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薬屋ジョゼ、準備中

どうも、作者です。9話です。

かなりの日常回です。ゆるゆるです。

朝日が昇っている。中々にフカフカなベッドの上から目を開ける。気持ちがいい。昨日の疲れもずいぶんと抜けていた。うん、よし二度寝を決め込もう。


「ジョゼさん、起きてください。やることがあるでょう?」


「...。あと一時間」


「ダメです。窓開けますよ」


んぎゃあ。光が、光が強制的に私をたたき起こしてくるゥ! だが、私はこの程度では負けはしない! 私は布団バリアを展開する。だが、容赦なく布団をはぎ取られる。私の安眠を邪魔するのは誰だ! バンカさんだ! くっ、勝てない。


「朝ごはん作りましたから。食べましょう」


「......はーい」


バンカさんと向かい合って席に着く。朝食はスープとパン。すごくおいしそう。


「バンカさん、料理もできるんだ」


「あまりやりませんが」


照れくさそうに謙遜するバンカさん。でも実際美味しい。スープは具は少なめだが、スパイスの量が程よく朝の弱った胃を覚醒させ、パンに自然と手を伸ばしてしまう。これは幸福の味だ~。


「昔はよく作っていたので、今でも手になじんでいて良かった」


「あんまり作らないんですか? おいしいのに」


「今は忙しいですし、ギルドの食堂ですましてしまいますね」


ん? それってつまり今日は私のために朝食を作ってくれたってこと? 普通に申し訳ないような。でも今は用意してくれたものを堪能せねば。


「お姉さん! 俺にもないのか朝食!」


く、シゼルめ。水を差しやがって。あと失礼。


「シゼルさんってご飯食べるんですか?」


確かに


「いや食わなくてもいいが、味は分かる! だがらほしい!」


「なら、今から余っているの用意しますね」


そう言いながら、バンカさんが少しだけスープを皿に注ぐ。


「お嬢、瓶を机の上においてくれ!」


「私が主人なんだけど~」


そう言いながら、しょうがなく机の上にシゼル入り瓶を置く。


「感謝しろよ~」


「おう! ありがとうお姉さん!」


「私にも感謝しろ!」


「どういたしまして」


スープとパンがいつの間にかなくなっている。


「ごちそうさまでした。おいしかった!」


「いえこちらこそ、おいしそうに食べてくれてうれしかったです」


食べおわって、部屋着から外用の服に着替える。バンカさんの部屋着を貸してもらったおかげで気持ちよく眠れた。洗濯手伝ったほうがいいかな。にしても、バンカさんの服はいい匂いがする。oh、バンカさんのにおい。にしても、胸元...。意外にあるんだなぁ。まぁ、私はスレンダーなだけだな。


「ジョゼさん準備できましたか?」


「ん、はい」


バンカさんも昨日と似たような見た目になっていた。多分のギルドの制服なのだろう。昨日も思ったが中々に良デザイン。なんというか、私の好みに、というか、こっちの世界の雰囲気がある。転移者が広めたんだろうか?


「では、出ましょうか」


「はーい、でも先に出てくれてもよかったのに」


「ジョゼさんゆっくりですからね、私だけさっさと出てもよかったですね」


まぁ、そうなんだけど。でもやっぱりバンカさんと一緒に出たかったから、そういわれると、ちょっと。


「んふふ、冗談ですよ。純粋に防犯の都合で一緒に出ないといけないので、どのみち待っていましたよ」


どのみちということは、一緒に出てくれていたのか、うれしい。というか、確かに私じゃあ施錠とかできないや。


バンカさんと並んで歩く。といっても途中までだが。


「さて、ここでお別れですね。商人街道の方に行くのですよね」


「はい」


商売のノウハウを聞くためにバーレさんを探しに行かなければ。ギルマスさん曰く、新米の商人ならそこで露店を開いているだろうとのことだったから、そこに行ってみようということになった。


「バンカさん、泊めてくれてありがとうございます」


「いえ、ギルマスに言われたことですし。何より、面倒を見るといったのは私ですから」


バンカさんは、真面目な顔でそういったあと、優しく微笑んでくれる。


「ありがとうございます」


感謝してもしきれないな。




さて、商人街道にやってきた。といってもすぐ見つかるとは思えないので、少しぶらつこうと、


「そこのお嬢ちゃん! 買っていかないか!」「こっちにいい商品があるぞ!」「どうだい! 見ていかないかい!」


少し歩いただけですごい勢いで声を掛けられる。なんというか、エネルギーがすごい。よく見たら若い人が多い。多分みんな、新米なのだろう。ギルマスさんがそう言ってたし。だが、ダメだ。今すぐ逃げ出したい。こんなに声をかけられるのは慣れてないのだ。


「おーい! そこの嬢ちゃん、ここで寝るのはおすすめしないぜ、なんせうるさいからな」


「いや、こんなとこで寝ない、バーレさん!」


声を掛けられ、振り向いてみるとそこにいたのはバーレさんだった。


「おう嬢ちゃん。二日ぶりだな! 商人街にくるとは探しものかい?」


「あなたが探しものです」


「俺?」


バーレさんに事情を説明する。ただし、転生者という部分は隠して。ギルマスさんからは、ギルド関係者の姪で強いスキルを持っていたことからスカウトされた。そこで冒険者をやる予定だったが、最終的に新しく作る薬屋の適正があることを見込まれ、そのまま薬屋をやる羽目になった。という設定を与えられた。


「ということなんです」


「へー、なるほどね。それで商人にノウハウを聞こうってことか」


「せっかくなら知り合いに、と」


「なるほどねぇ、ま、教えてやってもいいぜ。俺はまだ新米だぜ?」


「新米でも、バーレさんなら信用できますから。単純にお店を開くの手伝ってほしいですし」


「はっはっは! 打算ありきか、いいぜ! ただし」


「対価ですよね? わかってます」


私は自信満々に言う。こういうのは、なんというんだっけ、岐阜アンドテイストだったか。相違のが重要である。お父さんも言ってた。


「おう話が分かるね! 何してくれるんだ?」


「何も考えてません! とりあえずなんか買います!」


「肝心なところ適当じゃねえか!」


そういえば、何も考えていなかった。まぁ、あとで一緒に考えてもらおう。


「ま、いいや。とりあえず手伝えばいいんだな?」


「はい」


「といっても、手伝ってもらうのは明日からなんですが」


「いやいや、今日からはさすがにむずいぜ。俺にも仕事があるからな」


あ、そうか。それなら明日からも大変じゃないか?


「え、じゃあ明日もきついのでは」


「いや明日からは大丈夫だ。手伝うなら明日の場所争いはしなくていいからな」


場所争い? 私はつい首をかしげる。


「あぁ、ここ特有の文化でな。固定の店を持たない人間は、毎日店を片付けなくちゃいけなくてな。ようは、毎日朝早くに店を出す場所を確保しなきゃいけねえんだ」


へ~、すごく大変そう。


「ただし、場所さえ取れればかなりの人間が買いに来るから、品さえちゃんとしてりゃ、俺みたいな新米の商人のものでも他所の町よりずっと売れる。税も安いしな。そういう場所なんだよ」


なるほど、どんなに大変でも、儲けが確実に出る。それなら確かに、ここでみんな商売をするのもうなづける。


「それじゃあ、明日、どっかで待ち合わせするか」


「わかりました、じゃあ、ギルドの角で」


「わかった」


バーレさん、話が早くて助かる。正直、バンカさんと同じくらい、お世話になってる。


「このあとはどうすんだい?」


「せっかくですし、バーレさんの店連れてってください」


「おう! いいぜ」


バーレさんの店にいって、商品を見た。主に売られていたのはガラス細工と麦だった。どちらもバーレさんの故郷から持ってきたものらしい。主に売れているのは麦らしい。なんでも、名産なんだとか。


私は昨日もらったクエストクリアの報酬金でガラスのコップと、瓶を二つ買って(おまけしてくれた、うれしい)、ギルドに行く。


ギルドで昨日言った待合室に入った後、とりあえず残しておいたフリッグ草を使って回復薬を作ってみる。元々、バーレさんとの交渉に成功したら、ここで薬を作ってみろと、ギルマスさんに言われていたのでそうする。どのみち、バンカさんが仕事終えるまで、おうちに入れないし。


「ということでシゼル、お願い」


「任された!」


という訳で、びたCの瓶にフリッグ草を詰める。詰めると一瞬で黒い靄の中に吸い込まれていく。それと、たしか、砂糖っぽいやつを入れる。これが、回復ポーションにするのを促進する上、飲みやすくするらしい。あまり使えないらしいが、これが植物からできているなら作れるな。


「完成!」


「お、意外にあっさり」


これなら、数も作れそうだ。


「よーし後はうつすだけ」


ということで、さっきバーレさんから買ったガラス瓶をとりだす。


「ほい、お願いシゼル」


「おうよ!」


シゼルが入った瓶をもう一つのガラス瓶の上に置く。すると、シゼルから液体がでてきて、ガラス瓶に注がれていく。


「うん、かんせ~」


私はできたガラス瓶に鑑定をする。


治癒ポーション:回復効果・中


うん、成功した。これなら、薬屋は開けそうである。


「さて、明日は頑張りますか~」


「おう!」





読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字・コメントお気軽にどうぞ。

バンカさんも、バーレさんも優しすぎる。

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