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尋問・その二

どうも、作者です。63話です。

前回の続きだったりします。気が付いたらお昼の時間が過ぎていた時の絶望感がすさまじい今日でした。あまりに無駄な時間。まぁ、書き上げられたからヨシ!

不気味な笑みが張り付いたその男は、いつも唐突にその姿を現す。眼鏡に白い髪、身なりこそ整えているが、それでは隠し切れない狂気。だがそれでも私はこの男を信頼している。ここまで仕事は一切無駄なくやってくれた。何より、あのお方の紹介してくれた方であり、そして私と同じ者だ。


「準備はどうだ?」


「えぇ、今すぐにでも始められる程度には」


「そうか、ならばいい。俺も始めたいところだが、体裁というのは煩わしい、そして」


「何より、虫が混じっておりますからなぁ」


「ふん、まぁそちらは問題ない、今更遅い」


今更、王にばれたところで止められない。だから、今まで見逃していた密偵をこのタイミングで殺したのだ。このタイミングであれば、密偵を殺されたことで何か気づかれたとしても関係ないのだから。


「そうですね、ああ、あのお方の願いを叶えられる日が待ち遠しい」


「あの王を殺せるその日が待ち遠しい」





「奴隷の隠し場所は?」


「そ、それは知らない、知らされてないんだ」


知らされてない。相当厳重に隠されているらしい。


「聞かされている奴はいるのか?」


「い、いるとは思う。あの家畜どもを死なない程度には活かしてるはずだ」


私はその言葉にイラっとする。”家畜”、男はそう言った。人を人とも思っていないらしい。今まで、どんな扱いをしてきたんだろうか。


いや、不快に思っているのは私だけじゃないらしい。イドハさんもレーシュも、モロゾフも明らかに嫌悪感を抱いていた。


「あとは・・・」


他に聞きだす情報はあっただろうか?


「あ、あの魔獣はどこから持ってきたんですか? 魔大陸から持ってくるのは相当難しいはずですが」


「研究者だ」


「研究者?」


「城内ではそう言われてる、最近来た男だ。お、俺も素性は知らない。ただあいつが来てから色々と進み始めたんだよ!」


研究者、そんな存在がいるのか。進み始めた、というのは多分魔獣の話とかだろう。奴隷を連れてきたのも、最近という話だし。


「見た目はどんなだ?」


「白髪に眼鏡、正直それ以外にあんまり見た目は特徴はない」


何か言い方が引っかかる。目ため以外の部分に何かあるんだろうか?


「他には?」


「・・・領主とよく話してる。あと、いつもニコニコしてて気持ち悪い。なんていえばわからない、とにかく怖いんだ」


所謂勘というやつだ。何かをくみ取ったらしい。こういう勘は当たるものだ。気を付けた方がいいかもしれない。


私はなんとなくイドハさんの方を見る。イドハさんは斜め下を見ていた。ここ数日一緒にいたからわかるが、こういう時のイドハさんは何かが頭の中で高速回転している。とにかく考えている表情だ。何かわかったのだろうか。


「はぁ、こんなもんか、ジョゼ」


「うん、痛くはしないよ。でも、少しは家畜の思いを味わえばいい。テンイ」


人を奴隷と、家畜と呼んだんだ。この程度の報いは受ければいい。


「ちょ、ちょっと」


テンイはもう一度糸でぐるぐる巻きにする、男は必至で体を動かしていたがやがて沈黙する。そうなった時点でアークが収納した。


「とりあえず、時期は聞き出せたな」


「そうだね」


正直、いいニュースではなかったが。やることが決まったのは良いけど。後は奴隷の位置か。


「ふ、二人とも、演技お上手ですね」


「あぁ、俺も驚いた。ウミノ、良い演技だったぞ」


おお褒められた。女優とか目指そうかな、いやレッスンとかめんどそうだし、目立つのは嫌だな。やめとこう。


「ええ、驚きましたわ、ジョゼさんのこともそうですが、貴方も唐突すぎますわ」


「すまんすまん、年端もいかんお嬢様がいる状況で血は見せられんだろう?」


「そうですが、ジョゼさんも最初は理解が追い付いていませんでしたし」


むしろ、レーシュもイドハさんもよく一瞬で理解できたなぁ。


「つっても、大分危ない橋だったがな、あの聞き方だと途中で嘘だと気づかれた可能性はあったし」


なるほど、確かに聞き方的に嘘だとばれてたかも。明らかに初めて聞く感じだったし。


「じゃあ、あの人何でぺらぺらと喋ったの? 私ならそこまで聞いてたら聞く必要ないだろって言っちゃいそう」


「理由は二つ、一つは言わないと何されるかわからなかったから、言わないと死ねればまし、最悪永遠と拷問される羽目になってかもだからだろうな。多分言うはずのない味方がそこまで言ってしまった拷問というのを想像したんだろうさ」


ものすごく信頼していた味方が、情報を全部喋ったぞって言われて、実際に相手が知ってたら、何をされたんだろうかと勘繰ってしまいそうだ。本当はやっていない、というか今の人が最初だったんだけど。


「二つ目は、基本的には、こういう時全員から情報を聞き出すというセオリーを相手が知っていたからでしょう。情報というのは一人に聞きだしても効果が薄いんですの、基本的に嘘をつく可能性が高いですからね」


そうか、一人から聞いても、嘘なのか判別がつかない。だから、たくさんの人から聞いて、信憑性を確認のか。


「さて、この感じでできるだけ全員に聞いていくぞ」


やっぱりセオリー通りに行くのか。


私たちは、その後約五人に話を聞いた。その内三人は最初の人と同じように話した。一人は、全然話さなかったので、モロゾフが別室に連れて行った。その後戻ったときには怯えた表情で話していた。何があったのかわからないけど、想像したくないのやめとこう。そして最後の一人は。


「はははははははは、あいつらが話そうが関係ない! 俺は、俺は守られてるんだ! 裏切るなど言語道断だ! ははははは」


三番目に聞いた男は正直な話、狂っていた。その後、もう一度モロゾフが別室に連れて行ったが、それでも口を割らなかったらしく、とりあえず気絶して戻した。


「他の四人はいいですが、あのお方は一体?」


「あ、あの目は、何というか」


「嫌な目だね、あれは何かに縋り付いてる人間の目だ。薬物とかな」


正直不気味で仕方なかった。狂った人間の目と言うんは初めて見た気がする。薬物、モロゾフはそう言っていたが、あの時のことを思い出した。


「イズン草とかかな」


「ありえますわね」


「イズン草か、聞いたことあるな、この世界の薬物だったか」


かなり栽培方法が難しくて、希少だからあまり出回らないものらしいけど。私がマフィアにさらわれた原因になった草だ。それに、イズン草は相当貴重なものらしいから、一部の人間しか使われていないのも説明がつく。


「実際、情報を聞き出す時に使われることもありますわ、あれは少量でも依存性が強いうえに、猛烈な精神障害を引き起こすそうですから」


「なるほどな、なら逆もできそうだな」


「逆?」


「狂信者を作り出せるってことさ、盲目的に主を信仰し、言うこと全てに従い、絶対に何も漏らさず裏切らない、狂った兵士」


なんかすごい怖い。ここ数日怖い情報ばっかりでいやになるな。正直マフィアに捕まったときより不快な気分になっている気がする。


「でも、他の人はあの狂った人のこと何も言ってなかったよね?」


「お、恐らく普段は隠していたんじゃないでしょうか」


「多分尋問の時とか、緊急時だけ戻るように仕掛けてたんだろうな」


こっちの世界じゃありえないけど、異世界では何とも言えないなぁ。まぁ、あんまり考えるのはやめよう。


「ま、とりあえず、これで時期の話と、あとはよくわからん研究者の話は確定だろうな」


「そうですわね」


あの狂った人は置いておいて、他の四人は全員同じことを言っていた。結局奴隷のいる位置などは分からなかったけど、一つだけ手掛かりはありそうだった。


「あ、あとは後は奴隷のいる場所と研究者の素性、ですね」


「とはいえ、時間がありませんわね」


「だな、三日後にはケリをつけなきゃいけねぇ」


三日後、それが決戦の時になりそうだ。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

さて、最終決戦が近そうな予感ですね。とはいえ、南の町に来てから、まだ三日なんですが。誘拐されたときは真逆に一日の話が濃い。

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