魔眼の一族
どうも、作者です。76話です。
今回はイドハの戦いです。書くの難しい。
「ギルドマスター、彼女は本当に強いんですか?」
私は、灰氷様の強さと共に、彼女、イドハの強さを知らなかった。彼女とと出会ったのは、帝都より少し離れた場所。雨の日のことだった。ギルマスが、慣れない魔力を感じたというので、ついていってみると、そこにいたのはぼろきれのような服をまとい、憔悴しきった顔の彼女だった。
ギルマスは彼女を保護し、話を聞いた。何でも、同胞より命からがら逃げてきたのだという。魔族の彼女の言葉をギルマスは信じた。私も、彼女のつらそうな顔を見た時、それがどうしても演技だと思えなかった。
それから彼女はギルドの受付嬢として働くことになった。最初の二年ほど、私が仕事を教えていたが、教えたことは一瞬で吸収して、すぐに仕事ができるようになっていた。ただ、対人関係については、やはり差別も裏切りも怖いのか、うまくできないようだった。
「あいつは魔眼の一族だ。魔人の中のさらに細かい一つの種族さ」
魔眼の一族、この世界で最も嫌われている、一族。幾度となく、大陸を侵略しようとした種族だ。
「名前の通り、あいつらは魔眼っていう力を持ってる」
「どんな力なんですか?」
「人によって違うな。俺が知っている奴だと、見ただけで燃やしたりとか、ものの過去が見えるやつとかいろいろだ」
なるほど、それは強力な力だろう。恐らくの一種の魔法なのだろうが、聞く限り詠唱を挟まない。つまりそれだけ強力なアドバンテージになりうる。
「その上、魔人なだけあって魔力量も多い。恐らく純粋な強さだけなら、三種族四種人のなかでもトップクラスだ」
それが、魔眼の一族。彼女の血筋――
黄色く光る眼と緑に光る眼が交差する。戦闘の合図はそれだけだった。どうやらこの空間は、魔法で拡張されているらしい。外で見た時よりも明らかに中の方が広い。だが、これなら存分にやれる。
私は机の上に置いてあったガラス瓶に魔力を与える。ガラス瓶は、相手の後頭部まで飛んだあと、不自然なまでに敵の頭めがけて突撃した。
「!?」
後頭部に命中する、だがやはりこの程度では、あまりダメージにならない。
私の魔眼は、魔力を使うことで、ベクトルを与えて動かすことができる魔眼。生物には使えないが。
「なるほど、それがあなたの”魔眼”ですか!」
男は私を見る。今度はあっちの番・・・!だが、こちらも攻撃は緩めない、今度は相手の後ろにある棚を倒す。
敵に命中する寸前に相手はそれを避けていた。次の行動・・・私の腕は、私の首を絞めていた。
「っが!?」
恐らく魔眼、相手の肉体に何かするタイプの! だが恐らく思考を直接操作する類の物じゃない。多分、筋肉か神経を操る魔眼・・・!
私は全力で自分の腕に魔力を込める。人の肉体に影響を及ぼすタイプの魔法はレジストできる。どうにか、解除するが、今のが好きとなった。敵は詠唱の体制に入っていた。
『我らが敵に、水の裁きを』
『水断』
水の斬撃、だが。避ける必要はない。私は魔眼で水を霧散させる。
「ふむ、魔法による攻撃にも有効ですか。面倒ですね」
とはいえ、私も気を抜けばあの魔眼に飲み込まれる。常に魔力を自身の体にいれれる体制を整える。思ったより、集中力がそがれる。敵はそれでももう一度魔法を撃とうと腕を上げる。
『彼のものの腕に、鉛あれ』
『鈍重』
相手の腕は急に重りが乗ったように、腕を下げる。呪術、私の魔法だ。
「ちっ! 面倒だ」
敵は重くなった腕をものともせず、私に突っ込んでくる。私は咄嗟に相手と私の間に机を挟もうとしたが間に合わない、純粋に速い!
私も避ける体勢に入ろうとする、だが、足が動かない。しまった魔眼! 回避は間に合わない。敵は左手にナイフをいつの間にか持っている。この距離ではもう私の魔眼も間にあわない。いや少しで言い間に合わせろ・・・!
ナイフは少し横にそれ、私は反対側に体を動かす。どうにかして、ナイフを避ける。
「いえ、十分です」
『燃えろ』
『火炎』
「ぐっ!?」
私は背中側から魔法を撃たれる。魔眼が捕らえられない位置からの攻撃、きつい・・・! でも魔法攻撃であれば、何とか耐えられる。元々耐魔は高い方だ。私は一呼吸おいて、言葉を紡ぐ。
『我が声に応えて顕現せよ、かの剣ども!』
『双魔剣』
私の頭上に二本の魔力によってつくられた剣があらわれる。魔人が覚えられるその魔法は通常ただの魔法の剣だ。しかし、私の魔眼を使えば、弾丸となる。
私は、顕現した剣の一つにベクトルを与え、背中にいる敵に飛ばす。
敵の腕にかすった。たったそれだけだが、背中側からははがせた。
「ずいぶん古い魔法を使っていらっしゃる! いや、貴方の魔眼を考えれば、相性はいいですか!」
古い魔法というのに少し驚く。た、確かに燃費はあまりよくないし、詠唱の割に魔剣を出せるだけなのだが、でもちょっとショック。今はそんなことを考えている暇はないが。
私はもう一本の魔剣を敵めがけて飛ばす。その間に背中の一本を取って、もう一度飛ばす。
だが、ことごとく避けられる。こんなことならもっと細かいベクトル操作ぐらい覚えておくんだった。相手が近いせいで、ことごとく剣の軌道を読まれてしまう。
相手はもう一度回り込もうとしてくるが、同じ手は二度も使わせない。それでもナイフで攻撃しようとしてきたが、私は魔眼でそれも封じる。むしろ相手の方にナイフを飛ばしてダメージを与える。それを見て近接格闘に切り替えたが、あまり力が強くないのだろう。簡単に、いなす。
「ふむ、このままでは、お互いにじり貧ですなぁ」
私の剣は当たらない。相手の動きも簡単に躱せる。確かにじり貧だ。
「ですが」
「!」
相手はもう一度突っ込んでくる。だが、今度は魔眼のレジストも完璧にできる。もう通じ・・・いや
「!?」
強烈な殴打。私はそれを感じ取って咄嗟にガードする。先ほどまでとは、全くもって違う桁違いの威力。そのうえ、相手の攻撃はより痛烈になっている。私は魔剣で相手の攻撃を遮りながら遠のく。ダメージは、それなりの物だった。
「はぁ、まさか初見でしっかり見切られるとは、大抵これで終わるんですがねぇ」
「忘れ、ましたか?」
相手は一瞬おどけて見せて、すぐに視線を返してくる。その赤紫の目を向けて。
「ああ! そうでした! あなたもこれに関しては知っていましたね。いくら裏切り者といえど、元は同じ血族。知らないはずがありませんか!」
相手は使ったのだ。”反転”の力を。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
ということで、魔眼同士の戦いです。すいません、一話で終わらせるつもりだったんですが、もう一話かかりそうです。次回、魔眼の一族が持ちうるもう一つの力を見せることになると思います。よしなに。
少し捕捉をば。作中で古い魔法といっていましたが、この魔法が魔族の間で主流だったのは大体150年程前ぐらいまでです。




