!なんで一緒に来てくれないんだよ!」


YUTAKAは語尾を強め、苛立ちを隠せない。ガスは深くため息をつくと、冷たい声で言い放った。


「お前みたいなクソガキと生活するのは飽きたんじゃ。あと、忘れているぞ。大切な本」


ガスがテーブルにそっと置いたのは、YUTAKAが宇宙への夢を抱くきっかけとなった、あのボロボロの『アンドロイドの現在と未来』


YUTAKAは何も言わず、その本をイスの下に置いてあったバックパックに押し込んだ。ガスの言葉は、まるで冷たいナイフのようにYUTAKAの胸に突き刺さったが、彼の表情からは、それ以上の感情を読み取ることはできなかった。


ドンドンドンドン!


突然、家の静寂を破るような激しい音が響き渡った。「おい、早く開けろ。ここにいるのは、わかってんだよ!」野太い声が外から聞こえてくる。


YUTAKAが恐る恐るカーテンを少し開けると、そこには数人のハンターが立っていた。彼らの視線は鋭く、獲物を狙う獣のようだ。


「いいか、ここが私が食い止める。だから、早く行くんだ」


ガスの声は静かだったが、その中に揺るぎない覚悟が宿っていた。ドアが足蹴にされ、今にもこじ開けられそうな状況だ。迷っている時間はない。


「ミューズ、行こう!」


YUTAKAはミューズの手を強く握り、裏口へ向かおうとした。


しかし、ミューズは「駄目、YUTAKA!」と強く抵抗する。ガスを置いていくことに耐えられないのだろう。


「ミューズ、じいちゃんの気持ちを無駄にするのか!」


YUTAKAの言葉に、ミューズの力が一瞬弱まった。


その隙を逃さず、彼女を引っ張って外へ飛び出した。


裏口に回っていた一人のハンターが、二人の姿を見つける。「いたぞ、こっちだ!」


YUTAKAは拾ってきたばかりのホバーバイクにミューズを乗せ、自分も飛び乗ると、一気にフルスロットルで走り出した。


止めようと前に飛び出してきたハンターを轢き飛ばし、土煙を上げながら、宇宙船の発射場がある場所へと向かう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ