転生者と女神
どうも、作者です。61話です。
さて、アサシン君はいったい何者なのか?
「な、何で私が日本人だってわかったの?」
「下の名前はヨーロッパっぽい名前だが、海野っていうのは苗字だろ? 俺の知り合いに日本人がいて、似た苗字だったからな、下野っていうんだが。とりあえず、苗字を先に言うってことは日本人だろうってな。見た目はヨーロッパのそれだがな」
今度はヨーロッパと来た。まぁ、私自身そっちの血が入ってるし、間違いないが、というか日本人の知り合いって言いぐさと言いこの感じ、まさか
「あなたも異世界というか、地球の人」
「ああ、お前と同じてんせ、じゃないな、転移者ってやつだ」
まさか、自分以外の転移者に出会うとは。私は転生者だけどそんなことはどうでもいい、本当にいたんだ。私以外の地球人。勇者の一件で他の転移者がいるのは知っていたけど、まさかこんな形で出会うとは。
確かに言われてみれば、ここら辺の人とはすこし容姿が違う。白いっぽい髪に、青い瞳、この人も多分ヨーロッパとかそこら辺の人だろうか、結構な美青年だ。すくなくとも日本人ではないだろう。
「ちっ、だがこんな形で転移者に出会うとは」
しかし、あっちは私に会えてうれしいというより、都合が悪いという感じ、というかなんだったら怒りとか憎悪とかそういうのを向けている感じがする。ちょっと不快、私何もしてないのに。
「お前一つ聞くが、この世界に呼ばれたときに、女神の声とか聞かなかったか?」
「え?」
その話、他の人に話していないのだが、言ってしまってもいいのだろうか? 後ろにウロクとイドハさんもいるのに。さて、どうしたものか。
まぁ、いいか。別にいったところで問題ないだろう。私、別にあの女神に何か言われたわけでもなければ、特に使命を渡されたわけではないし。
「聞いたよ、とか話したし」
「ちっ」
「え?」
後ろからイドハさんが驚いた声を出す。私は振り返る、どうしてイドハさんが驚いているのだろうか? そう思ってイドハさんの顔を見ると、動揺していた顔をしていた。一体どうして? そんなことを考えていると少し冷たい強風が道になだれ込む。いや風じゃない、これは、
「ちびちゃ!」
慌ていたのはウロク、一体。
キン! 刃と刃がぶつかり合う音がする。私の目の前で、イドハさんの方を振り返っていて前の様子が見えなかった。私は正面を向きなおす、目の前では、アサシンと獣が刃を向き合っていた。
「ジョゼ殿を害そうとするのは許さん」
「ちっ、さすがに分が悪いな」
「ちょ、ちょっと待ってよ、何で狙われてるの?」
どうやら、井汲から来たアサシン君の狙いは私で私に刃を向けたらしい。それを多分レーシュから報告を聞いたイサムが助けてくれたようだ。それは分かる
「お前があの女神と知り合いだからだ」
「あの女神? ってさっき言ってた?」
「ジョゼ殿、こいつを」
「イサム、ちょっと黙って」
「承知した」
一番困惑してるのは多分ウロクだろうな。今は構う余裕がなくて申し訳ない。私も結構困惑してるのだ。
「ああ、あいつは俺の敵だ」
「なんで?」
あの女神、何かやらかしたんだろうか? 確かに何かやらかしてそうであるが、だからって、話しただけの私を攻撃するのはやりすぎだろう。
「いやいや、私はあいつのこと、別に味方しようとか思ってないし、話しただけだよ」
どこからか、ひどいな~、一応いろいろしてあげたのに。という声が聞こえた気がするが無視する。私からすればあいつがどう思われていようが知ったこっちゃないし。
とはいえ、今の会話で、少しだけ首をかしげている。何か違和感を持ったのだろうか。
「それでも、話したことがある時点で、お前はあの女神の眷属だ」
全然話聞かないな~、もう。
「何、あいつに何かされたの?」
「された、だと?」
その瞬間、少年の顔は怒りで染まる。
「あいつのせいで、俺はこんな体にまで戻ったんだぞ! しかもそこから三年、いくら肉体を鍛えようが、この姿からまるで変わらない! それのせいで丸一年無駄になった!」
「ちょ、ちょっと待って?」
こんな体? 元からその姿じゃなかったの?
「どういうこと? 戻ったってどういうこと?」
「はぁ、やっぱりお前も違うか、俺はな、元は軍人だった、もうすぐ四十になるぐらいのな」
「「「・・・え?」」」
私だけじゃなく、後ろで静かに聞いていたイドハさんとウロクも驚いている。それもそのはずだろう、どっからどう見ても、十代も良いところの人間の少年がこんなことを言い出すんだから。
「え~マジで?」
「本当だ」
確かに言われてみれば、喋り方と言い、雰囲気と言い、普通の子供にしては大人びている。中々に説得力がある。あいつ、そんなことしたの? もしかして、あいつって美少年趣味なのか?
「くそ、あいつに転生させられてから、ずっとこの体だ」
・・・まって? ”転生”させられてから? だとしたらおかしい。
「ちょっとまって、ごめん、食い違いがあるかも」
「どういうことだ?」
「多分、君の言う女神と、私の言う女神、違うわ」
そういえば、この世界の女神が三人いるのすっかり忘れていた。
「「「・・・は?」」」
今度はアサシン君と二人がシンクロした。
「だって、女神が言ってたし、呼び出したのは私が初めてだって」
「ま、待て、お前の言う女神って誰なんだ?」
アサシン君がすごく困惑している。そんなに困惑する話なのか。
「え~と、確か、緑の月の女神? って言ってたな」
「んな~!?!?!?」
「りょ、緑月の女神様」
「嘘だろ?」
あれ? 私とんでもないこと言った? というか、さっきまで私の言葉を聞いて黙っていたイサムが声を荒げるとは、相当らしい。
「そ、そんなに驚くこと?」
「お、驚くも何も、りょ、緑月の女神さまだぞ!」
あいつ、様付けされるくらいにはえらいのか? というか、イサムがこんなに動揺しているのは珍しい。
「は~、ジョゼ、緑月の女神様ってのは、霊族を作った女神だよ」
「・・・え? つまりイサムとか、ギルマスの?」
「ああ、霊族からしたら、自分たちを作った敬うべき人だ」
本当にそんな神だったのか。
「・・・わかった。色々と聞きたいことがあるが、一旦後回しだ。とりあえず、急に攻撃したことを詫びる」
とりあえず、誤解は解けたらしい。私はほっとしていたが、他の面々はそれぞれ別の理由で、ただ原因は多分私の言葉によって頭を抱えているようだった。
「とりあえず、ここから出よう」
全員とりあえず考えていることを後回しにして私の言葉にうなづいてくれる。
「わかった、だがどうするんだ? こいつら全員運ぶのか?」
「そ、それより、まだ外を包囲している人たちがいるのでは?」
「ん? ああ、あの外にいた連中か? 全員気絶させておいたぞ!」
流石はイサムと言うべきか、いつの間にか上にレンズがいるし、二人で協力したのかな。まぁちょうどいいや。それなら簡単に戻れそう。
「だが、こいつらどうやって運び出すんだ?」
私はとりあえず、テンイを退去させてアークを再度呼び出す。先ほどと同じことをやってもらえばいい。
「とりあえずアークで運び出すよ」
どうやら人間を入れたままの退去はできないようだから、しばらく召喚獣の召喚上限で新しいのが呼び出せなくなるけど、しばらくはイサムにくっついていよう。ということでとりあえずギルドに戻る。
「・・・なるほど。よくよく考えてみれば、ジョゼさんの召喚獣は緑月の女神の権能そのものですね」
「そうなのか?」
「あ、わ、私も詳しくは知りませんが」
「いや、そうか。緑月の女神は過去の女神にして」
「誕生の女神、ジョゼさんの召喚獣はどなたもこの世界にはいないと思われる獣です」
「なるほどな、召喚である以前に創造か」
「ギルドマスター様はとっくに気づいていたんでしょうね」
「ま、とりあえず今は目下の事案だろ。あの怠惰が受けたんだ、ちゃんとこなさないとな。それにちびちゃんはどこまでいってもちびちゃんだからな」
「・・・ジョゼ様のこと、よく知ってらっしゃるのですね」
「いや、俺なんてまだまだだよ」
「おーい、二人とも早く~」
二人は歩く、少女の歩調に合わせるように。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
さて、思ったよりも濃い情報回だったと思います。新たな転生者、緑月の女神の情報、などなどいろいろありましたが、次回は本筋に関してになるかと思います




