奴隷市場の決戦
どうも、作者です。73話です。
今回は、ジョゼの戦いです。ジョゼは無事に勝てるのか、どうぞお楽しみください。
「ジョゼさん、あなたは自分が思ってるより戦闘に向いていますよ」
「え~、別に向いてなくてもいいんだけど」
私はなんとなく、マフィアアジト襲撃前のレイドさんとの訓練を思い出す。
「あなたは純粋に視野が広い。普段使おうとしないだけで、召喚獣を活かすうえで、それ以上の才能はないでしょう。そうですね、もしあなた一人で戦うなら、ナインさんは必須ですね」
あの日、レイドさんは私に色々と教えてくれた。結局あの時は、相手が一人だったから、あまり活かせなかったけど、それを今、活かそう。
敵は二十人弱、今私が見える範囲にいるのは四人、恐らく私の動きを観察、監視して周りに伝える役。二人は私に攻撃を仕掛けている。
しかし、今のところナインの触手に攻撃はいなされている。私に届くことはないだろう。だが、ナインが防御に回っている以上こちらも攻撃にまわりにくい。とはいえ、動けないほどではない。
「ジョゼさんを起点とするなら、ナインさんと」
「やっぱりモンジかな?」
「確かにモンジさんは強い、ですがモンジさんは基本的に他との戦闘で補助として使った方が強いですね。そうじゃないと、せっかくの魔法が扱いづらい」
「ん~? じゃあ、他の魔獣というと」
『出でよ、水晶の獣、作る者、結晶獣、グラス』
私が追加で召喚するはグラス。今私が戦闘で使える魔獣は、グラスとテンイ、モンジだ。だが、あの時レイドさんに言われたように、この場面ではグラスの方がいいだろう。
「グラス、目の前を狙って! 私の守りは弱めていい!」
テンイも強いが、テンイはどちらかというと隠密向けだ。こういう広い空間では真価を発揮しづらい。だからこそ、グラスが最適解だろう。
グラスの能力は水晶を創り、操作できること。水晶を飛ばしての攻撃や、水晶の波を伝播させて拘束もできる。
ナインは攻勢に出る。攻撃してきた相手二人をつかんで、地面にぶち当てる。一人は声を出すこともなく気絶する。一人は咄嗟に受け身を取ったが、それでも満身創痍だ。
背中からの攻撃、恐らく潜んでいた敵の一人。ナインが攻勢に出て私への守りが薄くなったところを狙ったのだろう。しかし、それでも私に攻撃が届くことはなかった。
水晶の柱が敵の攻撃を防ぐ。その上、生成された水晶に巻き込まれて相手のナイフの刃が水晶に食べられた。敵はそのナイフを引き抜こうと数秒無防備になる。十分。
私は水晶の側面に回り込んで。あらかじめ手に持っていた種を敵に放る。もう『活性』を起動してある。
「んな!?」
ナイフを引き抜こうとしていた手に種は当たって、その瞬間種は急成長して、頑丈な蔓へと変化し、相手の体に巻き付いて、水晶と敵を縛り付けた。そこにすかさず、水晶の弾丸一発打ち込み敵をダウンさせる。これで三人。いや、いつの間にか、グラスが観察していた敵のうちの一人を、水晶で拘束している。つまり四人だ。
そのままの勢いで、次から次へと敵を減らしていく。それでも一筋縄ではいかない。監察役をもう一人と攻撃してきた奴二人を倒したあたりから敵の連携が切り替わる。
『燃えろ』
『火炎』
簡易魔法、敵は魔法を絡めての遠距離戦に切り替えてきた。ナイン相手に単純な接近戦は効果が薄いと感じたか、何で今まで使ってこなかったのかわからないが、だが使ってきた以上大変面倒くさい。いつの間にか、やられた監察役の代わりが出てきてるし、多分防御役の奴が一人につき一人ずつついている。
しかも、そいつらも私の視線が外れた瞬間に、魔法で攻撃をしてくるようになった。面倒くさい。
「やっぱり数の暴力は面倒だな!」
ああ、私もレーシュみたいに戦えればなぁ! と今だけ思ってしまう。だが、私自身に戦闘能力はほとんどない。相手もそれには気づいているが、私のさっきの植物攻撃とナインを警戒してかあまり近づいてこない。
「ですが、モンジさんが有効になる場面ももちろん存在します。それは」
目には目を、歯には歯を、魔法には魔法を、だ。私はナインを退去させる。
「ナイン、ありがとう」
『出でよ、魔法の獣、刻む者、紋章獣、モンジ』
私はモンジを出す。明らかに相手の顔に動揺が浮かぶ。魔獣が変わったのだ。驚くのも無理はない。
モンジは相手が魔法の詠唱をすると同時に、空に紋章を刻む。そこから現れるは氷弾。氷の弾丸が連射される。
敵はナインの防御がなくなったと気づいたのか、私に隠れていた人間が接近する。実際さっきよりは防御は下がっているし、グラスも魔法攻撃への対処で手一杯になっている。三人同時、三方向からの攻撃、場所的にモンジの援護は間に合わない・・・!
「シゼル!」
私は右手に持っていた植物の種を放って正面の一人を拘束する。シゼルも目つぶし液を噴射して背中の敵を一人行動不能にする。一人、間に合わない! 最後の側面の敵が私の首に刃を向ける。私はそれを手で何とか左手でガードする。
「ぐっ!!」
「お嬢!!」
私の首に届く前に、私の手のひらに敵の攻撃が貫通する! 私は全力で手を振ってそのナイフをそのまま奪う。相手はそれでも攻撃を仕掛けようとしてくる。しかし、アークが、間に合った。
『大きくなれ!』
「な!?」
懐に忍ばせていたアークが私の首元まで登って膨張する。その大きくなった衝撃にその敵は吹っ飛ばされる。私の手にナイフは刺さったまま、だけど!
「モンジ、グラス! 残ってるのはそれで全部!」
『鑑定』で、人間は全員把握している、もう他にはいない!
もう私にリソースを割かなくていいと、理解したグラスとモンジは一気に威力を強める。監視役の敵は防御すら間に合わずに、例外なく倒れこむ。
『鑑定』で注意深く敵の状態を確認する。誰一人として、意識がある者はいないことがわかる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「お嬢、大丈夫か?」
「うん・・・、ありがとう、皆」
「・・・おう!」
「ワン!」
やっぱり、戦闘訓練ぐらいはこれからしておこうかな。こんなつらい思い二度とごめんだが。
だけど、私たちの・・・勝ちだ。
「貴様!? 一体どこから侵入した!?」
ジョゼさんたちは無事に任務を遂行しているでしょうか? 私は目の前の燃えている倉庫を見ながらそんなことを考える。
わざわざ、場所の隠蔽用の結界に、匂いが漏れないようにする結界まで張っているとは。これではパーティの来賓者たちは火事が起こっていることにも気づいていないでしょう。こちらとしても都合がいい。
とはいえ、レンズさんの力がなければ、この場所の存在にも気づかなかったでしょうね。相変わらず無法な力ですわ。
「さぁ、それを教える義理は私にはございませんわ」
「 ちっ! だが我らが計画を知っているというのなら、ここで死んでもらう。全員、戦闘準備!」
それなりに統率の採れた兵士たち、都合がいい。ここで私に縫い付けた方が、あっちが楽になる。
「ええ、どうぞ来てくださいまし」
あっちの心配をする前に、私の任務を遂行しましょうか。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
結構ピンチなジョゼの戦い。どうでしたでしょうか。でも、平均レベル50を十八人(多分)に一人で倒しきるのは相当すごいと思われます。
さて、次回はレーシュの戦いです。よしなに。




