”進む”ということ
どうも、作者です。68話です。
少し、今回は何を前書きに書けばいいかわかりません、ですがどうか見守ってあげてください。
朝、私はいつもより早く起きる。晴れてはいるが、曇るのがわかる。そんな空を私はぼんやりと眺める。
いつもなら二度寝するところだが、今日はそんな気分になれなかった。明日は帝都への襲撃を泊められる最後の日になるだろうから、今日も多分、休めない。何より、何か悪い予感がするから。
「おはよう、シゼル」
「おう」
シゼルもなんだか、元気がないように見えた。でもこういう日は時たまあるからあまり気にならなかった。
私はみんながいる部屋へ向かう。部屋の中にいるのは、イドハさんとイサムだけだった。
「ジョゼ殿、おはよう」
「おはようございます」
二人ともいつも通りにい挨拶をしてくれる。だが、二人とも、いつもより落ち着いている。イサムは元気さが少し鳴りを潜め、イドハさんはいつものおどおどしたもより早く起きる。晴れてはいるが、曇るのがわかる。そんな空を私はぼんやりと眺める。
いつもなら二度寝するところだが、今日はそんな気分になれなかった。明日は帝都への襲撃を泊められる最後の日になるだろうから、今日も多分、休めない。何より、何か悪い予感がするから。
「おはよう、シゼル」
「おう」
シゼルもなんだか、元気がないように見えた。でもこういう日は時たまあるからあまり気にならなかった。
私はみんながいる部屋へ向かう。部屋の中にいるのは、イドハさんとイサムだけだった。
「ジョゼ殿、おはよう」
「おはようございます」
二人ともいつも通りにい挨拶をしてくれる。だが、二人とも、いつもより落ち着いている。イサムは元気さが少し鳴りを潜め、イドハさんはいつものおどおどした部分がない。
「ジョゼ殿が早いのは珍しいな」
「うん、なんとなくね」
そう言いながら、私は厨房に立つ、少し落ち着かないから、朝食を作ることにした。私は何がこんなに怖いのか、それから目をそらしながら。
「ごちそうさまです。相変わらずジョゼ様の食事はおいしいですね」
「うむ、今日もおいしかったぞ」
そう言いながら、二人は食事を平らげていた。二人が本当においしそうに食べてくれたのは分かった。でも、二人はおかわりはいらないみたいだった
「ジョゼさん、おきていたのですのね」
「うまそうな匂いだな」
レーシュが部屋に来て、モロゾフとウロクが少し経ってくる。みんな当たり前に席に座っている。私も当たり前にみんなの分の食事を並べていた。
なんか私がお母さんみたいだな。三人とも特に文句なく食べる。特にモロゾフは少し驚いたように食べている。
「本当にこいつが作ったのか」
「失礼な」
「いや、普通にいい腕してるなと思ってな」
う~ん意外そうに言われてもなぁ。ギャップありきだと普通に褒められてる気がしない。まぁいいや。
皆が食事を終えると、レーシュとウロクが皿を洗っている。皿をふき取って乾かす場所に並べているのはイサムとイドハさんだった。
「おいおい、俺がやることがなくなっちまったじゃねぇか」
「早い者勝ちですわ」
「別にやらなくても良かったのに」
「気にすんなよちびちゃん。俺たちがやりたくてやってるだけさ」
う~ん、まあいいか。私はのんびりと待ってよう。私はぼんやりと窓を眺めている。いつの間にか、曇天の空に世界は包まれている。
みんなが洗い物を終えて、私たちは席を囲む。
「さて、今日やることだが、二つ、明日の段取りを決めること。もう一つは、奴隷の詳細な位置を割り出すこと」
昨日時点では大まかにわかっている、という話だった。それをもっと細いところまで見つけるわけだ。
「昨日時点で、詳細なところまでわかれば良かったんだが、魔術的な感知の結界が張ってあって奴隷がいる位置までは踏み込めなかった。だから」
「レンズか」
レンズであれば、魔術による感知も無視できる。
「まぁ、そういうこった。頼めるか、ジョゼ」
「でも、魔獣討伐とかはしなくていいの?」
一応、普通の魔獣退治もした方がいいのではないだろうか。一応、そうした方が町の安全になると言っていたし。
「そうだな」
「それなら某が赴こう。こういう時の某は、役に立たんからな」
そういう声音には少し寂しさが混じっているように見えた。
「でしたら」
「いや、俺がいく」
いつも通りレーシュがいくのかと思ったら、モロゾフが遮る。
「別に俺がいなくても、ウロクがいれば、場所は案内できるだろう?」
「そう、だな分かった」
少し言い淀むが、ウロクは承諾する。二人は、少しを準備をして、すぐに出かける。
「そっちは頼んだぞ」
「うん」
他のみんなも相槌を打つ。なんだか少し深刻そうだった。
私はレンズを呼び出して、レンズを飛ばす。ついでにモンジを呼び出して、私以外の三人にもレンズの視界を共有する。
少し暗くて見えにくいが、ウロクの指示通りにレンズは飛んでいる。たどり着いたのは町から少し離れたところにある、ひたべったい建物群だった。結構な広さだ。だが、長年使われていなかったのか、ボロボロである。こんなところにいるのか。
「・・・それじゃ、詳細な位置を見つけるか」
そういう割に、あまり見つけたくなりそうだ。いや、正直私も見つけたくはなかった。だって、見つけた先にあるのは。
「ジョゼさん、多分、そこです」
イドハさんが見つけたようだ。レンズはイドハさんが見つけた場所を感じ取ったのか、その場所に向かっていく。
そこにいあったのは、正直見たくはなかった。すし詰めにされた人々、そのほとんどは耳が長い、恐らくエルフだ。やっと、やっとバンカさんの言葉の意味が分かる。無数の傷跡、動く体力もないのだろう、食事もほとんど与えられていないのだろう、だって男も女も子供も関係なく、あんなにやせ細っている。何より、何より、
生きることも死ぬことも諦めた目をしていた。絶望することにすら疲れ切った目、それだけは何よりも耐えられはしなかった。
私はそこで立ち上がる。
「ジョゼさん! どこに行く気ですか!」
「助けに行く!」
あんな、あんな光景を見てしまって、
「やめろ、わかってんだろジョゼ!」
一体何がわかっているというのか! 救えるじゃないか! それだけの力が私たちにあるはずなんだ!
「放っておけっていうの! あんな姿を見せられて!」
「違いますジョゼ様! 待ってくださいというだけです!」
「待つ? 待つって何を!?」
いや分かっている、でもそれでも、ダメだろう? だって見てしまったのだ。あんな姿を死にたくないということすら感じていないあんな姿を。
「ジョゼさん!」
一瞬私は何をされたかわからなかった、ただ右頬に残る痛みだけがその事実を表している。私はその相手の顔を見る。その顔は苦しそうに歪んでいた。自分に憤っているように。
レーシュは座り込んだ私に目線を合わせるように膝をつく。
「レ、レーシュ」
「ウロクさん」
ウロクとレーシュは多分目を合わせている。ウロクはその視線から何か、覚悟を決めたかのように、うなづく。
「ジョゼさん、わかっているんでしょう?」
「わかんないよ・・・」
分かりたくもないんだ。
「ここで助けたところで、相手は一作戦がとん挫するだけ。食い止めたとしても、必ず次がある」
そんなの分からない、知りたくもない。
「わかんないよ、何が言いたいか」
「ここで百人を救えたとしても、その次は千人が死ぬかもしれない」
「そんなの・・・!」
「わかっているでしょう! 今の私たちに今すぐ彼らすべてを救う力と相手の勢力すべてを同時につぶす力がないことを! 今のジョゼさんのそれは、ただの、ただの傲慢ですわ」
私はその言葉に言い返せなかった。私はただ強く口を強く閉ざすしかなった。その通りだ。あと一日、あと一日待てば、それができる力がある、そんなのは理解している。それでも、私はあんな状態を一日でも長引かせたくはなかった。
「・・・ジョゼさん、本当は分かっていたのでしょう? 奴隷という言葉が出てきた時から」
「・・・何を?」
私はせめてもの抵抗に、そんな意味のない言葉を絞り出す。
「誰かが、私たちが見えないところで傷ついていることを、人としての扱いを受けていない可能性を」
図星だった。だから、だから
「・・・目を背けていた、貴方はそういう人です。そうしなければきっと自分を守れない。怠惰ではいられない。だって、貴方は一度見てしまったら、もう目を背けられない、そういう人なんですもの」
「私のこと」
「ええ、私はあなた以上に理解していますわ」
彼女は自愛のほほえみでそんなことを告げてくる。違う、私はそんなにいい人じゃないんだ。
「だから、ジョゼさん、飲み込んでください。今だけでいい、一日だけでいい、私のせいにしてもいい、それでもいいですから待ってください。それで、どうか・・・どうか犠牲者を出したとしても、じぶんのせいにしないでください」
私はなんて言えばいいか分からなかった。
「ジョゼ、無力だと思うんなら無力だと思えばいい。実際お前は、無力だ」
なんてひどい言い草だろう。そんなの突きつけなくったっていいのに。
「でもな、それ以上に俺は無力なんだ、お前を説得することすら自分より生きてない娘に託しちまってる。だからせめて、俺は言うぜ、お前は人を救える人間なんだ。だから、今回だけでいい、より大勢を救え、例え少数の犠牲を出したとしても、救うんだ」
…。
「ジョゼ様、私はあなたと出会ってまだそんなに経ってはいません、でもこれだけは断言できます。あなたは優しくて強くて、そして何より、弱いんです」
「強いのに、弱いんですか?」
「はい、貴方は強い、でもただの女の子です。まだ何も、知らない女の子なんです。だから、どうか何でもできるなんて思いこまないでください。その強さを、どこまでも進める強さをどうか言い訳にしないでください。あなたは英雄ではない、女の子なんですから」
ひどいなぁ、そうだ。私は英雄じゃない。すべての人を救える英雄じゃない。イドハさんもこんなに強い言葉が使えるんだなぁ。
みんなしてひどいな、と思う。でもみんなして私に甘いなとも思う。だって誰一人として、目的のために私を止めていない。私が傷つくと知っているから、後悔すると知っているから止めようとしてるから私のために止めようとしている。
「・・・皆、私は三人を恨むよ」
「「はい」」「おう」
「だから、明日手を貸して、私が全力を出せるように、私が、私達が多くの人を救えるように・・・!」
皆うなづいてくれる。ああ、三人にこんな言葉を出させたのだ。私は、今日一日、自分の欲望を我慢することにした。そして、明日一日、怠惰であることを捨てることにした。進むと決めたのであれば、目をそらせないのだから。
「・・・お嬢」
「手伝ってくれる? シゼル?」
「・・・おう!」
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
人はどんなに強くても、全ては救えません、例え規格外の英雄だったとしても、だからきっと人は、目をそらす。それは傲慢かもしれません、怠惰かもしれません、きっと私は権利だと思います。それでも、きっと目をそらせない過酷に人は出会う時があります。
ジョゼは過酷をいざ選ばなければならないとなれば、それを選べる子です。でも、それは彼女の持つ弱さを否定することにならない。今回のお話はきっとそんなお話です。
どうか、怠惰な少女をもう少しだけ、見守って下さると幸いです。




