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魔獣調査・二日目

どうも、作者です。58話です。

アイスっておいしいですよね。さて、魔獣関連の調査、どうなるでしょうか。

ジョゼさんたちと別れたあと、調査の前に魔獣たちを減らしに行く。昨日も他の冒険者たちが来なかったようだし、冒険者が働いておらずに町に被害があったとなれば、ギルドの名誉にかかわるだろう。イドハさんにも迷惑が掛かってしまう。


私と灰氷様は昨日魔獣が集まっていた地点とは別の場所に行くことになった。彼曰く、匂い的にここに魔獣がたくさんいるとのこと。流石は犬の妖精、嗅覚がするどいようだ。


「あ? てめぇは」


「こ、こいつあんときの!?」


サビれた鎧の冒険者と、丁寧に手入れされたローブを着た冒険者と出会う。


「ん? どこかで会ったか?」


イサムさんはすっかり忘れているようですが、鎧の冒険者の方はあの時、灰氷様に気絶させられていた冒険者ですね。どちらかというと、ジョゼさんにぞんざいに扱われていた記憶の方が強いですが。あのあと、結局イドハさんに諭されて普通に開放されていましたが。


「な、なんでてめぇらがここに!?」


「ん? 何故と言われても、冒険者だからだ!」


灰氷様も普通の冒険者であるのですから、魔獣討伐の依頼をしていてもおかしくはないだろう。いや、普通の冒険者ではないのですが。


「・・・いや・・・でもい・・・別におかしくねぇな」


文句を言おうとしたのだろうが、特に反論できる要素がなかったようだ。


「いや、おかしいだろ、何でこんなに強い冒険者がこの街に来やがる。でけぇ刀にその風貌、相当のファンでもなければ本物だろ? お前」


流石に気づく人がいるらしい。当たり前ではある。SSランク冒険者など、いやでもその名声が届いていることだろう。


「その前に、魔獣を蹴散らしましょう」


このままでは、話もできないだろう。


「そうだな」


ローブの冒険者は私の言葉に賛同してくれる。ということで、四人で敵を蹴散らす。敵が弱いせいか、灰氷様は低燃費の動きである。それにしても、このローブの冒険者は動きがいい。こちらの冒険者とレベルがそう違うとは感じない。こっちの考えをしっかりくみ取って動いている感じだ。


「それで、本物ってなんだ」


低燃費だったとはいえ、それで気づかないのは


「バカが、この街のぬるま湯に浸りすぎだろてめぇ! 灰氷だよ! SSランク冒険者の!」


「え、えー!?!?」


私とローブの冒険者は呆れた顔をしている。いや、そもそも雰囲気で明らかに強い冒険者だとわかるだろうに。


「はぁ、灰氷様、どうかこいつのことを許しちゃくれねぇか、できればあの場にいたほかの冒険者も。こいつらはこの街っていうぬるま湯に浸り続けたただのあほなんだ。それにあんたにビビり散らかして、まともにギルドにもいきやがらねぇ」


「そ、その言い方はね」


「ばかかてめぇ! SSランク冒険者に喧嘩売る人間はバカかSSランク冒険者ぐらいだろうが!」


「は、はい」


あのお方、すごい苦労してらっしゃいますわね。なんだか、ウロクさんと同じ匂いがします。


それに対して、灰氷様は何の話をしているかわかっていない顔をしている。だが、どうやら思い出そうといて思い出したらしい。合点がいった顔をしている。


「ふむ、許さん」


「「「え?」」」


すがすがしいほどの笑顔でそう言い放つ灰氷様。特に怒りなどもなさそうなのになぜ? 基本こういうことには寛容な方だと思っていたのに。


「某が害されていたのは特になんとも思っていないが、ジョゼ殿を害そうとしたのは許さん」


「それは許されませんわね」


「「え?」」


「それはそうでしょう、彼女はただの案内役で冒険者でもないただの少女ですよ。いくら何でも許されないでしょう」


召喚獣がいるとはいえ、本人はか弱い少女である。


「あ~、それは許されんな。あきらめろ」


「え?」


三対一がいつの間にか一対三に変わっていた。しかし、仕方がないことだろう。


「え? 俺もしかしてここで死にます?」


私は目をそらし、ローブの冒険者は何とも言えない作り笑いを浮かべていた。あきらめろと言わんばかりに。


「・・・救いは?」


その言葉で、あきらめの境地に入ったようだ。そこで灰氷様は手、ではなく口を動かす。


「しかし! あの時、害されたジョゼ殿が許せば俺も許す。だから! 今は何もせん!」


「救いあったーー!!」


鎧の冒険者は歓喜に飛び跳ねている。ジョゼさんなら許しそうですからいいんでしょうけど。


「ふー、まぁこいつのことは置いといて、結局天下の灰氷様はなんでこんな街に来たんだ? SSランク冒険者が来る街じゃないだろ?」


それに関しては、ちゃんとカバーストーリーがあるのでしたね。というか、彼的にはそっちがメインでしたか。


「主を探している。自分の生涯を尽くせる主を」


クー・シーの中でも、さらに希少な種族たる真狼という種族の特性だ。彼らが真狼野村から離れるときというのは、生涯を尽くす主を見つけるためだという。その在り方は王にわが身を預ける騎士として、そんけいすべきものだ。実際、彼らの在り方によって、狼は忠義の証となっている。


「なるほどね、妖精の在り方っていうのはよく知らんが、そういうことならまぁ、納得できる。だが、それならこの街の御当主様はおすすめしねぇぜ?」


当主様、つまりダハーカの当主だ。何か情報を聞き出せそうである。


「貴方はこの街の当主について、知っているんですの?」


「・・・まぁな、はぁ、迷惑料代わりに教えてやるよ。俺の母が当主のところで使用人をやっててな。ま、一言で言えば乱暴だったんだ。それが十年前から激しくなってんで、逃げたわけだ」


つまり、ローブの冒険者の母親も実害があって耐えられなくなるほど、人に当たるお方だったと。


「つまり、」


「下々の方を害すようなお方、ですわね」


「ふむ、主としするには、だめだな」


「そいつは、良かった。最近は町の人間が優しくなったと言うもんだから、不気味だがな」


きっと、商人の方々がずいぶんと利益を上げて言うというあれのことだろう。だがその割には、


「俺たちからしちゃくそだがな」


鎧の冒険者は嫌悪感をにじませながら、そんなことを言う。


「どういうことですの?」


「俺たち冒険者に対して、くそみたいな要求ばっかしやがる。魔獣を一日百体は倒せだの、町の修理に無償で参加しろだの、要求がいちいち理不尽なうえ、達成できなかったらそれを誇張して街に流す。そんなことされれば」


灰氷様が、明らかに嫌悪感をにじませている。それはきっと冒険者として、


「町の人間からの信頼を失って、一切依頼が来なくなる」


「そして、冒険者の必要最低限の仕事である、魔獣討伐ぐらいしかやることがなくなる、と」


なるほど、それが理由だったんですか。はぁ、今度イドハさんを問い詰めなくては。どうしてちゃんと言ってくれなかったの、と。


「あぁ、いわゆる冒険者いじめだ。それに」


ぐ~! そんな気の抜けた音がした。しかも二つ。


「・・・てめぇら、はぁ、とりあえず食える草やらを取ってこい。俺が作ってやるから」


どうやら、彼が作ってくれるらしい。


「「わかった!」」


「すまんな、うちのあほが・・・あれほんとにSSランク冒険者なんだよな」


「知能以外は」


「・・・そうか。どこまで話したんだっけな。そうだ、冒険者いじめだ。それで、被害が言ったのは、冒険者だけじゃねぇ、ギルドの人間もだ。それで、そのいじめにつかれた奴から」


「この街から出て行ったり、やめたりした、という訳ですか」


「そういうこった、今残ってるのは帝都から派遣されたイドハさんと、冒険者をやめられないか、この街から出ることもできない弱くて馬鹿な奴らぐらいだよ」


この街、いやこの地域は魔力濃度が薄いがゆえに、出て来る魔物は弱い。それゆえに、他の町に行ったところで、勝てない魔物に対峙するだけだろう。かといって他の職につくこともできないような人達、ということになるのだろうか。ですが、もう一パターンの人がいる


「それか、そんな人たちを見捨てられない人か、ですか」


「ふん、そんな奴いねぇよ」


「ま、あいつらが頑張れてるのは、あの神父様のおかげもあるんだろうがね。あぁ、神父ってのはこの街のな、誰にでも分け隔てなく接してくれるってんで、あいつらもよく行ってるらしい」


神父、またその名前が出てくる。本当にそのお方は何者なのだろう。


「おーい、採ってきたぞ!」


「おう、準備してやるよ」


この街のギルドが未だ保っていられるのはきっと、あきらめきれない人たちのおかげなのだろう。だが、それでも冒険者の質は低いと言わざる終えない。町の状況がひどいのは、冒険者が満足に働けないがゆえに、魔獣に襲われているところがありそうだ。


「てめぇ、食えねぇ草も採ってくるんじゃねぇよ。これは、なんだ初めて見るな? 新種か?」


「いや、それはこいつが」


「なぬ、某はちゃんと匂いでかぎ分けたぞ!」


なんというか、彼らは意外に気が合うみたいですね。


私たちはローブの冒険者が作ってくれたスープを飲む。ジョゼさんのもおいしかったが、こちらも中々、むしろ自然から採ってきたものと調味料だけで、ここまでの物ができるのはむしろジョゼさん以上と言えるかもしれない。


「さて、私たちはそろそろ、!?」


知っている気配、これは!?


「どうしたんだ? 嬢ちゃん」


「ちっ! なんか来やがる」


地ならしのような音が近づいてくる。これは昨日の


「任せるがいい」


そう言って、黒い獣を次から次へと屠っていく。数にすれば五匹程度、一分とかからなかった。


「なるほど、本当にSSランク冒険者らしい」


でも急にどうして、


「こやつら、昨日より興奮していたな!」


「昨日より?」


「昨日も興奮気味で、攻撃が単調だったからな、だが、今日はそれどころではなかったぞ」


意外な情報が・・・もう少し、灰氷様の感覚を聞いてみるべきですわね。それはさておき、私は、しれっと肩で寝ていたレンズさんを起こす。ジョゼさんに魔獣たちを『鑑定』してもらおう。死体でも何か情報があるかもしれない。


「もしかして、こいつか?」


「? 何かありましたか」


レンズさんの視界がジョゼさんと共有される。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

さて、何があったのか次回をお楽しみに。

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