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魔法、無法、無双

どうも、作者です。35話です。

お盆でもやることが変わらず投稿しています(今更)。

俺はいつも通りアジトで事務処理をしていた。夜のこんな時間までやらなきゃいけないのは癪だが、未来への投資というやつだ。にしても急に曇ってきやがった。なんなんだ。




赤の月、初月十二日。日が落ち切った、無法者たちの時間だ。私たちは、それぞれのアジトの近くに潜伏していた。


「いやー、ウロクいてくれて助かったね」


「そうですわね」


「ま、お嬢様とただの薬屋じゃ、隠密の経験なんてあるわけないわな」


私たちの作戦はまずレーシュが暴れてその間に私とウロクがアジトの中に侵入する、という形だ。そして、クヤハを見つけたらそのままとらえる。それだけだ。


「そういえば、なんで面付けてるの」


ウロクは飾り気のない黒い面をがぶっている。おかげさまで夜の暗さも相まって顔がないみたいである。


「バカ野郎、いやバカ女か。俺はこれでもマフィアなんだよ、ほぼ元だけど。しかも同じファミリーの奴らだ。俺の顔知ってる奴なんていくらでもいるんだよ」


つまるところ、加担してるのがばれたくないという訳か。まぁ、情報屋としてはいらない恨みは買いたくないのなら、そういうのは必要なのか。


「それでいうのなら、私もその仮面くださいませんか? 私も貴族としてやっているのがばれるとまずいので」


「いやお嬢様はその金髪縦ロールでばれるだろ」


「そうですか?」


「逆にばれないと思ってたのか。まぁいいや、予備やるよ」


「ありがとうございます」


ウロクが呆れていた。まぁ、私もさすがにばれると思う。その髪はあまりに特徴的すぎる。というか、貴族の剣術は結構特徴的なところがあるから、騎士と戦った人がいれば、少なくとも貴族というのはばれそうである。


そんな会話をこそこそと話していたら。ウロクが持っていた魔道具が光る。襲撃開始の合図だ。


「それで、私たちの場所からは結構遠いですが、どうするんですか?」


「そういやそうだな、どうすんだ」


「この子を使って上からいきます」


『出でよ、箱舟の獣、運ぶ者、移送獣、アーク』


光の中から鯨があらわれる。さぁて、行きますか。




空の上にいたのは雲ではなかった、何か大きな魚である。といっても、他の奴らはまだ気づいていないのか、空の上を気にする奴がいないのか誰も気づいていない、俺は部屋に備え付けて非常用のベルを鳴らす。俺はもう嫌な予感しかしなかった。




私たちはアークが作った不思議空間から飛び出す。それと同時にベルの音が聞こえた。


「ありゃ、気づかれた」


どうやら一瞬でばれた、まだモンジの隠蔽魔法の精度が低いか。


私はモンジを使って、レーシュはその身のこなしでキレイに着地する。そんでウロクはうまく着地できずにすっころぶ。


「ねぇ! そのオオカミを俺も載せられたよね!」


悪いウロク、モンジは私専用なんだ。


「空からというのは中々新鮮ですわね、それでいきましょうか」


「うん、モンジをよろしくね」


「えぇ」


「と、もう敵が来始めるぞ、いくぞジョゼ」


「りょ」


他は大丈夫かな。




俺は、今までただの商人だったわけだが、いや今も知り合い除けば俺個人は普通の商人なんだが、多分これから先一生見ない光景が広がっていた。一瞬にして集団が壊滅していく姿を。


「レイドさん、敵今度は左から」


「了解しました」


レイドさんは俺が出す他指示を聞いて一瞬で敵が薙ぎ払われていく。いややばいな、グリムさんから貸してもらった魔道具で姿を隠して、指示を出しているが、俺の指示を聞いた次の瞬間には敵が倒れている。ほとんどの敵をみねうちで倒している。


「大丈夫ですか?」


「えぇ、ただ、やはり多いですね。一人ひとりはよわいのでいけます。ただ取り逃すと面倒なのでよろしくお願いしますね」


「了解」


レイドさんが担当したこの場所は単純な数だけなら一番多いはずなのだが、数分で数十人単位で倒されるとため、残りはほとんどいなかった。


ほとんど攻撃は防御していない、というかするまでもないという感じである。敵もほとんど戦意を失っている。強すぎる、近づけば切り払われ、遠くの敵は魔法で撃って倒す。隙もなければ、油断もない。攻撃も防御も隙がない、正真正銘の最強だった。あまりに無法すぎるだろ。


「バーレさん、クヤハらしき姿は」


「いないな、取り逃しもないし」


ジョゼの調査で隠し通路の類もないし、出入り口も一つしかない、厳密には一か所を除いて全部つぶしたわけだが。


「となると、あとは()()()()()のところですか。それなら連絡があるまではここで待ちますか」



作戦開始から十分、クヤハのアジト()()()壊滅。



「ギルドマスター、中にはいますか?」


「いねぇな、ここじゃなそうだわ」


ギルドマスターはアジト全体に睡眠魔法を放ってアジト内にいる人間全員を眠らせた。睡眠魔法は通常一発ひとりが原則なのだが、そこは元勇者パーティだった。たった魔法一発でアジト内全員を眠らせるというのは無法極まりなかった。


「ふー、ならしばらくはここで待ちますか」


「元からその予定だったからな、それにこれ以上目立つと国からお目玉くらっちまう」


ギルマスはその魔法の威力故に使えば、この国の上層部にばれてしまう。だから普段は魔法を使わない。そのため、この作戦でギルマスが出るとなったときも極力魔法を使わない形にした。


だから今回の作戦でも、アジトで一番大きさと中の人間が少ない場所を狙ったという訳だ。といっても、ジョゼさんの調査では、平均レベルが一番高いのはここだったが、まぁギルマスの前では関係ない。


バーレさんから連絡が入る。どうやら、そっちも違ったらしい。となると後は一つとなるわけだが、


「ギルドマスター、レイドさんを向かわせますか?」


「そうだな、一応近くに待機させておいてくれ、多分問題ないだろうが」


「そうですね、彼女たちなら問題ないでしょう」


がんばってくださいね、ジョゼさん。





「てめぇ、一体何もんだ」


「ただ、あなた達を倒しに来たものですわ」


目の前のマフィアたちはいっせいに剣を抜く。流石にこの数はやったことはないが、集団相手の対処法は学んでいるし、何よりこっちには、獣がついている。


「お願いしますわ、()()()さん」


「わぉーん!!」


「あ!?」


敵がモンジさんの遠吠えに驚いて振り返る私はその隙をついて前の三人を切りつける。さて、やりましょうか。




「うーん、中々の戦いっぷり」


「お嬢様は大丈夫そうか?」


「全然余裕そう」


私とウロクは壁側をつたって敵をよけながら中に入った。私は片目だけレンズと目を共有して上の戦況を確認していた。内部の調査はウロクさんに任せてナビしてもらっている。


それにしても、中々すごい戦いっぷりだった、レーシュが敵を引き付けて切ると、今度はモンジが遠くから攻撃しようとする相手に魔法を打ち込む。近距離戦では、誰もレーシュに攻撃を当てられていない。所謂無双状態である。上はどうしても戦場が狭いがゆえに敵は数の有利を活かしきれていない感じだった。


それに、相手はモンジを倒そうと近づくと、普通に近距離戦で強いモンジにやられている。一人と言い匹どっちも強い。


「ちびジョゼ」


「うん?」


私は、戦況確認に夢中で周りを見ていなかったが、ウロクが何か見つけたらしい。というかその言い方どうにかならない?


「どうやら当たりらしい」


「そうか~当たっちゃったかぁ」


どうやら、クヤハを発見したらしい。私からも確認できた。


「本当に一人でいいんだな?」


「多分大丈夫、周り見張ってて」


「了解」


でも危なそうだったら援護してほしいけど。元々ここにクヤハがいるなら、私単独でやるよていだったのだ。問題ない


私はレンズを退去させて、一人で歩きだす。


「やぁ、久しぶり、マフィアさん」


「ちっ、やっぱりてめぇらか」


最悪な状況に目をゆがめていながら、それと同時に最高な獲物を見つけてうれしそうに釣り上げた口。なかなかお目にかかれない顔をしている。


「他のアジトに逃げても無駄だよ、というか他のアジトの方がひどいかも」


「あぁ、でも関係ないなここでてめぇを捕らえて、外の逃げればお釣りもくる」


「そう、ならやってみなよ」


敵は剣を抜こうとする。


『出でよ、半身の獣』


敵は向かってくる、詠唱がこのままでは間に合わないだろう。しかし、


「んな!?」


敵は知らない、シゼルの存在を。シゼルは目つぶし薬を出して、敵の動きを止める。うーん、隙を見せて目をつぶす作戦だったけど、あと一歩で後ずされたか。だが、


『宙を征く者、漂空獣、ナイン』


召喚が間に合う。私の後ろにクラゲ型の獣があらわれる。




女の後ろに、ゼリー状で八つの触手を持ったよくわからない生物があらわれる。女の立ち姿はまるで強者のように余裕があった。だがどのみち逃げ道はない。ここでとらえて逃げるのみだった。


「じゃあ、やろうか」

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

アジト襲撃、ほぼ一瞬で終わりました。二人が強すぎますね。そして、新しい召喚獣二体をやっとちゃんとお出しできました。来週でマフィア編は多分終わりです。

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