表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/90

蜘蛛の巣・反転

どうも、作者です。60話です。

そう、今回で60話、約二か月分です。ついでに20万字にも今回で達成しました。我ながらよくここまで書けたなと思います。ただ、もう少し続くので頑張りたいと思います。さて前回の続き、反撃開始です。

カイリ様の目的を邪魔されないため、我々は町の中に潜んでいた。少し前の王の密偵を始末して以来、生涯はないと考えていた。計画まであと少し、最終段階まで来ているのだ。新しい密偵が来たところでもう遅いと、そうふんでいた。


案の定、帝都からきてであろう人間が情報を集めていた。だが、我々は失敗した。そいつを始末しようとしたが、逃げられてしまった。こちらの動きをわかっているかのように、一度見失ってからは遭遇することさえかなわなかった。俺たちは必至でそいつの足取りを追ったが、全く見つからなかった。


その上、どうやら今回の相手は単独ではないらしい。次の日も街を監視していると、別の人間が情報収集をしていた。しかも、今回の相手は人がいないルートを通っていないのを見るに我々の動きも伝達されているのは間違いなかった。


その上、教会は不干渉領域、主にもその中にはカイリ様に入るなと命じられた場所だ。そのため、中ではどんな話をしているかはわからなかった。だが、教会を出た後は商人から情報を聞き出していた。問題は美術を扱っている下級の商人だった。


その商人は、カイリ様が密輸した例の植物を預かっている商人だった。無知であるが故に都合がよかった相手だ。どうやら協会でこの承認を手伝うように言われたらしい。だがこれは好機だ。あいつの仲間も手伝いに来るという情報まで得た。つまり、まとめて始末できるチャンスだった。


もし、あの植物の存在がばれたとしても、何、商人ごと始末してしまえばいいのだ。別に商人の一人が死んだところで、さして問題にはならない。


我々は今までで最も綿密な陣形を組んだ。敵にばれぬように組んだ包囲網、何人かは犠牲になっても、相手全員を殺せる陣だ。いやそのはずだった。


何故だ? 何故だ? 連携をしている味方が次から次からへと消えていく。伝達役の俺以外は気づいていない。外の包囲網が突破されているのではなく、中の始末役の奴らがどんどんいなくなっている。だがやり方がわからない。先ほどまであいつらは逃げるだけだった。勝てるほどの力など、なかったはずだ。まずい、このままでは、


「お前か、伝令兵は」


は?


「すまんね、死んでくれ」




「二人とも、囮になってくれない?」


「「は?」」


二人ともぽかんとした顔をしていた。


「えと、しゅ、しゅいましぇん。さ、先ほど囮になると言った手前も、申し訳ないんですが、ど、どうしてですか?」


「私はね、少しムカついているんだ。このまま逃げるだけじゃ気が済まない」


多分、アークを利用すれば、安全圏まで出ることはできなくはない。見つかるリスクはあるけど、いけないことはないだろう。


「つまるところ、逃げんじゃなくて」


「捕まえる」


幸いここは、人がいない裏道、いや相手が人払いをしてくれた裏道だ。召喚獣が見られる心配はない。それにあの子はレンズのつぎに隠密能力が高いっぽいからばれにくい。それに一番の懸念だったノルマさんは気絶している。ばれたら、もう巻き込むしかないけど。


「大丈夫なのか?」


「ま、()()()ちゃんを信じるしかないかな」


「や、やります」


「いいのか?」


「そ、それが最善だと思うので」


覚悟を決めたイドハさんの顔をウロクがまじまじと見つめている。その顔を見てウロクは折れたらしい。


「はぁ、やりますよ。まぁ、今更か、お前の無茶苦茶に付き合うのは」


別に私から無茶苦茶をやるのは今回が初めてだと思うんだけど。まぁいいや。


「じゃ、やりますか~」


さて、この蜘蛛の巣を反転してしまおう。


『出でよ、縫糸の獣、縛る者、縫合獣、テンイ』




逃げる三人組を見つけたと思ったら、消えた。恐らく魔道具によって目をつぶされたあと、復帰にはそう時間がかからなかった。この先の道は行き止まりのような状態だ。このまま追いつける。そう考えたが、しかし、道の先を探せどどこにもいやしない。一体どこに逃げたのか、そう、近くの道を探したが見つからない。


さて、どうするか、とりあえずもう一度探すしかないか。伝令役の人間に報告してからもう一度探しに行く。まだ、この裏路地から出てはいないはずだ。


建物から建物へ飛び移る。ここら辺にいる人間は追い出しているから、飛び回っても問題ない。そもそも魔道具によって姿を隠しているから、問題はない。相手にもその姿は見つかっていない。恐らく大丈夫だろう。


いた、だが一人だけ、一番小さい女だ。何故一人なのか、考えることがあるとすれば、分散して逃げることで一人でも生き残ろうとしているか、一人が囮になって他の人間が待ち伏せをしているか。しかし、三人の中で一番実力がありそうなのはこの女だが、それでも、俺たちにかなうほどではないだろう。


それに、現れた謎の人間はまだ足止めできている。そいつは相当な実力者のようだが、足止めができている問題はないだろう。


俺は慎重に相手の背中に向かう。ナイフを投げる、相手の頭に吸い込まれるように飛んでいく。当たった、そう確信した瞬間だった。ナイフは当たる寸前に止まった。どういう、ことだ。


「一体何」


とりあえず、もう一度ナイフを、体が動かない!? 何故だ、体に何かがまとわりつい、いや違う!? 縛られている!? 一体何に、いや先ほどまで何もなかったはずだ、一体何が?


「これで一人」


その声と同時に全身を縛られ、五感が効かなくなる。





「これで一人」


「せ、成功したんですか?」


「うん、これが私を追ってたやつの一人」


私は白い糸でぐるぐる巻きにされて、全力で体を動かしている奴を指さす。どうやら、糸から逃れようともがいているらしい。ちょっとおぞましい。


「ということで、このままよろしく、テンイちゃん」


「えと、そのテンイ?さんはどこにいるんですか?」


「ああ、ごめん。見えないよね。出てきていいよテンイちゃん」


姿を見せたのは、巨大な黒い蜘蛛だった。


「こ、この黒い蜘蛛がテンイさんなんですか」


「ひ!?」


「あ、ウロク」


別の場所で囮をしていたウロクがこっちに来た。大の大人のウロクがビビッて、見た目はちっこいイドハさんがあっさりと受け入れていた。ちょっと面白い。


「こ、こいつが例のテンイちゃん? ただのすっげーでかい蜘蛛じゃねーか」


「なにを~? テンイちゃんはとてもいじらしい子なんだぞ」


実際、今のウロクの怯えた姿に驚いて私の後ろで丸くなってしまっているじゃないか。いじらしくて、しおらしいかわいい子なんだぞ。


「レンズとは別なのな」


レンズはふてぶてしいところがあるからなぁ。正直ナインが頑張り屋さんだとしたら、テンイは寂しがりやって感じだ。まぁ、二匹ともめちゃくちゃ強いけど。


「それじゃ、残りもやろうか」


一人、また一人と捕らえていく。その度、白い人間大の繭が増えていく。そろいもそろってもがいているので不気味である。今捕まえたので、六人。あと何人だ?


「そいつで、中にいるのは全員だよ。他の奴は俺がやった」


「ん、誰?」


「あの貴族のお嬢様が言ってたやつだろ」


ああ、例のアサシン。


「でもどこに」


「暗殺者ですし、隠密系の能力でしょうか?」


「流石に姿を見せるべきか」


姿を現したのは、明らかに私よりも幼い少年だった。


「え? 子供?」


アサシンの正体は幼い少年だった。


「えと、と、とりあえず、自己紹介ですね」


二人は順番に自己紹介をしていく。


「ウロクにイドハ、短い間だがよろしく頼む」


「おう」 「は、はい」


次は私の番か。


「私は海野ジョゼ、よろしく~」


「・・・海野? お前、日本人か?」


「え?」


異世界ではほとんど聞かなかった祖国の名前が出てきた。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

さて、前々から登場していたアサシンがようやっとメイン登場です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ