初めての町はご用心
どうも、作者です。47話です。
南の町でのお話、どうなるでしょうか。
約五日の旅を終え、ダマ―ヴの町にやってきた。町の壁はまだ修復されきっていないのか、木の足場がある。というかここにも、壁あるんだ。
「帝都ほどじゃないけど壁あるんだね」
「まぁ、近くにダンジョンができたりすると、そっから魔獣が出てくるからな」
「え、ダンジョンって勝手にできるの?」
「そうだな、一応魔力濃度が高いところにできやすいとか、人がいないところにできるとかは分かってるが、どこに、いつできるかはわからん」
そうなんだ。この世界のダンジョンってそんな感じなのか。ダンジョンというのはファンタジーでよく聞く単語だが、やはりこの世界でもかなり重要な要素らしい。
「じゃあ町だったらどこでも街壁があるんだ」
「まぁ、ある程度の町だったらほぼあるだろうな。村なんかでも、丸太でできた壁があるところなんかは多いからな、俺がいたところとかそうだったし」
「へ~」
やはり魔獣による被害というのすさまじいのだろう。というか、さっきの修復中の壁も、十年前にあったという魔獣侵攻によるものなのだろうし。
帝都でもあった検問を特に問題なく抜け、町の中に入る。町は、どんよりしていて、お世辞にもいい雰囲気とはいえなかった。特に街壁にちかい建物は、後回しにされているのか、屋根などに穴が開いている。
「はぁ、やっぱり気分のいい場所じゃねえな」
「来たことあるの?」
「ああ、お使いってやつでな」
マフィアのお使いだから多分いい内容じゃないだろう。
私たちはギルド近くまでやってきた。こちらもあまりいい雰囲気ではない。ただ、結構にぎわってはいるようだった。
「とりあえず、ギルドであれこれしなきゃいけないんだっけ?」
とりあえず、冒険者が町に言ったらギルドに顔を出して、来た報告などをするのが通例らしい。冒険者の記録をしておくことで、その冒険者が犯罪行為などをしたときに、国に報告できるようにするためらしい。
冒険者ギルド(セントラルフラッグ)は、国の組織ではないから、こういうことをしておかないと面倒ごとが多いとかなんとかとバンカさんが愚痴っていた。
「そうさな」
「それじゃ、俺はここで帰るとするか」
「あ、そっか」
バーレさんは元々町につくまでだったか。
「ありがとね、バーレさん」
「いいってことよ! 気をつけてな」
バーレさんは、元気に返事した後、心配そうに言ってくる。誰かに心配されるというのは、少し申し訳ないながらうれしさがある。気を引き締めなくては。
「うん、バーレさんも気を付けて」
「つっても、嬢ちゃんにはしばらく世話してもらうことになるがな」
私がというか、グラスが、であるが。帰りも一応危険がないようにグラスを貸し出すことにしたのだ。グラスならば、万が一があっても大丈夫だろう。何かあれば、グラスを介して私に伝わるし。その間一匹使える召喚獣が減るから、慎重に行動せねばならないが。
「それじゃあ、帝都で」
「うん、またね~」
「世話になった!」
「気を付けな~」
グラスを乗せたバーレさんの馬車が遠ざかっていく。無事に帰れるだろう。さて、私たちのやるべきことをしなければ。
私たちはギルドに入る前に裏道で準備を整えることにする。というか、ウロクが裏道に入る誘導してきたのだが。
「ウロクも一緒に入るの?」
「いや、俺もいったん別行動だ。あんまり目立っちゃ、情報屋としてはやりにくいからな」
「一人で大丈夫?」
「流石に大丈夫だ、と言いたいところなんだがちびちゃん」
ウロクが、いつものお茶らけた雰囲気を潜める。何か懸念があるのだろうか、マフィアのアジト襲撃の時と同じような真面目モードだ。
「できればレンズちゃんを貸してほしい。念のためな」
まぁ、連絡手段にもなるし別にいいだろう。もう一匹出せる余裕がある。問題ないだろう。
「それと、面忘れんなよ」
「そうだった」
「ん? 面とはなんだ?」
何も聞いてないイサムが不思議そうな顔をしている。それをいったん無視して私とウロクは面をつける。見た目は不思議な文様が入った白い面だ。顔もない。
「どう?」
「ほう! 雰囲気事別人になったではないか!」
イサムが少し興奮している。無理もない、目の前にいた人間が急に別人に変わったのだから。この面はギルマスが作った認識改変の面。つけている間周りの人間には別人に見えているらしい。私も、ギルドで初めてつけたとき驚いた、ギルマスが別人に見えたのだから。ちなみに、簡単な鑑定なら欺けるらしい。
私はギルマスから渡された指輪を取り出す。私から見ると、子供用の腕輪くらいの大きさがあるのだが、ワンチャン私の腕輪にもできそう。
「イサム、これつけて」
「ん、わかった。おお、今度はジョゼ殿とウクロ殿に戻ったぞ」
「ウロクな」
「す、すまん。ウロク殿だったな」
指輪は、先ほどの認識改変を無効化する指輪である。未だに、人の名前がちゃんと覚えられないイサムだったか、覚えようとはしているらしい。旅の途中なんて名前が思い出せなくてフリーズしてる時もあったし、進歩はしているらしい。
「さて、じゃあ気をつけろよ。まぁ、灰氷がいる時点で言うほど心配してないが」
「うん、そっちこそ気をつけなよ」
ウロクはギルドとは反対方向に行く。頭にレンズを乗っけながら。
「じゃ、今度こそ行きますか~」
「うむ!」
「あ、あとわたしのことはミノって呼んでね」
「ミノ殿、覚えた!」
一応、名前も伏せていた方がいいだろう。
私とイサムはギルドに入る。ギルドの大きさはあまり大きくない。規模で言えば、帝都のギルドの八分の一くらいだろうか。
私とイサムがギルドの中に入ると、周りの視線が一気にこちらに集まる。時間帯的には冒険者ならクエストに出てもいい時間帯のはずだが、二十から三十人くらいギルドの中にいた。結構多いな。それに対して、受付の人は一人しかいない。
「すまぬ! 新しいギルドに来た時のあれをしたい!」
「あ、い、移動報告ですか、す、少しおまひぉ、あ、かんじゃった」
少しおどおどした感じの丸メガネ受付嬢さんが対応してくれる。よく今ので伝わったな。裏に書類を取りに行ったらしい。
「おいおい、初めて来た冒険者が先輩にあいさつもなしとは、随分と態度がでかいじゃないか」
体躯の大きい、雰囲気的にはマフィアに似てる気がする男が話しかける。あれだ、新人いびりという奴だろうか。いやでも、よくイサムにそんなことできるな~。
「しかも、霊族の人間が女一人引き連れて、余計態度が気に食わねぇな」
霊族の人間だからと言って何なのだろうか? ちょっとむかつく言い方だが。しかも、周りの人間はその姿をニヤニヤと眺めている。
「すまぬな! 某は来たばかりでここの礼儀は知らぬのだ。教えていただけるか!」
イサムの方はいつも通りだ。というか、SSランク冒険者っていうのを先に言った方が、
「おう! ここでは新人はサンドバックになるんだぜ!」
冒険者はイサムに一発入れる。って、そんなこと言ってる場合じゃない。イサムは普通にしているが急に殴るのはどうかしてるでしょ。
「って大丈夫!?」
「特に問題ない!」
イサムはいつも通りだ。そりゃ効かないだろうが、こんなに無防備に受けられては驚くでしょ!
「イサム、これは礼儀とかじゃ」
私がそう言っている間に、受付さんが戻ってくる。
「す、すいまへぇん、最近新しい人が来なかったので、ってちょお!」
「反応薄いななぁ、女の方が殴りがいがありそうだぁなっと!」
「え?」
何故か私の方に拳が飛んでくる。それを見た受付さんは急いで私の方に向かってくる。といっても、一歩も間に合ってないが、というか何私は冷静に分析してるんだろう。まぁ私にその拳が届くことはないからいいのだ。
拳は巨大な手に止められそのまま拳を起点にその冒険者は一回転し、体をたたきつけられ気絶する。
「ふむ、俺にならば何発でも受けるが、彼女に対しては許さん」
イサムの姿には先ほどの陽気な雰囲気が消え去り、恐ろしいほどの怒気がまとわりつく。その姿に周りにいた冒険者たちは怯えたのか、一瞬にしてギルドが逃げ出していく。思ったよりイサムが怒っている。私もちょっと怖い。
「ああもう、いわんこっちゃない。イサムこういうのはいじめっていうんだよ。ちゃんと拒否しなきゃ」
「そうなのか、今までもこういうことがあったからそういうものなのかと」
「友人さんは止めなかったの?」
「確かにあいつがいたときは起こらなかったような」
ああ、多分言っても覚えられないから他の方法で対処してたな。もういないから覚えさせた方がいいな。
「す、すいまへん。私が後ろにいたばかりにぃ」
丸メガネの受付嬢さんは何度も頭を下げる。
「大丈夫だぞ!」
「まぁ、問題はなかったので」
受付嬢さんは完全に謝罪モードに入ってしまっている。
「本当にすいません、今度からこのようにならないように対応を~!」
「と、とりあえず、移動報告すましてからで」
まずは、移動報告を終わらしたい。そしてベッドに入りたい。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
中々治安悪そうな町ですね。ちゃんと調査できるでしょうかね?




