日常に、
どうも、作者です。82話です。
今回からは、ある種の後日談のようなものです。ということでもう少しだけお付き合いいただけると幸いです。
作戦決行から次の日、私はギルドの一室でだらだらしていた。とにかく面倒ごとが終わったのでやることがなくなった。
解放した人たちも、西の貴族の皆さんに基本任せることになったし。とはいえ少し信用できないが、モロゾフとレーシュもついていったから大丈夫だだろう。
レーシュとモロゾフがいなくなったことでこの場に残っているのは最初の四人だけになった。
「ジョゼ様、紅茶はいかがですか?」
「おねが~い」
「はい」
「完全に力抜けてるなちびちゃん」
ウロクがそんなことを言ってきた。そういうウロクも椅子に座って楽な姿勢をしているので人のことは言えないが。
「ま、まあ私のするべきことは終わりましたから」
「うむ、イドハ殿の言う通りだな!」
イサムも賛同している通り私たちのやることは終わったのだ。
「俺とイドハちゃんはともかく、お前ら二人はかなりやばい戦いだったのに、よく平然とだらだらできるわ」
「そ、そうですね」
「はっはっは! この程度でへこたれる体ではないのでな!」
イドハさんは気まずそうに顔を背けている。まぁ、私以外知らないから仕方ないけど、イドハさんもかなりの激闘を繰り返していたのだが。
とはいえ、確かにかなりの激闘だったが、ライフとシゼルのおかげで特に昨日の疲れなどはあまり残っていない。それは、イサムもイドハさんも同じだろう。というか、イサムもやばかったが、レーシュもやばかった。詳細は聞いてないが、一体何十人、いや何百人と戦っていたのやら。けがはそれほどでもなかったけど、とにかく疲労と魔力がやばかった。
多分私がいなければすぐ出発できる状態ではなかっただろう。というか本当はきっちり休んでほしかったのだが、事後処理のために出ないといけないと聞かなかった。貴族ってのは大変だね。
「そういえば、皆様は帝都に戻るんですか?」
「とりあえず、あと五日はいるな」
今朝がたにギルドに対する完了報告を送ったから、その返事が来るまではここにいる段取りだ。そのためしばらくはここでだらだらする予定である。
「そ、そうなんですね」
「うむ、なのでしばらくはここに世話になる!」
イドハさんは少しうれしそうだ。まぁ、私もイドハさんと一緒に入れるのは少しうれしい。
「そ、それでしたら魔獣討伐をしてくれると」
「主殿」
「うん?」
何で私に話し降るんだ?
「許可を頂けぬか?」
あ~、そうか。そうだ、私イサムのご主人様になったのか。完全に忘れていた。となると、これからイサムの動きは私が決めることになるのか。
「ほ、本当にジョゼ様が灰氷様の主になったのですね」
「まぁね」
イドハさんが尊敬のまなざしでこっちを見てくる。本当にただの成り行きだし、正直未だに実感などないけど。
その光景をにやにやとした顔でウロクが見てくる。何だこいつ。まぁいいや。
「うん、いってきてイサム」
というか、これからもイサムには冒険者業をやってもらうべきだろう。ずっと家にいさせても、宝の持ち腐れだし、何よりこの世界に五人しかいないSSランク冒険者なのだ。
「相承知した!」
「あ、できればウロクついていってくれない? 今レンズいないからさ」
完了報告の手紙はレンズにおくってもらっているので、イサムの案内役が私かウロクしかいないわけで
「なんで俺なんだ?」
「私が面倒くさいから」
すごい、あきれ果てた目で見てくるウロク。しかし、すぐに息を吐いて立ち上がる。
「しょうがねえなぁ、代わりにしっかり休めよ」
「大丈夫~、私休むことしかしないから」
ウロクはそういえば、と少し目を見開いて少し笑う。
「それもそうだな」
「ということで行ってくるぞ! 主殿!」
「うん、いってらっしゃい」
結局この場所には二人だけ、厳密にはもう一匹いるが私とイドハさんだけが残った。
「イドハさん、昨日はちゃんとやれた?」
「・・・はい、ありがとうございました、ジョゼ様」
「そ。それならよかった」
イドハさんの方もちゃんとやれたらしい。何があったか、それは詳しく聞かないことにする。今の私には一切関係ない話だ。
「ジョゼ様」
「ちょっと待って」
「は、はい」
ふむ、せっかくイドハさんのことをしっかり知れたのだ。本当は二日前の時点で言うべきだったが、あの時の私は少し冷静じゃなかった。今考えても少し自分らしくなかったような気がする。
「私のこと、様付けしなくていいよ。だって、友達でしょ?」
私は、笑ってそう言う。今までは何となくで流していたが、やはり様付けというのは何となく気恥ずかしい。年も全然私が下だし、様付けされる理由がない。
「え、え~と」
イドハさんはすごく恥ずかしそうに、顔から熱を発している。だが、私がそれで容赦すると思わない方がいいぞ。
「ほらほら~、私のこと、う~ん、よしちゃん付けにしよう」
「ちゃ、ちゃん付けですか!?」
そうだ、ちゃん付けだ。まぁ、バンカさんとかレーシュは私にさん付けだし。今のところ私のことをちゃん付けする人はいないんだけど。ウロクのあれ(ちびちゃん)は別。
「え、え~と、ジョ、ジョゼちゃん」
顔からぷしゅーという音が聞こえそうなほど顔を真っ赤にして目が回っている。まだ名前を読んだだけなんだが、これらかなれるでしょ。
イドハさんが、少し落ち着いたころ。
「イドハさん、私も呼び方変えた方がいいかな?」
「・・・いえ、これからも私のことはイドハと呼んでください。イドハという名前も、私にとって大事な名前なので」
「そう、じゃあこれからはイドハちゃんと呼ぼう」
「あ、いひゃ、こ、心の準備ができないのでこ、これからも今まで通りとか、呼び捨てで~」
ありゃ、また目を回しちゃった。まぁいいか。まぁ、魔人の年齢感覚がどんな感じかわからないけど、めちゃくちゃ年上だし、からかうのはこれくらいにしておこう。
「それで、お嬢に何か聞きたいことがあったんじゃないか!」
と、シゼルが指摘する。その通りである。
「あ、そうでした。ジョ、ジョゼさ、ジョゼちゃんは今回の戦い、大丈夫でしたか?」
「・・・うん、大丈夫だよ」
辛い思いもした、痛い思いもした。というか、本当に死ぬんじゃないかと思ったし、イサムは最後は圧倒していたものの、多分一歩間違えれば死んでいただろう。
それでも、今回に関しては
「覚悟してたんだ。死ぬかもしれないけど、それでもやろうと決めたからさ」
「・・・やっぱり、ジョゼさ、ジョ、ジョゼちゃんは強いですね」
「・・・」
なんだか少しデジャヴを感じた。よくそんなことを言われる気がする。そんなことはないと思うんだけどな。なんだか、シゼルも沈黙しているし気まずい。
「進むと決めたのならば、貴方はどこまで進むんでしょうね」
そう言って、私に微笑みを向けてくる。今回のようなことはもうやりたくないんだけどな。
「・・・ま、お嬢は面倒くさがって、そうそうそんなこと決めだろうけどな!」
正直言う通りなのだが、言い方がむかつくこいつ。
「何だと~」
「やめろお嬢! 瓶を振るな!」
少し困り顔であわあわしているイドハさん。こういうやり取りが、そんなに前じゃないのに少し懐かしい。バンカさんやバーレさん、ギルマスさん、皆との日常にもうすぐ戻れそうだ。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
久々に、普通の日常会話を書いた気がします。やっぱりこういうのが書きやすい。




