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灰氷残雪

どうも、作者です。80話です。

いよいよ、イサムの本領です。頑張って書いたけどまだ書けたような気がします。

『冬はついえて雪残す。残雪たる己はただ、定めた主がため!!』

『灰氷残雪』


イサムの固有魔法、その三段階目。その詠唱が終わると同時に、イサムの周りに展開されていた灰の領域は上へと昇る。


そして、灰色の雲が上空に広がった。そこから降りしきるは、灰色がかった雪の結晶。一件なんの変哲もない結晶。


魔獣とイサムの間そこに一つ目の結晶が落ちていく。それを意に介さず魔獣はイサムに襲い掛かる。イサムは構えを崩さないものの、まるで反撃をする気がなさそうであった。スローモーションのように世界は進んでいく。


その前足が結晶ごとイサムを食いちぎろうと押しかかる。しかして、その大きな牙はイサムに届くことなく、あごの骨ごと両断された。


それは、完全に強さが逆転した瞬間だった。



『灰氷残雪』


その魔法は、雪を降らし、その雪の結晶そのものを一つの斬撃として放つ魔法。実質の全範囲斬撃であり、無数の斬撃を浴びせかける。『灰域』が起動しなかったことで、剣の斬撃の範囲は通常の間合いへと切り替わった。代わりに一刀ではなく、無数をもって敵を切り伏せる魔法。


魔獣は突然外れた顎に驚愕の表情を目に現れている。しかし、こんなものは序の口に過ぎない。


魔獣は驚きはしたものの、一瞬にして顎を再生し、次の攻撃に移ろうとする。敵は土の槍を何本も飛ばしながら後ろに下がった。


土の槍は一本も通ることはない、槍に雪が触れた瞬間に斬撃を起動し、切断する。


初めて使ったが故、斬撃を起動するのに少し慣れない。だが、あまり慣れるまでの時間を取ることもできない。このまま戦いながら慣れていくしかない。


だが、敵も少し対応を変えてくる。足の再生をあきらめて、代わりに土の足を失った前足につける。その上、常に数本の槍を体の周りに纏わせている。


だが、灰氷の結晶は、そんな槍をすり抜けて敵の体へと積もり、それを起動する。魔獣の背中は無数の切り傷が出来上がる。


「がぁああああああ!」


魔獣はその痛みに吠える。だが、その目は己を捉えている。やはり油断はできない。槍を飛ばしながら突進してくる。


しかして、己は真狼なり。この雪の中であれば、己の方が速い! 先ほどまでの速度ならば、確かにその一撃は避けきれなかったであろうが、今なら避けるのはたやすい。速度勝負は完全に逆転した。


魔獣はそれでも追撃をしてこようとするが、それも無駄。己と相手の間には無数の結晶がある。それを起動するだけで、敵の一撃は斬撃の壁によって遮られた。己は防御の姿勢すらとることなく反撃の一手を繰り出す。


首の間にそれなりの傷をつける。やはり、外側はかなり固い。速度は上回ったが未だ己の攻撃より相手の防御が高い。


だが確実にダメージは蓄積している。何より、まだ試したいことが多くあるのだ。


敵は動こうとするたび、斬撃によってやりたい動きは弾かれる。ひたすら、相手の動きを妨害していく。敵はだんだん斬撃の存在に気づいたのか体を土の壁で覆い始めた。しかし、降り積もった結晶にはまだ無頓着らしい。


『吹け』

突風(ウィンド)


降り積もった敵の下の結晶を敵の下に叩きつける。その瞬間に結晶を起動する。敵の腹に大量の切り傷が生まれる。だがそれを承知の上か、敵はそれを意に介さずに攻撃を続けようとするが、だがその一撃を刀によって受け止めそのままもう一刀叩きこむ。


この魔法の性質は本当にごく単純、雪を降らし、その雪の結晶を自分が思うままに斬撃に変換する。本当にそれ以上の性質はないらしい。だがそれが故に応用性は高い。使い方は無数。


だが、問題がないわけではない。灰域は起動した時点で魔法がそこで完結していたが、この魔法は使えば使うほど魔力を消費する。あまり燃費はよくない。だが、どうやら降らせる雪の数はある程度調整が効く。


敵は切り傷ができる度に再生していたが、段々と再生速度が遅くなっている。どうやら随分と体力を消費したらしい。そのせいか、段々と攻撃は魔法がメインとなっている。


先ほどまで使っていた魔法は、土の槍と、体に纏う鎧のようなもの。だが、段々とその精度は上がっている。先ほどよりも精密にこちらに攻撃を当てようとしてくる。ついには、結晶を避けて槍を飛ばすようにしていた。


その上、地面から土の槍を飛ばす魔法を使うようになった。確かにこちらの方が、斬撃を当てずらいだろう。その全てを手に持った刀切ったり、避けて対応できる範囲である。


やはり相手も未だ発展途上。もし、肉体の動きになれていれば、魔法を使う隙すらなかっただろう。だがらこそ、己は幸運であった。ここで倒さなければ、勝てる隙すらなかっただろう。だからこそ、そろそろ終わろう。


己は相手が渾身一撃を与えようとしたところを、結晶をその両目に当て切断する。それでも攻撃を止めぬ相手。死のうと己を嚙みちぎろうという執念が読み取れる。


名もなき魔獣よ、貴様は強かった。己の技が未だ高みへと至れていないことを痛感させられるほどには、貴様の皮膚は固かった。できれば、貴様のその肌をこの剣をもって切り裂きたかった。だが、今の己では不可能と知った。


だからこそ、その中を狙おう。己はその殺意がこもった口に刀を突き付ける。大量の雪の結晶が付いたその刀を。死地へと自ら飛び込み、その喉の中に刀をを突きさしその肉へと侵入する。


『吹け』

『突風』


未だ名前のつかぬこの技を貴様へと手向けとしよう。魔獣よ、どうか我が主のため、死んでくれ。


魔獣の中に風が吹き、刀に突いた無数の結晶は斬撃へと切り替わり、魔獣の頭を中からずたざたにしていく。敵の頭はどこが頭かわかないほどに魔獣は無残な姿へとなり果てた。


「勝ったぞ、主君よ」


「・・・うん、強かったよ」


あぁ、強敵に勝った喜び、それ以上に主を持ち、褒められたことへの喜びは何物にも代えがたかった。





「うん、強かったよ」


私は何とかその一言を絞り出す。その魔法を使ってからのイサムは、あまりに強かった。正直、さっきまで死ぬかもしれないと思っていたのが一瞬馬鹿らしくなりそうになったくらいに。


とはいえ、最後のあれはちょっと吐きそうになったが、流石に今はイサムを褒めた方がよかったから、こらえた。


「ジョゼ、灰氷はどうなった?」


「勝ったよ」


「流石だな」


さも当然のようにそう言うウロク。実際見ていないから、仕方ないけど。それでも、多少不安はあったのか安堵の表情を浮かべている。


「そういえば、そいつで終わりなの?イサム」


「ああ、他の魔獣の気配がしない」


なら、こっち側でやることはなくなっただろう。あとはあっちの作戦が無事に終わるのを待つだけとなった。


「それじゃ、ちゃちゃっと帰ってきて~」


「おう、すぐに追いつこう!」


ということで頼んだぞレンズ。そいつが道を迷わないようにするにはレンズが必要だ。レンズの目が一瞬面倒くさいと言わんばかりに動いたようにしたが、私は何もキヅイテイナイ。


私はイサムの強さを改めて実感した。これがSSランク冒険者なのだと。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

ということで、タイトルにもあるイサムの固有魔法、『灰氷残雪』、強いと感じていただけたのなら幸いです。次回は最後、モロゾフ回です。つまり物語はそろそろ終わりになってきます。

捕捉:イサムの速さがあがったのは、イサムのスキルの『灰氷の真狼』の天候が雪の時に速度が上がるというスキルです。作中では文章に出しませんでしたが、防御と耐魔も上がってます。

あと、なんか明らかに強くなってない?というのは、これも同じスキルの主の命令時ステータスが上がるというスキルの力によるもの。つまり主を得たことでさらに強くなりました。バグかな?

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