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後の祭り

どうも、作者です。39話です。

そろそろ次のお話です。

「王、ギルドマスターによる襲撃の追加報告です」


ギルドマスターによる襲撃、そこには不可解な点がいくつかある。一つにギルマス自らが動いたこと、これは今までどんなことがあっても動くことがなかったあのギルドマスターが動いた。これはあまりに異質と言っていい事象だ。ギルドマスター本人が動いてでも早期解決を目指したということで間違いがないだろう。


特に騎士の警備が強くなる青月を避けていた可能性が高い。となると、この事件の発端となった出来事は青月にあったとみていいだろう。特にこれは二つ目にも関わる。


二つ目にあまりにギルド側の動きが周到すぎたこと、ギルドによるマフィアの一幹部のアジトの同時襲撃というのは、できすぎている。確かにギルドの情報網は侮れないとはいえ、ギルマスが動いたことを差し引いても、襲撃がうまくいきすぎているだろう。ほぼ完ぺきに相手の戦力を理解していなければ不可能だろう。つまりそれだけ事前調査が行われていたことになる。


それに他の幹部のアジトがつぶされてたというのに、あまりに混乱がない。つまるところ、しっていたのだろう。他の幹部にもその情報をいきわたらせていたということになる。そのうえで、国と襲撃対象にも漏らさずに。


そうなると、赤月に入ってから起こった事件というのは不可解だ。何より、


「王の推測通り、マフィア側の戦力が赤月より増加しています」


赤月の時よりまず間違いなく戦力が増えていたこと。これは確実に何かがあったがゆえに戦力が増えていた。ということで間違いない。つまりマフィア側がギルドの従業員に危害を加えたというギルドマスターの言葉に嘘はなさそうだ。恐らくギルドからの報復を恐れたマフィアの幹部が戦力を増やしたとみて間違いない。


そして三つ目、なぜマフィアの幹部を殺したのか。正直なことを言ってしまえば、殺すより国に差し出した方が、ギルドとは信頼が得られ相当な益になる。だがそうしなかった、これは騎士の方にも気を配っていたことから、国に知られても不都合な何かがあったとみていいだろう。


「マフィア側がギルドの従業員に危害を加えたという件の詳細は分かったか?」


「これは、確証には至りませんがギルド関係者の誘拐があったものと思われます」


「誘拐、それはまた思い切ったことをする」


なるほど、それはギルド側としてもそれは見過ごせなかっただろう。だが、誘拐なんてすれば、確実にギルドと揉めるの確実だろう。となると、ギルド関係者だと知らなかったか、それとも、ギルド関係者だとしっていても誘拐する理由があったのか。だが、確実に誘拐された人物が中心になっているのは間違いないだろう。


「アジト襲撃の関わった人間はわかったか」


「ほとんどは素性がわかりません。ただギルドマスタークラスの人間がかかわったのは間違いないかと」


「となると、あのSSランク冒険者だろうな。確か、ギルドマスターと親交があったはずだな?」


「はい、間違いないかと。もう一つ、尋問で得た情報として、黒い面をつけた人間がいたことは分かっています」


素性を知られたくない人間がいたということか。


「黒い面か、他の特徴は?」


「大きなオオカミを連れていた、そして、金髪縦ロールだったとか」


報告役が初めて困惑した表情をしている。その髪は確実に貴族ではないか。その上、襲撃に参加してそれだけの目撃情報があったということは前線を張っていたとなると、確実に騎士貴族の類だ。それだけの大立ち回りができるということは、士官していない、学生だろうか。何故だ?


しかも、一人だけ思い浮かぶ節があるな。恐らくあの子だろう。狼の件はいったん捨て置こう。何より重要な情報が手に入れられそうだ。




「レーシュは最近変わったことないの?」


「特にありませんわね」


今日も今日とてレーシュが来ている。あの襲撃から特に変わったところはないらしい。


「ですが、貴族の間でもマフィア襲撃の話は広がっておりますわね」


「大丈夫? 関わったことばれてない?」


「今のところは大丈夫ですわ。それに顔は隠しておりましたし」


それより目立つ金髪縦ロールがそのままだった気がしない方がいいんだろうか。まぁいいや、なんかあったらがレーシュが自分で何とかするでしょ。


「そういえば、もうすぐレイドさんとは違うSSランク冒険者が来るそうですわね」


「え? あの噂本当なの」


この前、ウロクに話してもらった噂、本当だったのか。


「えぇ、学校で皆さんが話していましたわ。なんでも元々地方の貴族の依頼で帝国に来ていたそうです。それがせっかくだからと帝都に行くと言ってたそうですわ」


なるほど、それで貴族の間ではSSランクの冒険者が帝国にいたことは知られていたのか、それが帝都に来ると。


「そういう情報ってやっぱり貴族って持ってるんだね」


「まぁ、そうですわね。私の通っている学校は帝国の貴族の子息、令嬢が集まっていますからね。どうしても、貴族の情報はどんどん学校に集まってきますわ」


ふーん、貴族の情報を聞きたいなら、レーシュに聞くのが一番かもしれないな。と言っても、別に貴族の情報が欲しいときなんてないし、聞けそうなこともないけど。


「あ、ジョゼさん、そろそろ帰りますわ」


「あれいつもより早くない?」


「ええ、今日は寮長より早く帰ってくるように言われていまして、そろそろ帰らないと言われた刻限に間に合いませんから」


まぁ、別にそういう日もあるか。貴族だし、色々と制限もあるんだろう。というか、早く帰るからと言って何か言うこともないな。


「そ、じゃ、またね~」


「はい、また」





私はジョゼさんと別れた後、寮にまっすぐ帰る。言われた刻限には十分に間に合うように出たから、私は落ち着いて帰る。あと少しでたどり着く。


「すまない、そこのお主」


「どうしましたか?」


話しかけてきたのは、銀灰の毛に体を覆われた二足歩行の狼、クー・シーだった。あまり見慣れない服装に、片刃だけの剣を腰に掛けている。それに、リラックスしているようにゆらっとしているのに一切の重心の偏りがない立ち姿、このお方は強い。


「ふむ、そう警戒せずともよい、ただ道を尋ねたいだけだ」


一瞬、警戒だけなのに、それすら察知されるとは。しかし、本当に道を尋ねたいだけのようだ。それもそうだ、ここは街中、しかも目立たない裏道でもないのだ。私が勝手に警戒してしまっただけ。


「すいません、勝手に警戒してしまって。それで、どこに行きたいですの?」


私は努めて身をただす。少し失礼な態度をとってしまった。


「いや何、ギルドの道を教えてほしくてな、先ほど聞いたときはこちら側だと聞いたのだが一向に見つからん、そろそろだと思うのだが」


そろそろも何も、ここはギルドと反対方向。このお方、もしかして方向音痴、いえ決めつけはよくありあせんわね。それに、まっすぐ道を行けば、ギルドの方にたどり着く道ですし、問題ないでしょう。


「近くはありませんが、この道をこちら側にまっすぐ行けば大丈夫ですわ」


「なぬ、さっき来た道をか!?」


前言撤回、このお方は方向音痴ですわ。


「かたじけない、先ほど聞いたものにも申し訳が立たぬな。道を教えてくれたこと感謝する」


「ええ」


私はその御仁と別れて、再び、寮に向かう。それにしても、あの御仁、かなり強いみたいですが、もしかして噂のSSランク冒険者でしょうか、だとしたら名前ぐらいはうかがってもよろしかったですわね。


私は寮にたどり着く。すると、寮の前には仰々しい馬車と、寮長と誰かが話していた。


「寮長、ただいま帰りましたわ」


「刻限より五分前、あいかわらずですね」


「それが貴族たるもの、ルールは守らなければ」


「そうですね、さてフーニル嬢、今日何故いつもより早く帰ってくるように言ったかですが」


やはり、何か用件が合って早く帰るように言っていたらしい。


「はい」


「王より呼び出しです」


「はい!?」


私はもう嫌な予感しか感じなかった。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

新しい章です。ついでに最後のお話になります。どうぞお付き合いいただけると幸いです。

レーシュは基本しっかり者ですが、他人がかかわるとちょっと自分のことがおろそかになるタイプ。


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