第4話 ハンター
YUTAKAの宇宙への夢は、新たな情報によって一変した。ホバーバイクでの情報収集を続けていた彼は、耳を疑うような噂を耳にする。
この惑星、サイオンにアンドロイドを捕まえる専門のハンターたちが上陸したというのだ。
まさか、ミューズの存在を嗅ぎつけたのか?YUTAKAはすぐに家へ戻り、ガスとミューズにそのことを話した。
「なんてことだ。それがホントならまずいことになる」ガスの顔に険しい表情が浮かぶ。
ミューズは小さく震えながら、絞り出すような声で言った。「ごめんなさい。私のせいで。私のせいで、二人を危険に巻き込んでしまって……」静かに頭を下げ、謝罪の言葉を繰り返す。
ガスはYUTAKAとミューズを交互に見た。そして、ふと何かを決意したように、YUTAKAに言った「手を出しなさい」
YUTAKAが差し出した手に、ガスは一枚のカードキーを渡した。古びた金属製のそれは、しかし不思議な光を放っているように見えた。
「これは……」YUTAKAは驚いてガスの顔を見上げた。
「宇宙船の発射場に入るカードキーじゃ」ガスは静かに答えた。
「じいちゃん、なんで持ってるの?そんな大切なものを!」YUTAKAは信じられないといった様子で声を上げた。
ガスはフッと笑った。「いいじゃろ、そんな昔のことは。それより早く寝なさい。明日出発しなきゃならんじゃろ?」彼の言葉には、有無を言わせぬ強い意志が宿っていた。
「お爺さまも一緒に来てくれますよね?」ミューズが、小さな期待を込めてガスを見上げた。
ガスは一瞬間を置いた。そして、コップに入った水を一口飲むと、ゆっくりと首を横に振った。
「それは出来ん話じゃ」
それだけ言うと、ガスはYUTAKAとミューズに背を向け、自分の部屋へと入っていった。
軋むドアが閉まり、部屋には重い沈黙が残された。彼の背中には、何かを深く秘めた覚悟のようなものが感じられた。残されたYUTAKAとミューズは、その場でただ立ち尽くすしかなかった。