作戦決行
どうも、作者です。70話です。
作戦開始です。70話ちょうどで切りがいいですね。
「皆さん、ご武運を」
イドハさんがそう言う。私たちはそれぞれの作戦を成功するための準備は昨日で終えた。あとは今日この日、作戦を成功させるだけだった。
私たちはイドハさんの言葉にただうなづく。誰一人として、不安を顔に出したりはしなかった。失敗すればその時点で終わりなんだ。今更怖気づいても仕方がなかった。
私とウロク、イサムは、二人と別れた後、奴隷たちがいる場所まで向かう。私とウロクはモンジにまたがって、イサムは自信の足で、というか普通の狼のように脚と腕、計四本で大地を駆けていた・
「うおおおお、モ、モンジ速いな!?」
私も全力のモンジの速度を感じたのは久々だ。というか初めて冒険者として薬草を取りに行った依頼だろうか。最後の冒険者として依頼だったけど。
あの時は、この速すぎて、ジェットコースターに乗ったような気分でもう乗りたくないなぁと思っていた。まぁ、今も思ってるんだけど。とはいえ、一秒でもあそこにいる人たちを助け出したい。だから今は我慢しよう。
「ていうかこの速度に追い付けるイサムもおかしいんだけど」
流石に速すぎるだろう、この状態のイサムって多分、時速百キロぐらい出てる思うんだけど、それに追い付けるイサムって。
「あんま考えない方がいいぞ、SSランク冒険者なんてそんなもんだ」
ウロクが少し遠い目をしている。うん、レイドさんの時からそんな感じだったしなぁ。
さて、目的地まであと少し、作戦を振り返るように、昨日のことを思い出す――
「さて、明日の作戦だが、正直ジョゼたちの方は死ぬほど単純だ。こっちの突撃と同時に、エルフたちを救出する。ただ、そっちは正直懸念事項が多い」
何時魔獣たちが襲撃してくるか、それがあまりわかっていない。だからなるべく早く救出することが求められる。
「問題は二つ、どうやって救出するか、そしてどうやって全員の体力を戻すか」
どちらもかなり難しいだろう。あそこにいた奴隷にされていた人たちは、おそらく数百を超えている。全員を連れだすとなるとかなり難しいだろう。何より一番近いこの街まででも、かなりの距離がある。
そして、二つ目、全員の体力。奴隷にされている人たちは全員とにかく体力が落ちている。恐らく生きれる最低限の栄養しか与えられていない。見るからにやせ細ったその体躯がそれを表していた。今思い出してもイライラするな。
まぁとにかくこの二つをクリアしなければ、救出とはいかないだろう。私がいなければの話だが。
「どっちも私に任せてほしい」
「一つ目はいいが、二つ目はどうするんだ?」
本当に都合のいいことこの上ないが、さっきレベルが60になった。つまるところ新しい召喚獣が召喚できるようになったのだ。その子がちょうどいい性能をしている。
「なるほどねぇ、本当にちょうどいいが、多分偶然だろうな」
そうだろうなぁ、確か緑の月が出ていない間、あっちは私の状況が見えていないらしいから、多分本当に偶然だろう。未来は見えないって言ってたし。
「とりあえず、奴隷の人たちに関してはジョゼに任せた」
「うん、それで魔獣の方はイサムに任せる」
「うむ、任された!」
魔獣の方はイサムに任せてしまっていいだろう。イサムは、私からするとあほっぽい犬というイメージが強いが、だが時々見せる強さは確実に本物だし、イサムと私、補助のウロク、三人で頑張ろうか――
昨日のことを思い出しているうちに、目的地にたどり着いた。
「ジョゼ、あっちはどうだ?」
「うん、無事に入り込めたみたい」
どうやら侵入は成功したらしい。あっちの皆も成功するといいんだけど。いや、今はこっちの作戦に集中しよう。
さぁ、始めようか――
「さて、無事に侵入できましたわね」
「おう」
私たちは、パーティが行われるダハーカの本家の館に侵入していた。
「本当にジョゼ様様だな」
「そうですわね」
改めて、ジョゼさん、基ジョゼさんの召喚獣の規格外っぷりを実感させられますわ――
「それでどうやって侵入するの?」
「ノルマに協力してもらう」
ノルマさん、私は直接話したことはないが、ダハーカの当主に利用された商人。今回の二日前の一件で、私に手を貸してくれることになった。
「確か、ノルマさんは元々パーティの前に荷物を運びこむんでしたわね」
ダハーカへの献上品を渡すためにパーティが始まる前に荷物を運びこむ予定だったはずだ。あの草などを含めて。
「そう、それを利用する」
「つまりついていくってこと」
「いや、それは不可能だ。当日は許可された商人以外は手伝いだろうとは入れない」
流石にそのあたりは徹底されていますか。ではどうやって。
「ここでも、すまんがジョゼ、お前の力を借りたい」
「あ~、アークか」
「そういうこった」
なるほど、アークさんだったら、極限まで小さくして、私たちを収納すれば、通常より格段に見つかりにくくなる。
「わざわざ作戦開始のタイミングを一緒にするのはそういうことだ」
「そうか、ジョゼ側の作戦にもアークが必要だから」
「そう、ただこっちは侵入時、逆にジョゼたちは奴隷の人たちを運ぶ時だから、タイミング的に被りはしないだろ」
なるほど、そういう理由でしたか。
「ノルマさんにはそこらへんはダイジョブか聞いてある。恐らく可能だとさ」
「それで作戦の方は?」
中に入った後のことは敵がどこにいるかまでは特定できていない以上、ある程度はアドリブが必要になるとはいえ、せめて何かしら指標が欲しいところですが。
「それも大丈夫だ」
「レンズで内部の簡単な配置図は作ってる」
「館にも侵入したんですの?」
「うん、そっちはレンズとナインに任せたけど、ほとんど完璧だと思う」
やはり、一切気づかれずに侵入できる能力とは無法極まりないですわね。それを指示してる本人が平然と言っているあたりが怖いですわね。
「そ、それでもう一つ気になることがありました」
「なんですの?」
「ここです」
そこに書かれていたのは、あまり使われていないそうこのようだった。ただ、ナインさんが地図上に絵が描いてある。これはどうやら、文字が書けないナインさんが、代わりに書いたものらしい。そして、イドハさんが指さした場所には、緑色の長い先がとんがった楕円が書かれていた。
「これは、多分草だな」
ウロクさんが言った通り、草でしょう。今この状況で草となると。
「ニスロク草ですか」
「そうです」
あの魔獣たちを暴走させる植物、ニスロク草。それをどうやら保管しているらしい。
「で、ですので、できればここを燃やす必要もあると思います」
確かに、魔獣たちが生き残って場合この植物は危険になる。自生し始める前に焼いた方がいいだろう。
「つーことは、目的は二つ、ダハーカの当主の暗殺と、ニスロク草の焼却だな」
正直なことを言えば、懸念点は多い、それでも時間がない。そんな状たちで明日に挑むことになった――
「ノルマさんの方がうまくいったようで良かったですわ」
もう、アークさんは見えないが、館の人気のないところに卸されているということは成功したということだろう。ノルマさんには荷物を運びこんだ後は早めに脱出する言ってあるが、無事に出れただろうか。
「さて、やりますか」
「そうですわね」
作戦開始だ――
モロゾフとレーシュの二人をアークが出して少し後、もう一人の少女がアークにより出される。
「ありがとうございます、アークさん」
その少女の名前はイドハ、彼女もまた、自分の戦いのために、ジョゼの協力によって館へと来ていた。館での作戦、奴隷市場跡での作戦が始まる――
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さて二つの作戦が同時にスタートします。そして、受付嬢のイドハもまた館へときました。さて、そんな少女たちの作戦はどうなっていくのか、ぜひお楽しみに。




