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魔獣調査

どうも、作者です。54話です。

レーシュとイサム側の話です。もう九月で吐きそうです。

魔獣、魔力の多いところやダンジョンなど生まれる獣たち。手懐け、戦力とすることもできるが、基本的には人間を襲う害獣だ。そのほとんどは通常の攻撃が効きづらく、レベルによって上がるステータスの数値をもって対抗することになる。ようはステータスが高くなければ、どんなに筋力があっても魔獣狩りには不向きということである。


そういう意味では、私はあまり魔獣狩りに向いていない。騎士という職業はあまりステータスが伸びない、代わりに素の筋力の方に補正がつくため、人相手には有利になりやすいが。ただ、技術だけは関係ない。魔獣相手だろうと、人相手だろうとそこに培われている技術だけは関係ないのだ。


「東三匹、北五匹、追加ですわ」


「おう!!」


私たちはあまり人が近づかないという方向にきた。イドハさん曰く、冒険者たちここには来ないらしい。行ってみる価値はあるかもと言われていた場所だ。朝のうちはよく冒険者たちが討伐依頼を受ける場所にいたが、魔獣は多かったものの、特に手掛かりがなさそうであった。


そこで、イドハさんに言われていたここに来たという訳だ。そうすると今戦闘しているこの魔獣たちに遭遇した。


私は、一切警戒を崩さないように周囲を警戒しながら目の前の敵の攻撃をよける。あの森の時より魔獣たちが強い。というより、でかい。全体的にでかい。見た目は四足歩行のたてがみを持った黒い獣だ。速い、パワーもある。レベルで言えば50程度だろうか。


敵の攻撃は早いが単調だ。これであれば、落ち着いてみれば避けられる。避けては斬撃を当てる、しかし一向にダメージが通っている気配がない。だが、確実肉はそいでいる。ダメージが通らないのであれば、血を抜き続ける。


確実20回は切りつけた。そのおかげか、敵の動きはどんどん鈍っている。私の顔めがけて放った一撃は私に到達することなく魔獣は倒れこんだ。


「流石だな! えーと、レーシュ殿!」


初めてちゃんと名前を言ってもらえた。今日だけで何度間違われたかわからないが、ようやっと覚えてもらえたらしい。


褒められはしたものの、正直なことを言えばあまりそんな気はしない。私が一体に苦戦している間、灰氷さんは八匹はなで斬りにしている。強すぎる。その上、私の方に被害を向かないように敵をヘイトを買っている。遭遇してからここまで12体、そのほとんどを自分の方に向けておきながら、彼は一切ダメージを負っていなかった。


そこから、私がもう一体を倒している間に、増えた3匹を含めた13体を倒していた。


「灰氷さん、ここまで強いとは」


「何を言うか、むしろ某の方が驚いた!」


「そ、そうですか?」


「うむ、そもそも、お主は魔獣を倒すことに向いていない。それでいてあそこまで戦え抜ける時点でお主は十分強いだろう」


確かにそうかもしれない、だが私が真にその実力差を痛感したのは、


「確かにレベル差の問題もありますが、それ以上に私が驚いたのはあなたの剣術ですわ」


「剣術か」


正直、見たことがない剣術だった。彼の半分ほどの大きさはある片刃の剣を簡単に振り回しているように見えて、相手の動きに的確に合わせている。その上、ものすごい速度の抜刀は異常な速度で敵を切っていた。


足運びにしろ、避け方にしろ、達人と言っていい動きだった。剣にしろ動きにしろ全く違うため、あまり参考にはならないが、それでも強さだけでなく、その高い技術に敬意を表するべきものだった。


レイドさんといい、灰氷さんといい、SSランク冒険者とはただ強いだけではないのだと思い知らされる。自分はずいぶんとこの剣を使い慣れてきたと思っていたものだが、まだまだ彼らの技術には遠く及ばない。


「はあ、高みというのは見えてやっとスタートラインですわね」


「ああ、鍛錬に励むがいい!」


「あいかわらず、ストイックだな! お嬢様!」


ジョゼさんより預かったシゼルさんが話しかけてくる。ジョゼさんより、今回は外の探査の方が役立つだろうと、私に預けてくれた。ついでにここら辺にしかない植物を食べさせてほしいともいわれたが。


「それで、こいつらが最近暴れてる魔獣なのか!」


「恐らくそうですわ。そもそも、ここら辺の地域でこのレベルの魔獣が出るというのはあまり聞いたことがありません。・・・いたとしても、あの”厄災”の時に殲滅させられているはずですわ」


あの厄災以来、このあたりの魔力濃度がずいぶんと薄まって、そう強い魔獣が出る地域でもなくなったはずだ。ダンジョンができたならば別だが、その話も聞いていない。


「ふむ? だとしたらなんでここら辺にいるんだ?」


「考えられるとしたら、一つだけ。意図的にこの土地に持ってこられた場合ですわ」


「意図的に、というと?」


「誰かに連れてこられたってことだな!」


「なるほど!」


テンションが高いもの同士でも、頭の良さには差が、いややめておきましょう、侮辱行為ですわ。


「確かにここら辺では見たことがない獣だな!」


そのとおりである。こんなにも強い魔獣、それもこのあたりでも見たことがない魔獣となれば確実に誰かが意図的に読んだ魔獣だろう。


「だとしたら変だな!」


「? 変ですか?」


「ああ! だってそうだろ! こんなに強い魔獣がいるのに、ギルドの方に要請が来てないのはおかしいだろ!」


「いえ、確かギルドに魔獣討伐の依頼は来ているはずですから・・・いえ、そういういことですか。ちょっとお待ちくださいまし」


シゼルさんの言う通り、おかしいかもしれない。


「灰氷さん、ダマ―ヴの冒険者たちのレベルはどれくらいかわかりますか?」


「ん、うーむ、あまり強くないが」


流石にレベル差がありすぎてあまり差がわからないみたいだ。しかし、冒険者たちの情報が欲しくなってきた。


「十分収穫はありましたし、今日のところは帰りますか」


「そうだな、あまり狩りすぎると他の冒険者達に文句を言われてしまうかもしれん!」


やはり冒険者同士だとそういうことを考えないといけないのですか。貴族の間でも、面子を考えたりするものですし、どの界隈でもやはりそう言うの張るのですね。


「そうだな、そうした方がいいぞ、貴族殿」


「!」


灰氷さんが咄嗟に剣に手をかける。音もなくあらわれた()()に警戒心を向ける。


「お待ちくださいま」


私は灰氷さんに声をかける。この方は敵ではない。


「到着しましたのね」


「すまんね、遅れて」


姿は十代前半のそれであるのに、その姿からは老練のそれを感じさせるその人は王がよこした()()()()であった。


「いえ、貴方の仕事的には早いくらいですわ。それに私が到着したのも昨日ですし。あ、灰氷さん、このお方は味方ですわ」


「そうか!」


一言で納得してくれた。話が早くて助かる。


「そうか、それならよかった。あと早めにここは慣れた方がいいと思うぞ、随分と化け物どもをお前らにぶつけたいらしい」


「それはまずいな!」


そういって、灰氷さんは剣を再び抜こうとする。


「灰氷さん、ここは退きましょう」


灰氷さんはすこし、いやそうな雰囲気を醸し出している。


「しかし!」


「おい犬頭! お嬢様のことを信じてやってくれ!」


シゼルさんの言葉に私は目で肯定する。ジョゼさんは言っていた。頭は悪いが、話は通じる。灰氷さんは私を見定めるように私の目をのぞき込む。そうして少しして先ほどのように笑う。


「わかった!」


私たちは全速力でギルドに戻る。恐らく今度はもっと大群で来る。ここで灰氷さんの戦力をばらしたくない。今は撤退するべきだ。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

新キャラ登場です。この作品初のショタ、どんな活躍しますかね? それと、多分捕捉するタイミングがないのでここで言いますが、この時点のレーシュのレベルは30ぐらいで、その上魔獣相手に強い職業ではないです。その状態でレベル50クラスの魔獣に勝ってるレーシュは十分化け物です。

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