休息
どうも、作者です。64話です。
最近死ぬほど痩せてびっくりしてる作者です。冬になると太る気がします。
あれから、尋問は続いた。計十二人、とはいえ目新しい情報は特になかった。とはいえ、聞いた情報はほぼ確定と言っていいだろう。ただ朗報があった。それはノルマさんのことはばれていないだろうということ。どうやら、兵士たちがノルマさんのことを認知したのは今日とのことだ。確かに、昨日の時点では他の商人から情報を聞き出していた時との違いは分からなかっただろう。
「つまり、昨日の情報収集の時点でウロクのことは見張られてはいたけど」
「しょ、詳細な会話までは聞かれていなかったということですね」
なので、ノルマさんは何食わぬ顔でいればどうにかなるらしい。そこに関しては良かった。正直罪悪感があった。私があの壺の入った箱を開けるように頼まなければ襲われることもなかったし。
「尋問の方は終わったか?」
「ウロク、うん。今全員おわったとこ」
「ノルマさんの方は問題ない」
「ほんと? はぁ、良かった」
よかった、死んでいたら申し訳ないでは済まないとこだった。いやもうずいぶん巻き込んでしまったが。
「そっち行ってもいい?」
「ああ」
「わ、私も行きます」
私とイドハさんはノルマさんがいる部屋に向かう。
「お、ジョゼ殿、イドハ殿! 見ろこの御仁は無事だぞ!」
「大声を出さんでくれ、傷に響く」
ノルマさんは少し、イサムに嫌悪感を表しているようだった。そうだ、この人もこの街の住人で、青月の女神の信者だ。他種族にはやはり嫌悪感があるらしい。
「ふむ、俺は邪魔なようだな!」
そう言ってイサムは部屋から出ていった。どうやらノルマさんの表情を読み取ったらしい。
「大丈夫ですか?」
「ああ、なんとかな。いっぴ、いや二人のおかげでな」
一瞬イサムのことを一匹と言おうとしたな。でも止まってくれた。
「はぁ、だが何故襲われたのかわからんな」
正直に話した方がいいだろう。ウロクも言った方がいいと目で伝えてくる。
「・・・実は」
私はことの顛末を話す。この街に来た理由、そして襲われた理由。あの兵士の正体。
「なるほどな、私は被害者という訳だ」
「う、ごめんなさい」
その通りだ。私たちが隠し事をして手伝ったせいだろう。
「半分はお前たちのな」
半分、奈良のころの半分は。
「は、半分で、ですか?」
「ああ、確かにお前たちは私に隠し事をして私に近づいた。情報を得るためにな、だが騙したのはお前たちだけではないよ、領主様もだ」
その通り、ではある。実際、ノルマさんはニスロク草の存在を知らされずに運んでいた。領主が頼んだ荷物として。
「私としては、領主様の方が許せんな。私をだまし、危険なものを運び出させた。しかも、その国家転覆とやらが失敗に終われば、私は協力者として処刑されてたかもしれんのだ。挙句の果てに、ばれそうになれば、即暗殺ときた。商人から信頼、信用というものを踏みにじる方がよほど許せんよ」
「ノルマさん」
「それに、お前たちは確かに情報を得るためにやっていたことではあろうとも、それでもちゃんと手伝おうとしてくれたのは嫌というほど伝わっておったよ。だからあの時、嬢ちゃんの言葉に乗っかてしまったしの」
そういうノルマさんの笑顔は暖かった。きっとこの人もバーレさんと同じいい商人さんだ。
「つまり許してくれるってことかい?」
「ああ、それにさっきも言った通り、半分はあれを開けた私の責任でもある」
「あ、ありがとうございます」
「さて、許しは得たわけだし、ちびちゃん達はいったん休め、こっちのけが人もだが、そっちも大分消耗してるだろ、休め休め」
確かに、連続尋問で疲れたけど乱暴に追い出すことないじゃん。
「ジョ、ジョゼ様行きましょう?」
「ぶー、わかった」
実際疲れた。なんせ昼から夜までほとんどぶっ通しだった。私の『鑑定』がある方が尋問がスムーズだってことで、ずっとやらされたし。一旦顔だけ出して、寝よう。
「あ、ジョゼさん。商人さんは大丈夫でしたか?」
「うん、平気そうだったよ」
「それはよかったですわ、あジョゼさん」
「うん?」
「さーて、ゴロゴロしよう」
「そ、そうですね」
私はギルドの一室でだらだらとしていた。昨日レーシュに言われたのだ。今日一日は休んでほしい、と。
どうやら、モロゾフと話し合った結果、明日一日は休んでもらった方がいいということになったそうだ。どうあがいても、ことを起こすのはパーティがある日、もう明後日になる。今日動くと、ここから休むタイミングがなくて倒れることになるだろうと言われてしまった。
まぁ、私も実際限界が近かった。逆に他のみんながぴんぴんしてるのが不思議なくらいだ。みんな、冒険者に貴族、暗殺者と、私以外明らかに普通じゃないのは分かるけど。
この世界に来て多少体力が上がったとはいえ、元はただの高校生だし、この世界に来てからそう運動する機会はほとんどなかったし、まぁ、アジト襲撃のとかはあったけど。
今日は、イドハさんと二人きりだった。イサムとレーシュは魔獣退治、ウロクとモロゾフは何かやってるとのことだ。
とはいえ、昨日寝てから十時間ぐらい寝てしまったものだから、眠気が完全に消えていた。どうしようかな。
「お嬢暇そうじゃねえか!」
今日はシゼルもお休みである。シゼルに休息いるのか、とは思うが、ここ数日頑張ってくれたみたいだし。まぁいいや。
「うん、暇。イドハさん、ここって図書館ないの?」
「こ、この街にはないですね」
やっぱりかぁ、やはりこの世界で本というものは結構希少らしい。あの図書館も前代の王様が作ったものらしいし、仕方ないか。この世界に来てからずいぶんと本を読むようになったなぁ私。あっちの世界でありふれていた時はラノベくらいしか読まなかったのに。
「うーん、どうしようかな」
ないなら、探しにいこう。
「イドハさん、デートしよう」
「で、デーヒョ!? でひゅか!?」
嚙みまくりだ。そんなに動揺しなくてもいいのに。
私たちは町に降りる。とりあえず商人街の方まで行ってみる。
「ジョ、ジョゼさんはお金はあるんですか」
「うん、正直使う機会がなかったから一杯貯蓄はあるよ」
お金は好きだが、それを使う機会というのはあまりなかった。そもそも、薬屋としての材料費はスキルで全部タダで調達できるから、お金はたまる一方だった。それに今回の依頼料もあるし。使う時に使う方がいいのだ。
「やっぱり本は少ないなぁ」
銀細工やらの装飾品なんかは結構あるが、本は少なかった。
「ど、どうしても本を読める人が少ないですから」
そうか、そもそも文字を習っている人が少ないんだ。まぁ、私も『翻訳』のスキルで読めているわけだけど、それだって日本語の文字を習っているから読めているわけだし。日本にいると、感じないことだな。
「うん? そこのお嬢ちゃんたち、本なら結構あるぜ!」
「本当ですか?」
「おう!」
その人はどうやら別の国から来た商人らしい。実際いろんな国の本があった。
「いや~、せっかく持ってきたはいいが一切売れなく困ってたんだ」
「こ、これは売れないですね」
「ははは、そりゃそうだよなぁ」
ズバッというイドハさんに驚いたが、どうやら商人さんも痛感してるらしい。なんでだろう。
「こ、この国の言葉ではないですね、どれも」
「あ~、なるほど」
日本語しか喋れない人たちに外国語の本を売っているってことか。そりゃ売れないな~、私から見れば全部日本語に見えるが。
私は本をあさる。んーと、これは「文化紀行記」? 死ぬほど固い名前だな。あ、めずらしい著者名が書いてある。えーと、
「ヒビキ?」
多分そのままだ。日本語だ。もしかして、日本人が書いたのかな?
「嬢ちゃんの良い目の付け所だねぇ! それは有名な竜人の著書だよ」
この前聞いた気がする言葉だった。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
休息回です。最近ずっと雰囲気が固い雰囲気だったので、今回次回は緩めようと思います。多分ここを逃すと、最後の方まで作れないので。




