特に何も変わってない?
どうも、作者です。87話です。
久々の薬屋での一日です。
帝都に帰ってきてから、数日。私は久々の自分の家を謳歌していた。久々に自分の家を掃除してみたり、料理をしてみたり、本を読んだり。やはり我が家はリラックスできて最高である。
・・・いや、ダマ―ヴの町にいた時とあんまり変わってない。それに、掃除に関しては、私がいない間は、バンカさんが空いた時間にやっていくれていたらしい。単純に感謝。
「主殿! 依頼を受けてくるぞ!」
「うん、いってらっしゃい」
そう言いながら、レンズを伴ってイサムは外に出る。イサムは完全に我が家に居ついた。というか、ここが家になったのだ。何せイサムは私の従者になったのだから。というか番犬?
とはいえ、そもそも従者になる前から、家に泊まっていたから別に変わったところはない。正直に言えば、従者になったからといって前と変わったところというのがない。本当に期限付きだった家に泊めるというのがずっとに変わっただけである。
イサムといえば、帰ってきてから三日目のことを思い出す。私の疲れを考慮して一日空けて、ギルマスから呼び出されたのだ。そう、イサムのこれからに関して。
といっても、基本的にはこれまで通りでいいだろうという判断になった。とにかく、帝都をメイン拠点として帝国中心に依頼を受けていく形になるというだけだ。しかしそこはSSランク冒険者、時には遠くまで遠征することもあるだろうと。
そこについては、少々手間がかかった。そう、イサムがあまり私から離れたくないということで。まぁ、忠犬的にはやはりあまり離れたくはないのだろう。だが、そこは常にレンズをつけることで私の状況を把握できるようにした。それでも、渋々といった形だが、命令という形で納得させた。
ついでに、レンズにギルマスと連絡できる装置を取り付けることで、私に何かあったら、レンズ越しにギルマスにも伝わる形だ。これなら問題はないだろう。ということになった。
「う~ん、よくよく考えると私って常時監視状態になるのでは?」
「ジョゼさんは目を離すと危ない目にあいがちですから」
「あ、バンカさん」
店に来たのはバンカさんだった。
「今日は休みか! お姉さん!」
「ええ、今日はお休みです。最近忙しかったのですが、大分楽になりまして」
私はいつも通り紅茶を入れて、バンカさんに差し出す。
「ありがとうございます」
「そんなに忙しかったんだ。やっぱり例の魔獣災害?」
最近まであったという魔獣災害についてだろう。イサムが倒した魔獣、神災魔獣というらしいその魔獣によって起きた、魔獣の活性化、私たちはそれのせいでしばらく帰れなかった。
「それもありますが、解放された皆さんの手続き関連がとにかく忙しくてですね」
「ああ、あそこにいた人たちは大丈夫だった?」
「はい、ジョゼさんのおかげで、誰一人として命に別状はありませんでした。改めて、ありがとうございます」
「いいよ、この前も聞いたし」
バンカさんにお礼を言われるのはこれで三回目だ。別にそんなにお礼を言われても仕方ない。
「それは・・・そうですね、感謝だけしても仕方ありませんね」
そう言うバンカさんの顔は少し苦しそうだ。何もやれなかったことを悔やんでいるのか、私を死地に送り込んでしまったことを後悔しているのか。そんなの気にしなくてもいいのに。
「バンカさん、これからも私のこと見守っててね。それが、私が一番うれしいお礼だからさ」
「そうだぞ! お姉さんが思ってるよりお嬢は頑丈だからな!」
いつもなら突っ込むところだが、今日のところはうなずいてやろう。
「・・・そうですね。これからも、こうやってお喋りさせてください」
「うん、あいやでも、むしろ私を王様に会ってた時の態度の方が気に食わないかな!」
「あ~、それは本当にすいません。流石にあの場面は忖度はできず、それに、ジョゼさんにちゃんと液がある話ですから」
それはそうだが、ひどいと思う。
「せめて、事前に教えてよね~」
「それしたらお嬢確実に逃げてたろ」
私はシゼルの言葉に言い返せない。それはそうなんだが、バンカさんはそうでしょうねといわんばかりにカップを傾けた。
「でも今のところは何にも変わってないかな~」
「まぁ、そんなに急ぎのようもないですから。それにジョゼさんの場合何かあっても、召喚獣を貸し出すだけになるでしょう?」
まぁ、十中八九そうなるから、多分私は普通に店を開けるだけだろうけど。
「それに、ジョゼさんは変わりましたよ」
「・・・そう?」
ちょっと前にバーレさんにも言われた気がする。そんなに変わったんだろうか?
「やっぱりわかんないや」
「ジョゼさんはそれでいいんですよ」
「バーレさんとおんなじこと言ってる」
「あらそうですか?」
う~ん、まぁ二人とも私にとっては一番付き合いの長い二人だし、仕方ないかもね。
「そういえば、ジョゼさんはずいぶんとレベルが上がったんじゃないですか?」
「うん、もうレベル70になってた」
「ということはつまり」
そう、新しい召喚獣が召喚できるようになっているのである。
「しかも、もうすぐレベル75になるから同時召喚数上がるんだよね」
今までの感じからして、レベルが25の倍数の時に同時召喚数が上がってるから、多分75で上がるはず。
「それは、なんというかより強くなるということですか」
少しだけ困り顔のバンカさん。まぁ私的には強くなる理由があまりないので、別にいいけど。でも普通に召喚数が増えるのは助かる。やっぱり多い方が便利なのだ。
「まぁ、これからは召喚獣を使う機会も多くなるだろうし、増えるのはいいですね」
そのあとも、うだうだと話しているうちに、レーシュとウロクが来た。
「こんにちは~、ジョゼさん」
「今日も来たぞ~、紅茶出せ」
私は疲れていそうなレーシュに出せ紅茶を差し出した。
「ありがとうございます」
「あれ? 俺の分は?」
「レーシュ大丈夫? 休んだ方がいいんじゃない?」
「いえ、休んでいた分を取り戻さなければいけませんわ。休んでいた間の試験なども受けることにしたので、そううかうかとしてられませんわ」
「でも無理はよくないと思うぞ!」
言いぐさ的に、自分から試験を受けるに行ったなレーシュ。何と殊勝な心掛けなんでしょう。でもシゼルの言う通り無理はよくないぞ。
「あの~、ちびちゃ」
「まぁ、レーシュは自己管理できるほうかもだけどたまには怠惰になったほうがいいよ。すごく楽になるからさ」
「ジョゼさんが言うと説得力がありますね」
「そうですわね、もう少し休めるように調整しますわ」
レーシュなら大丈夫だろうが、私の方でも気を付けておこう。
「あの、すいません、ジョゼさん。こうちゃ」
「さて~、掃除でもしようかな~」
私は立ち上がって掃除しようとする。
「すいませ~ん! さっきの謝るから! 無視しないでくれー!」
ウロクが私の足に縋り付きながら、そんなことを言う。態度が悪いやつが、というか
「私より年上の奴が私の足に縋り付くな~!」
「言うほど俺は年とってねーよ! 俺今年で22だし!」
あれ言うほど本当に言うほど年取ってないぞ・・・? いやそれでも私よりは年上じゃないか! 多分!
「こ、こんにちは~」
「うーっす。ってどういう状況だ?」
すごいタイミングで、イドハさんとバーレさんがやってくる。
「バンカさんは疲れた時、どうしてますか?」
「気合ですね」
薬屋の中はずいぶんと大変なことになってた。いつも通りだけど。まぁ、一か月以上ぶりでも、少しにぎやかになったけれど、やっぱり私の日常は変わっていないらしい。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
やはり、特に変わっていないいつも通りの日常です。変わったことはあれど、きっとこの薬屋の中は変わらない気がします。
ちなみに、ウロクの年齢はこっちの世界換算だと19歳ぐらいで、ジョゼとは三歳差くらいです。アラサーくらいだと思ってました。実はバーレさんの方が年上だったりします。




