不審者から逃げ切れ!
どうも、作者です。49話です。
次で50話になります。続けられていることに驚いています。完結まで頑張りたい。
ダマーヴのギルドの受付嬢イドハさんとレーシュ、二人の仲間を加えて南の貴族の調査をどうするか、話し合うことになった。と言っても、肝心のウロクがいないので呼び戻すことに。一番情報集めに精通しているのにいないのはまずいだろう。
私はレンズと視覚と聴覚を共有する。すると、かなりブレブレの映像が流れてきた。どうやら走っているらしい、恐らくウロクの肩に乗っているだろうが、右耳かウロクの息を切らした声が聞こえてくる。
レンズは私が急に接続して驚いたのか方から飛び立った。まさかレンズさぼってた? うーん、基本仕事依頼してないときとか眠りこけているし、あり得るな。まぁ、レンズの件はあとにしよう。
「どういう状況?」
「うん? その声、ジョゼか!? やっと伝わった! いや今結構やばくてな、なんでか急に襲われてるんだわ! 助けて!」
「本当に何もしてない?」
「普通に最近の町の情勢聞いてただけだわ!」
ウロクは何だかんだ言って人当たりはいいし、情報屋として交渉術にたけている人間だ。確かにへまするとは思えない。
ウロクはいったん隠れられたらしい。壁際の陰で息を整えている。
「一体誰に襲われてるの?」
「それが、わからん」
「は?」
どういうこと? 話しかけた人に襲われたんじゃないの?
「俺が町の人間に話しかけたら急に襲ってきた。さっきから、腕章とかの情報を探ってるんだがなんもわからん。顔すら靄がかかってわからん。多分魔術だな、俺たちと同じ」
そういえば、私達顔変えてるんだった。あれ、なんでレーシュ気づいたんだ? と思ってレーシュの方を見ると、少し何があったのか不安そうな顔をしている。って右手に指輪をしている。ギルマスから事前に受け取っていたのか。
「そいつらが何かわからないけどとりあえず、逃げ切ろうか」
とにかく振り切ってもらおう。そうじゃないと、このままギルドについてきてもらうのは困る。
「どうやって逃げ切るつもりだ?」
「あの日の逆だよ」
ウロクは一瞬きょとんとした顔をしたが、合点がいったのか苦虫をかみつぶした顔をしている。相当嫌な記憶だったのだろう。まぁ、その原因私とレーシュなのだが、いやあれはウロクの自業自得だけど。
「あ~、そういうことか」
そういうことである。私はレンズを空高くまで飛び上がる。さて、完璧な逃走劇としよう。
まずはいったん、ウロクにわざと見つかってもらう。さっきは、追ってきた人間の姿を見ていなかったから、どんな相手なのかしっかり捕捉する必要がある。
敵に一瞬で捉えられている。レンズの目で見ても、黒い靄のようである。とりあえず、『鑑定』してみよう。敵はふむ、兵士である。南の貴族ダハーカの私兵団のようだ。早速、重要そうな情報が出てきたが、今はウロクが逃げ切れるようにサポートしよう。
ウロクはレンズについてきてもらう、上からのナビゲートである。敵は二手に分かれて挟み撃ちにしようとしている。しかし、私ことレンズの前では通用しない。敵を的確に避けられるルートをとる。相手は敵が来なかったことで焦った仕草をしているが、関係ない。
相手はすぐに切り替え、追ってくる。こうやって見ていて思うが、ウロクの方が足が速い、最初の時も思ったが逃げ足の速さが尋常じゃない。そういうスキルでも持ってそうだ。今度『鑑定』してみよう。
ウロクはどんどん敵を引き離している。ただ、相手は地形かなり正確に把握しているのか、先読みしているかのように、ルートを選んで移動している。このままだとまた見つかりそうだ。ま、それが見えているので関係ないのだが。
敵は一向にウロクが見つからなくて、仲間同士で言いあっているようだ。まぁ、上からレンズが見ている限り見つからないのだが、とりあえずこのままギルドまで向かってもらおう。
「イドハさん、ここって裏口とかありますか」
「いくつか、抜け道がありますが」
「そこ教えてください」
「わ、わかりました」
イドハさんは抜け道の場所を教えてくれたのでウロクをその方向に導く。敵は完全にウロクのことを見失っている。
「ほい、そこ入って」
「ここか」
イドハさんに案内してもらった地下路に入ってもらう。
「「ほい、これでもう安全だと思うよ」」
「おっと声が二重に聞こえるってことは」
地下路には私とイドハさんがいた。そうした方が案内するより早いだろう。
「はぁ、良かった」
ウロクは心底安堵したような顔をしていた。
「今度は逃げきれてよかったね」
「あぁ、この前は誰かさんのせいで逃げ切れなかったからな、本当によかったよ」
何言ってんだこいつという目で見られながら言われたが、関係ないね。
「な、何の話しているんですか?」
「「何の話でも」」
ウロクを引き連れてギルドの執務室に戻ります。
「縄でぐるぐる巻きの男がなんで扉の前にいるの、怖いんだけど?」
「気にしたら負けだよ」
「なんでだろう、いやな記憶が蘇ってきた」
ははは、まるでぐるぐる巻きにされて何かされたような記憶があるみたいじゃないですか。
私はウロクの言葉を無視して扉を開く。目を閉じて静かに待つイサムと不安そうに待つレーシュが出迎える。
「無事でしたのね」
「うん? なんでレーシュがいるんだ?」
「王命ですわ」
「そういうこと」
ウロクは一瞬で察したらしい。この男、察しが早い。というか、私よりギルマスに色々と聞いてそうだし、あとで話を聞いてみた方がいいか。
「それで、貴方を追っていたのは一体?」
「いや、俺にもわからん」
「ダハーカの私兵団みたい」
「え? な、なんでわかったんですかぁ? というか、どうやってナビを」
イドハが困惑したように聞いてくる。それもそうだろう、追われていた本人ですらわからない情報を私が持っているのだから無理もないが。
「うん? というかこの人は?」
ウロクはイドハの方を見てそういう。そっちも紹介してなかった。
「あ、ここのギルドの管理者で受付嬢のイ、イドハです。こ、今回の一件に協力す、することになりました。よ、よろしくお願いします」
管理者と受付嬢を兼任していたことに違和感を覚えたようだが、とりあえず味方だということで流しようだ。
「おうよろしくな。っとこいつがなんでわかったかの理由だな」
ウロクは私が『鑑定』スキルと『幻想召喚』スキルを持っていることを説明する。『活性』に関しては伏せている。まぁ、どうやら『活性』がとびぬけて知られるとまずいスキルだから当たり前か、私もまた拉致監禁されたくないし。
「なるほど、す、すさまじいスキルですね。どちらも便利通り越して恐ろしい能力ですね」
イドハさんが割と本気で怯えた目をしている。まぁ、魔獣を出す能力とプライバシー無視の能力だし仕方ないか。
「『幻想召喚』、強力な召喚獣を出すスキル、灯火の魔女み、みたいですね」
「灯火の魔女?」
「某と同じSSランク冒険者だな」
「確か、魔獣を飼う力を持っているお方でしたわね、確かに似てますわ」
そんなSSランク冒険者がいるのか、他のみんなが魔獣を召喚する能力をあっさり受け入れているのはそういう人がいるからなのか。納得。
「さて、話がそれる前に、話の続きをしようか。ジョゼ、俺を追ってたのはダハーカの一家で間違いないな」
ウロクが話を戻してくれる。完全に話がそれていた。
「うん、間違いないよ、鑑定で見たし、名前も確認済み」
「相変わらずすさまじいねぇ」
「ど、どうしてジョゼさんに調査が言ったか合点がいきました」
イドハ含め、そりゃ任されるわという雰囲気が醸し出されている。不服である。私は情報屋ではないのだが。イサムは全く持ってわかってなさそうだが。
「だがこれで、ダハーカの人間が何かしてるのはほぼほぼ確定だな」
「そうですわね、そうでもなければ、唐突に襲ってはこないでしょうし」
「そ、相当警戒していたんでしょうね。恐らく、情報屋と思われる人間は手当たり次第に襲っていたのではないかと」
うん、これで王様の杞憂だったという可能性はほぼなくなったと言って過言じゃない。
「となると、ここからはダハーカの人間が怪しいかじゃなく」
「ダハーカの人間がどんな目的で、何をしているか、ですわね」
「あぁ、その段階だなもう」
怪我の功名とはいえ、ウロクが追われたおかげで調査が少しやりやすくなってくれた。
「そういえば、どんな状況で追われてたの?」
「町の人に最近の話を聞いてる途中に人がいなくなった瞬間に襲われた。いつもの癖で警戒しておいてよかった」
そういえば、あの時も、一瞬で逃げる体勢に入っていたな。いつでも逃げれるようにしてるのか。
「さて、それも踏まえて今後の方針を考えるか」
さて、話し合いの時間だ。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
はっちゃけると、相手からするとここで正体ばれるのは完全に予想外です。ジョゼいあったほうが悪い。




