犬っころ宿泊戦
どうも、作者です。42話です。
四時間しか寝てないのけど小説は書ける。
「ジョゼさん、お願いします」
「嫌です」
私とバンカさんはにらみ合っていた。そして扉横ではのんきな顔をしている人狼がいる。今の状況の発端であるのだが。
「「邪魔するぞー」」
私とバンカさんは開いた扉からのんきに入ってきた男二人の方を見る。私とバンカさんはにらみ合っていたので、鋭い眼光のまま二人の方を見ていただろう。にらまれた男二人はその眼光の驚いたのか、一瞬びくっとした後、扉横の狼に気づく。
「「うわーー!? 誰!?」」
「某だ!!」
「「誰だよ!?」」
完全に状況は混乱していた。うーん、このままでは収集つかないな。よしお茶をいれよう。
「お茶いれてきまーす」
「はい、そうしましょうか」
「「いや説明して!?」」
それにしても、二人ともシンクロ具合がすさまじいなぁ。ということを考えながらゆっくりお茶を淹れていた。
「またSSランク冒険者かよ」
バーレさんは完全に呆れていた。どうやら完全にレイドさんの案件で慣れてしまったらしい。さっきは驚いていたのに、SSランク冒険者という情報では驚かなくなっていた。それにしても、SSランク冒険者と知り合いになっても驚かない平商人というのはどうなんだろうか。いや私のせいなのだが。
「またかよ、俺が言えたことじゃないが、ちびちゃん、なんか人と縁を結ぶ魔法でも使ってるんじゃないの?」
別にそんな魔法は使ってないが? いやでも、もしかしたらあの女神がそんな魔法使ってるかもしれない。今度夢に出てきたら聞いてみようか?
「それで、二人はなんでにらみ合ってたんだ?」
「某のせいだな」
「灰氷さんが原因?」
まぁ、そうなのだが。
「実は灰氷さんをジョゼさんの家に泊めていただけないかと思いまして」
「それを私が拒否してた」
それを聞いて、え? そうなの? という顔をしている人狼がいた。そこ分かってなかったんかい! このバカ犬!
「あぁ、レイドの時と同じってことか」
「まぁ、あの時とは状況が逆だけどね」
私はバンカさんに聞かされた経緯を説明を二人に話す。なんでも、昨日イサムさんと別れたあとギルマスと話し合っていたらしい。今後どうするのか、とかそんな話。だがそんな時、ある問題が浮かび上がったらしい。そう、極度の方向音痴であるということ。
それ今までどうしてたの? と聞いたところ、今までは友人がついてきてくれたらしいのだが、そんな友人が貴族に雇われて離れてしまったらしい。というか、そっちの方がいいだろうと、イサムさんが話して別れたらしい。それで、まぁ、一人でも行けるだろう!と一人で出たらしい。
帝都までは、馬車に乗せてもらってこれたらしいのだが、まぁそれで後は知っての通りだ。
「なるほどね、そんな極度の方向音痴じゃ、宿からギルドまで行くのすら迷うってわけか」
「クエストであれば、まだサポーターをつけばいいのですが」
流石に日常生活まで完全に面倒を見てもらう人を探すというのは大変ということになった。ギルドの職員をつけようにも四六時中一人の人間を拘束することになるのでいろいろと問題が出てくる。ということで浮かび上がったのが、
「ちびちゃんに押し付けようってわけか」
「まぁ、嬢ちゃんは基本暇だし、これでしっかりしてるからうってつけと言えばうってつけか」
「某もジョゼ殿ならばいいと思ってな!」
「いや普通にめんどくさいんだけど!」
レイドさんは基本身の回りのことは一人でやっていたし、この薬屋から出れば、基本何もしなくてよかったから泊めていたのだ。でも、イサムに関しては違う。むしろ、ギルドまでついていかなければならないではないか。
「それに、イサムさんと一緒にいたら私めっちゃ目立つじゃん」
私は基本目立つのが嫌なのだ。だって、目立つといろいろと面倒ごとが付いて回ることになるし。
「マフィアのアジト攻めた奴がなんか言ってら」
「まぁ、世間様に嬢ちゃんの存在はばれてないけどな」
「と、そういう訳で、こっちとしてもSSランク冒険者を放っておくこともできず、話は平行線という訳です」
まぁ、そういうことである。
「うーん、嬢ちゃんが言うめんどくさいことって家事とかか自分のことはできるのか?」
「うむ、基本自分のことはできる。炊事の類に関してはあまりできぬが、洗濯や掃除はやれるぞ」
あ、そうなんだ。いや料理に関しては、一人分くらい普通に増やせるけど。
「ならいいんじゃねえの」
「いやでも、方向音痴を導くという一番面倒くさそうな案件が残ってる」
そうだ、私が一番懸念してるのはそこである。極度のそれはつまり彼がどこかに出かけるときについていかねばならないではないか。
「方向音痴つっても、ここからギルドまでならどうにかなるだろ」
ウロクさんの言葉にバンカさんは露骨に目をそらす。
「え? もしかして」
「この人さんざん迷った挙句、私の店に道尋ねてきたからね」
「ははは! その節は申し訳ない」
二人はその言葉に固まる。二人は結界のことも知っているし、こことギルドまでの道がいかに近いかも知っている。極度どころではすまない方向音痴であることに気づいたらしい。
「嬢ちゃんの店にかぁ、いろんな意味でやばいな」
「それはギルドも頭抱えるわな」
ちなみにこの話を聞いて一番思考停止していたのはギルマスである。そのあと一番大笑いして私に押し付けたのもギルマスである。許すまじ。
「それに期間もわかんないし」
「どれくらい泊めるかもわからんのか」
「ああ、某はしばらく帝都にいるつもりだからな」
「こちらとしても、SSランク冒険者がいるのはありがたいですしね」
レイドさんの時は、マフィア襲撃が終わるまでという明確な期間があったが、今回の場合ないのだ。
「灰氷は帝都にいてどうするんだ?」
「うむ、とりあえず、帝国のすべての町と領主を見るまでは、ここにいるつもりだ」
「そりゃまたどうして」
「生涯の主を探さんがため」
「真狼の性質ですね」
バンカさん曰く、故郷を離れた真狼は自分の主人を見つけるという性質があるらしい。そういうところもちょっと武士っぽい。ちなみに先ほどの一緒にいた友人も真狼だったらしいのだが、その人は主を見つけた。別れた理由はそういうことである。
「はぁ、霊族っていうのは色々といるもんだな」
「獣族の獣人にもそんな種族がいた気がするな」
まぁ、つまりとりあえず帝都の偉い人全員に合って、己が主にふさわしいかどうかを確かめたいらしい。友人が見つけてしまった以上、自分も見つけるべきだろうということで。
「そういうことで、まぁそうなると帝都が一番都合がいいわけですね」
「なるほどね、まぁ理屈は分かる。それに話を聞く限り嬢ちゃんのところが一番適任な気はするな」
私はその言葉を聞いて気づいたことがある。
「あ、そうだウロクの家でいいじゃん」
だって隣だし、私とあまり条件が変わらないじゃないか。
「え、いや無理だぞ」
「できたらよかったんですけどね」
「え、なんで」
「ちびちゃんのところと違って、俺は倉庫のスペースを使ってるだけだからな。この薬屋と違って部屋が余ってないんだよ」
え、そうなの。そういえば、元々この裏道の建物は全部ギルド用の倉庫として使ってるんだっけか。てっきり私と同じく、建物まるまる一棟使ってるものだとおもっていた。
「あ~、確かに狭いな、俺もあそこで何度か飲んでるけど、泊まるのでも結構きついな。共同生活と言うとなおさらきついだろうな」
「そうだったのか」
ちょっと気になるな、今度入れてもらお。
「ということで、頼めませんか? ジョゼさん」
く、ますます私の家が好条件になってしまった。そもそも、私としてはギルド側の頼みを無下にできないところもある。こうも、言われてしまうと、だが、
「やっぱりめんどい」
「うーん、なら何かしら対価があればいいんじゃないか? ほら洗濯と掃除やってもらうとか」
「ははは! SSランクに家事やってもらう薬屋か、面白いな!」
何をのんきな。
「別に構わんぞ、といっても、クエストが忙しいと難しいが」
え、やってくれるの、それはちょっと魅力的。仕事が減るのは大歓迎だが。いやいやそれでも面倒ごとはある。だまされるな私。
「クエストですか、あ、それならクエストの収入の何割かを入れてしまえばいいのでは? 家賃がわりになるでしょう」
「某はかまわんぞ、生きているだけの金があれば、さして興味もない」
「いやいや待て待て、お二人さん。SSランク冒険者の収入ってなると」
私も聞いたことがある。レイドさんは言っていた。確か一クエストも受ければ、それだけで一か月は余裕を持って暮らせるくらいの金は入ると。
「のった!」
金などいくらあっても困らんのだ! しかも家事の負担も減る、そこまでいけば差し引きプラスだ。載らない手はない。
「本当か、助かる!!」
「ちなみに、収入の件って」
「元からそのつもりでしたよ、流石にレイドの時と違ってジョゼさんに負担しかなかったですからね」
「ははは、なるほど、ジョゼがなびくまでまってやがったな」
「えぇ、まぁ」
バーレさんとバンカさんが何か話していた気がするが小声で聞こえなかった。
「ジョゼさん結構現金ですから」
「「そうですね」」
何か、二日酔いトリオから生暖かい目を向けられた気がしたが、浮かれていて気にしていなかった。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
さて、灰氷ことイサムを泊めることになったジョゼ、まだ厄介ごとが待っているのに厄介ごとが増えるジョゼ、どうなんでしょうね。




