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蜘蛛の巣

どうも、作者です。59話です。

足の疲れってどうしたら取れるんですかね。

ニスロク草:魔大陸に自生する草、一部魔獣に対する強い依存性を与えるにおいを発する。この草のにおいをかいだ魔獣は周りの物ごと草を食べようとする。


私が『鑑定』したのはその草だった。それ自体はおかしなことではない。むしろ有益な情報だ。しかし、私にとってその視界は奇妙で仕方ない。


何故なら、私の視界とレンズと共有した視界、二つの視界にその草の情報が()()()出てきていることだ。


私の視界にあるそれは、ノルマさんに見せてもらった領主直々に美術商より勝ったという壺の緩衝材として使われていた。何故そんなことになっているのか、こういうやり口はテレビなんかで見たことがある。所謂密輸だ。他の物で隠蔽することで目的の物を安全に入手する。そういう言う手口だ。


「ほぉ、良い壺だな」


「ノルマさん、この草知ってる?」


「この草か? いや知らんな、と言うかただの緩衝材だろ」


やっぱり、ノルマさんは知ら、


ナイフが飛んでくる、私は気配に気づいて何とかナイフを視認する。私の方はぎりぎりで回避できる。しかし、ノルマさんの方は反応できてない、まずい! 顔に一本、足元に一本、だめだ召喚も間に合わない。問題は顔に飛んでて来たナイフ、ダメだ、どうあがいても即死する!


「ノル・・・!」


「ぐわああああああ!」


ノルマさんは声を上げる。相当痛いだろう。でも、声を上げているということは、即死していない。つまり、顔に飛んできたナイフは誰かがはじいた? イドハさん? ウロク?


しかし、二人はノルマさんの声でようやっと事態に気づいたらしい。つまり防いだのは誰だ?


「ナイフを投げてきた()()はある程度引き受ける。ギルドまで逃げろ」


見えない誰かにそういわれる。しかし、それはまずい。この草を放置してはいけない。もしかしたら、魔大陸の草で、魔獣を引き付ける草、これは確実にあの強い魔獣を引き付ける草のはずだ。


私はレンズで声も共有する。


「草を燃やして! これは魔獣を引き付ける!」


その言葉にレーシュとイドハさんが反応する。


二人はそれぞれのやり方で草を燃やす。その間にも剣戟の音がする。見えない誰かが戦ってくれてるらしい。相手の人数がわからない以上、いつ見えない人の先頭から抜けてくるかわからない。速く逃げなきゃ!


「ミノさん! ノルマさんの処置完了しました!」


「うん、じゃあ逃げよう!」


どうやらイドハさんは治療を施してくれたらしい。


「ノルマさん! 動けますか!」


「あ、ああ、で」


「ジョゼさん。そちらで何かあったんですか!?」


「話はあと! 今は”安全圏”まで逃げる!」


「「! 了解!」」


レーシュとウロクが応答してくれる。私はレンズの共有をいったん切る。今は逃げるしかない!


私たちはウロクがノルマさんを抱えながらどうにか逃げる。でも、ノルマさん抱えたままでは、どうしても遅い。かといって見捨てるわけにはいかない。あいつらは多分、この前ウロクを襲った領主の兵士たちだ。相変わらずの隠蔽能力の高さ、どうやったらあの隠蔽能力を手に入れられるの!?


私も機動力があるほうじゃないし、このまま逃げ切れるか、ダメだわからない。あの時はレンズがいたから相手の情報が取れたけど、今回はそうはいかない。どうする? 見えない人が相手を全員食い止めてくれるのを祈るしかない!


「! ジョゼさん危ない!」


私の後ろを走っていたイドハさんが私に体当たりする。私がいた場所にはナイフが飛んできていた。つまり、一人漏れてきた!? やはり、想定よりも人数が多い。


私は碌にお礼を言えないまま、体勢を立て直す。とにかく今は、いやでも今のままじゃ逃げ切れない!


「これでもくらえ!」


そう言ってウロクは何かを投げる。小さい球だ。


「お前ら走れ! 『オープン』!」


私たちはその一言で一斉に走り出す。それとほぼ同時、後ろが直接見なくてもわかるほどの強い光が発生している。どうやらウロクが投げた球の仕掛けが発生したらしい。先ほどナイフを投げたであろう相手がその光をもろに受けたのか声を上げている音がする。


それにしても、今回一番致命的だったのはノルマさんの倉庫がそこそこ入り組んだ裏路地にあったことだ。これでは人通りが多い場所に行けないし、闇雲に走っていたせいで今の道がわからない。そう、私たちは完全に迷っていた。


「ウロクさん、今の位置は分かりますか!


「すまん、俺も逃げるのに必死になりすぎた! 面目ねぇ!」


今の位置さえわかれば、作った地図をもとに動けるけど、肝心の場所がわからない。どうする。


「ちっ! 奴らどこに行った!」


「やばい」


ウロクが小声で言う。恐らくさっきの奴が復帰したらしい。このままではまずい。そうだ、


「おいジョゼ、あいつがここ来るぞ」


『出でよ、箱舟の獣、運ぶ者、移送獣、アーク』





「よくやったアーク!」


「あんまり大きい声が出すな」


私たちはアークの空間収納の中で逃げ込んだ。アークを出した時に極限まで小さくした状態で出した。アークも隠れる能力がある。喋らないけど、基本的には私の召喚獣の知能は高いらしい。それに安全だと思った時点放り出してくれた。


それに、一連の動きのおかげノルマさんが気絶してくれて助かった。おかげさまで召喚獣の存在がばれずに済んだし。


「これで逃げ切れたかな?」


私たちは大通りに逃げようとするしかし、またナイフが飛んでくる、どうやら大通りへの道は防がれているらしい。追ってこないとこを見ると、確実にそうだろう。


「こうなると、ギルドへの道は相当遠回りになるな」


ギルドは大通りの方に接している。そのため、最短で行くならどうしても人が多い道を通らないとならない。


「せめてこの前のような抜け道がつかれば」


「そ、それも、相当遠いですね」


だめだ、八方ふさがりだ。それに、あの敵を引き付けてくれる人がいつまでもつか、わからない。いや案外やってくれてたりするかもだけど。多分あの人、レーシュが言っていたアサシンだ。というか、それぐらいしか助けてくれる人が思い浮かばない。


「ここは、私がおとりに」


「いや、相手が何人いるかわからない以上囮も意味ねぇかもしれねぇだろ」


「ですがやらないよりは」


「あーもう、犠牲になろうとすんな、そういうのは成功しても後味悪いだろ!」


二人が言い争っている。うーん、仲良くしてほしい。それにちょっと声が大きくなってるな。


しかし、ウロクの方は一息ついて落ち着く。


「とりあえず囮になっても無駄だ。どうせ、外に出るのはきつい。これじゃ蜘蛛の巣だな、逃げられねぇ」


蜘蛛の巣・・・それだ。あの子を使おう。


「二人とも、囮になってくれる?」

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

さて、ジョゼの見たものの正体が分かったのもつかの間、今度は一転ピンチです。ジョゼはどう打開するのか、次回、ようやっと新しい召喚獣がだせます。お楽しみに。

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