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ジョゼは行く

どうも、作者です。45話です。

ジョゼを説得できるかな?

「本当にやらせるんですか?」


「こればっかりはやってくれなきゃならん」


俺はバンカと、ジョゼに対する依頼について話す。南の貴族の調査、危険もある依頼だ。しかし、あの王との約束もある。こればっかりはやってもらわなければいけない。


「私としては、やってくれるかの方が不安ですが」


「そこなんだよなぁ」


ジョゼは基本外に出ない。その上、本人が面倒くさいと思ったことは意地でもやらない性格だ。本人が拒否るとずいぶんと大変なことになる。多少強引にでもやってもらうしかないだろう。




私はギルドに向かっていた。ギルマスから呼び出しがあったからだ。何故か、イサムも一緒に。何の呼び出しだろうか? よくわからないが、ギルマスからの呼び出しというのは珍しい。私の方からギルマスの部屋にお菓子をねだりに行くことは多々あるが、逆というのは珍しい。


「ジョゼ殿と一緒にギルドに来るのはあの日以来であるな」


確かに最初に会った日以来か、言うほど前ではない、というか五日くらいしかたってないから、懐かしいと思うこともないくらい最近だ。


「なんで一緒に呼ばれたんだろうね?」


「某にはわからん!」


自信満々に言い切ったな。最初からまともな回答なんて来ると思ってなかったからいいのだが。


私はいつも通りギルマスの部屋の扉をあける。あ、そういえば、前勝手に開けてギルマスが着替えてたことあったな。なんて考えていたら、思ったより重苦しい空気感が漂っていた。


中にいるのは、ギルマスとバンカさん。二人だけだが、両方ともいつもより真面目な顔だ。一体何があったんだ。私は気にすることなく座る。


「来たか、ジョゼ、灰氷」


「うむ、ここに参上した!」


イサムは立ったままそう言う。本人曰く座るのは苦手とのこと、体がでかいからというより、落ち着かないのだろう。


「それで、どんな用事」


「実はジョゼに依頼したいことがってな」


ギルマスからの依頼、それは貴族の調査に行ってほしいというものだった。なんでも最近南の貴族の動きが怪しいらしく、何をしているのかが分からないため、手を貸してほしいとのことだった。


そういえば、この前もそんな話を聞いた気がする。あんまり思い出せないから、多分あんまり聞いてなかったな。


「なんで私が行かなきゃならないの?」


そう言うと、ギルマスはなんだかへんてこな顔をしていた。やっぱり来たかという表情と申し訳なさそうな顔が混じっているような顔。


「それはな、今回の件、ギルドからの依頼っていうよりかは、この国の王からの依頼だ。そしてその王から直接お前にご指名が入った」


ギルド側からしても、私が言った方が都合がいいらしい。いやでも、


「なんで王様が私のこと知ってるの?」


「ほぼ俺の失態だが、レーシュがばらした」


嘘が混じっているような気がしたが、多分本当のことなんだろう。レーシュが王様のことを尊敬してるのは知ってるし、この前のギルド襲撃にレーシュが関わっていたのがばれていたのだろう。まぁ、あの金髪縦ロールでばれないわけない。


「なるほどね、でもだからってなんで私?」


「色々と理由はあるが、お前ほどの適任者がいない」


ギルド側としては王様に与しているとばれたくない。王様としては自分が動いていると思われたくない。だったら存在がほとんどばれてなくて、召喚獣で情報集できる私が一番なのだとか。


「もちろん、ただでとは言わない。今回の件が終われば、お前にはかなりいいことが起きる」


特にでかいのは、私の存在秘匿に王様が関わってくれること。確かにそれなら私は何も憂いなく過ごせるだろう。確かにそれは良いかも。あとは、王様に貸しを作れるとか、それは使う機会あるかな、お金もらうとか? いや~王様に直接もらうのはなぁ。すごいことだけどいるかわかんないな。


私はお茶をすすりながら、考える。別にやらなくても、何も変わらないような気がする。


「ちなみにそれって私ここから離れなきゃならないよね?」


後ろで見守っていたバンカさんが苦い顔をしている。


「まあ、うん、そうだな」


ギルマスもギルマスで、歯切れが悪い言い方をする。そんな顔をする理由は分かる。私が明確に思ったことを言われたくないのだろう。


「普通にめんどくさいんだけど」


二人そろっ頭を抱えている。シンクロ具合が面白い。それにしても、この感じ私がこう言うの予想してたな。別にいいけど、ちょっとむかつくな。


「あー、ジョゼ、俺としてはな」


ギルマスが何か言おうとしている。まぁ、説得しようとしているのだろうけど、私はその言葉を遮る。


「一つ聞いていい?」


「ん、なんだ?」


「今回の件って、二人的にやってほしいの? 私のこと抜きにして」


多分二人は私に得があるからやってほしいのだろう。報酬内容を聞いても、私に得があることだ。実際、この前のマフィアの件もある。また私の能力のことがばれたときに何かあったほうが安心できる。ただ、今は二人の意見を聞きたかった。


二人は私の真意を見抜こうとしているのか、私の顔をまじまじと見る。別に今言ったことがすべてなのだが。先に答えたのはバンカさんだった


「正直なことを言ってしまえば、やってほしいですし、やってほしくないです。個人の感情として、許しがたいことが行われている、そう聞いていますから。ですが、それにジョゼさんを関わらせたくないという感情も同じくらいありますから」


許しがたいこと、それが何かは分からない。でもきっとここで関わらなければ、私には一切影響のないことなのだろう。


「俺としてはやってほしい、正直なことを俺も言おう。お前が危険があるからとかそんな事度外視で、お前にやってもらうつもりだった。なんだったら、お前が断っても何らかの方法で関わるつもりだ。もちおろん、その場合はお前に迷惑かからん範囲でな」


ギルマスとしても、今回の件で思うところがあるらしい。この国の安寧に関わること以上に二人が許せないと言った。なら、


「やるよ」


「「え?」」


二人は豆鉄砲くらったような顔をしている。


「だから今回の依頼受けるよ」


なんてことはない、私は二人に散々助けてもらっている。特にマフィアのアジトを襲撃したのは私のためだ。なら、


「二人が私にしてくれた分くらい、私に何かさせてよ」


私は怠惰かもしれないけれど、人に何かしてもらって、それを返さないのは私が嫌なのだ。


「ほう、ジョゼ殿は他人のために命を懸けるのか?」


あ、そうなるのか、二人の表情からして、きっと危険なこともあるのだろう。


「そうだね、うん、そうかもしれないけど。いいんだよ、私がやるって決めたんだから」


たったそれだけの話だ。


「すごいな、ジョゼ殿は」


たった一言そう言われた。その目は初めて見た目だったような気がする。


二人はまだ少し硬直していたが、今の話の間に気を取り直したらしい。二人は困ったような安堵したような笑顔を見せる。


「ああ、そう言ってくれるのはありがたい。ならジョゼの件は確定だな。改めて、ありがとう」


ギルマスが頭を下げたのは初めて見た。バンカさんはギルマスの姿をみて優しい笑顔を向けて、こっちに、いやイサムの方を見ていた。


「さて、それなら今度は灰氷さんについてですが」


「受けよう!」


「まだ何も言ってませんけど!?」


「多分依頼だろう!」


多分一緒に呼び出したのは私にかかわる依頼だからだろうが、内容も聞かずに即答するとは。


「はぁ、話が速くて助かりますが」


今度は明確な困り笑いである。


「ああ、灰氷はあんまりわかってないだろうが、ジョゼの依頼についていってもらいたい。表向きは灰氷の依頼にナビ役でジョゼがついてく形になるが」


なるほど、私がやることの隠蔽のためについていくことになるが。


「まぁ、半分はジョゼがいなくなると、こいつの案内役がいなくなるからだけど」


どっちかというと、そっちが本命では?


「二人だけか、よろしくねイサム」


「おうとも!」


「おいおい、二人だけとは言ってないぞ。細かいとこはまた説明するが、あっちからも協力者がいるしな」


他にも協力者がいるのか。あっちというのは王様の部下ってことだよね、誰だろ?


「すまん、完全に寝過ごした」


「きましたね」


ああ、そうか、情報収集で私よりエキスパートな人がいた。


「ウロク」


「おう、どうやら受けることにしたんだな、無視してくれてよかったのに」


「私の善意だよ」


本当に面倒くさそうな表情をしている。でもなんだかんだ手伝ってくれるらしい。


「はあ、お陰様で俺までお前に手伝う羽目になったよ」


とりあえず、この三人で行くことになりそうだ。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

実はあんまりジョゼを主人公として書いていなかったのですが、今回書いていて、ちゃんと主人公だなと感じました。

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