南の町まで
どうも、作者です。46話です。
旅回です。ほかに書くことがないです。
私たちは馬車で南の貴族ダハーカの領地、ダマ―ヴに向かっていた。
「ありがとね、バーレさん」
「なに、良いってことよ!」
馬車で私たちを運んでくれたのはバーレさんだった。ギルマスからの依頼を快く快諾してくれたらしい。
「それにしても、嬢ちゃんが帝都から離れるとは、明日槍でも降るんじゃねえか? 本当に何するつもりなんだ?」
バーレさんは、割と深刻そうに言ってくる。どうやら、バーレさんは何も聞いていないらしい。まぁ、変に今回のことを知ってしまうと、危険なことに巻き込んでしまうから知らない方がいいだろう。
それにしても、私が帝都から離れたくらいで大げさな、そんなに私が出不精だと思っているのか。
「ま、聞かない方が身のためよ。ちびちゃんが外に出ると槍が降りそうなのは同意するがね」
ウロクまで、こいつにはあとで何かしてやろう。それにしても、結構な道のりなのによく快諾してくれたな。
「バーレさん、こんな距離、大変じゃない?」
「ま、結構な道のりではあるが、大丈夫だ。俺が帝都に来たときはもっと長い道だったしな」
「あ、ダマ―ヴより遠いところから来たんだ」
「いや、地理的に言えば、ダマ―ヴより近いぜ。ただ最短路を通ろうとすると魔獣に襲われちまうからな。迂回路を通ってきて帝都まで来たんだよ」
そうか、ただの商人のバーレさんじゃ魔獣に会ったら大変なことになるな。遠回りでも安全な道を通るしかないのか。
「ま、今回は灰氷殿もいるし、お前もいるからな」
「え、私は戦わないよ~、全部イサムに任せる」
「おうとも! 魔獣殺しは任せろ!」
後ろで空を眺めていたイサムが声を出す。ぼーっとしているようで聞いていたのか。
「それにしても、馬車の音は心地いいな!」
「確かにな!」
イサムと一緒に空を眺めていたシゼルが同調する。テンションが高いもの同士気が合うのだろうか。そういえば、シゼルが馬車に乗るのは初めてか。まぁ私も二回目なのだが。
上からレンズで周りを哨戒していたが、今のところ魔獣は見え、いや今見えた。
「イサム、前方に魔獣の群れ、見た目は大型の蛇、数は七匹」
「おうとも! 先に言って殲滅してこよう!」
「レンズ、イサムについていってあげて」
イサムは勢いよく馬車から飛び出すと、一瞬で見えなくなる。レンズはよく追いつけるな。
「それにしても、ちびちゃん大分板についてきたな」
ウロクがからかうように言ってくる。
「何が~?」
「いや、召喚獣の扱い方もそうだが、指揮官として成長しているなと思ってな、がはは!」
「いやまぁ、確かにレンズちゃんで上から正確な情報を得て、的確な指示出してくるの、普通に恐ろしいな」
バーレさんまで言ってくる。別に私は指揮官になる気はないのだが。
レンズでイサムの戦いを見ていたが、正直言ってレイドさんの時と同様何が起こっているのかわからないまま終わってた。私も多少は強くなったつもりだったのだが、やはり見えない。
イサムは倒した蛇から皮をはぎ取っていた。
「それ売るの?」
「ああ! 友人に倒した魔獣はきっちり素材をはぎ取って、ギルドに報告、換金しろと言われたのだ」
ああ、例の別れた友人に。なるほど、お金にもなるし、経路の状況もわかるし、そういうのはちゃんとやったほうがいいんだな。
「肉は採らないの?」
「魔獣の肉はおいしくないし、腐るからな」
へー。そんなことをレンズ越しに話しているといつの間にか馬車の方がイサムの場所までやってきた。そうすると、ウロクが下りて簡易魔法で、肉を焼いていた。
「食べるの?」
「食料に困ったら食うが、正直まずいし、魔力が含まれすぎてて体にもあんまりよくないから食わんな」
「じゃあなんで焼いてるの」
「放置すると匂いが強いし、この肉を他の獣が食っちまうとさっき言った魔力で魔獣に変異しちまうことがあるからな。まぁ、旅人のマナーだな」
そういうことか、それは重要だな。私も一応覚えておこう。
馬車は再び動き出す。馬車の中は、先ほどの蛇の皮が増えていた。
「このままの頻度で魔獣に会っちまったら、町につく前に馬車の中があふれちまうな」
「それは困るな」
「そうなったら一緒に焼くしかないかねぇな」
「ふむ、マジックバックを買っておくべきだったか」
イサムが少し後悔したような声で言う。マジックバックというのは魔法でバックの中を拡張したバックだったか。ただ、すごく高くて、一般の人間じゃ手が出ないものじゃなかったか。まぁ、SSランクの冒険者だし買う余裕ぐらいあるか。
でも、焼いてしまうのは持ったいないな。あ、そうだ。簡単な解決策があるじゃないか。
『出でよ、箱舟の獣、運ぶ者、移送獣、アーク』
光の中から鯨型の魔獣があらわれる。その大きさは馬車の何倍もある。空を浮かんでいるから馬車がつぶれることはないが、にしても存在感がすさまじい。
「久しぶりに見たな」
「お、なんだ!?」
「ほう、こいつはジョゼ殿の獣か」
そういえば、ウロクしかアークを見たことがなかったか。このサイズだと流石にまずいな。小さくしなければ。
『小さくなって』
私が魔力を込めてそう言うと、アークはどんどんと縮んでいる。私が思った通りのサイズになる。
「今度は縮んだ、そいつって新しいのか」
「バーレさんとイサムは初めましてだね、この子はアーク。モノを保管できる獣、しかもほぼ無限っぽい。まぁ、人も入れれるけど」
アーク、その能力は口に放り込んだものを、魔法空間に保管する能力、ちなみにそれ以外の能力はないが、かなり巨体で純粋に上から質量攻撃できそうなくらいの攻撃力である。
「ほ~、そいつ俺にくれないか、商人からしたら相当うらやましい能力だわ」
「無理だね~」
私しか呼び出せないので渡すことはできないのだ。私にも同時に呼び出せる魔獣に限りがあるし。
「ふむ、相変わらずジョゼ殿が呼び出す魔獣はどれもすさまじいな」
「改めて見ると、こいつも相当やばいな。ちびちゃんはやらないだろうが、あの時のアジト襲撃、こいつが上から押しつぶすだけで終わってたな」
それはグロいからやらないけど、実際できるから、呼び出す場所は慎重に考えよう。
「そういえば、イサムとレイドさんってどっちが強いの?」
さっきの戦いを思い出して、私はふと疑問に思う。二人とも、強いが私の目からでは二人とも強すぎて正直分からない。どっちが強いんだろ。
「そういえば、レイド殿とは知り合いだったな。ふむ某とレイド殿か」
イサムは斜め上を見ながら考えている。何か答えが出たのか、口を開く。
「まぁ、普通に戦えばレイド殿だな! 真正面から戦えばまず負ける」
そんなに強いのかレイドさん。
「剣の腕だけならほぼ同格だが、それ以外の部分でどうしても負けるな、ただ」
「ただ?」
「俺が先に固有魔法を発動した状態ならば、勝てるな」
固有魔法、その人間だけが使えるオリジナルの魔法。一人につき一つしか持たないその人間の切り札であり、本質。と、バンカさんが言っていたな。と言っても人によって固有魔法の在り方は別なので、一概に言えないらしいが。
「灰氷の固有魔法か、気になるな」
「正直見る状況になりたくないがな」
そうか、そんな状況になるのは、相当大変な状況になるのか、うん、見ないでいいかな。
そんな話をしながら、たまに魔獣を討伐しながら約五日。いつのまにか、目的地についていた。
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今更ながら。男3、女1なのに、危機感がないのは何なんでしょうね。バカ1、お父さん1、親戚のおじさん状態だからでしょうか。




