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収穫祭

どうも、作者です。33話です。

今回は平和回です。

青の月終月最終日、つまり青の月の最後の日、今日は収穫祭があるのだとか。実際街はすごい大賑わいだ。送魂祭の時も思ったが、この国の人は相当な祭り好きらしい。


「町の外は大賑わいだねぇ」


「そうですね、やはり一年で一番めでたい一日ですから」


「そうなんだ」


「この国では収穫祭という名前ですが、場所によっては神聖祭といって、神の感謝をささげる日でもあるんです」


そういえば、この世界の人間を含めた獣の種族は、青月の神に作られたんだったか。それで一番信仰されているのは青月の神なんだったか。


「それに、今日は王様が見えますよ」


「王様って、この国の王様だよね?」


「そうだな、陛下はこんな機会じゃなきゃなかなかお目にかかれない存在だぜ!」


「あ、バーレさん」


いつの間にか、バーレさんが来ていた。


「仕事はいいの?」


「王様のパレードがあるからな! 地方出身の俺からしたら初めての機会だからな! 見逃す手はねぇだろ」


私もちょっと気になるな、この国に住んでいるのにこの国の一番偉い人がどんな人かも知らないのはどうなんだろうか?


「それに、どうせパレードの間は商売どころの騒ぎじゃねぇからな」


そうなんだ


「私もこの時期にはあまりいないので、王様の姿は見たことがないですね」


三人揃って王の姿を見たことがないのか。


「それだったら三人で見ません?」


「俺も見してくれお嬢!」


「三人と一匹で」


「ですが、私は目立ちますよ?」


「ここの屋上で見ればいいでしょ」


この建物は所有地なのだからそれぐらいは可能である。


「お、それいいな!」


「でも、ここは端ではないのですから中々見えないのでは」


「別にいいんじゃないか? この裏道の土地はギルドが持ってるし」


「え? そうなの?」


マジかその話、聞いたことがないけど、そういえばこの裏道から私と薬屋に来る人以外の人が出入りしているところは見たことがない。


「ありゃ言ってなかったのか、グリムさん曰く元々ここら辺は買い手がでるまでずっと、ギルドが倉庫として使ってた場所なんだと。まぁ結局、商売に都合が悪いのもあって、今の今までちゃんとした買い手は出なかったらしいがな」


そうなのか、初めて知った。


「それなら、ギルドに許可さえもらえば可能そうですね」


「それなら、許可もらいに行って~」


「嬢ちゃんも行くんだよ」


結局、レイドさんに抱えられていくことになった。まぁ楽だからこのまま行けばいいか。


「貴方に恥ずかしさとかないんですか?」


「楽に比べれば恥なんて二番目よ」


「そうですか」


レイドさんは、もういつものことかという感じの生返事だった。最近二人とも私の扱いに慣れている気がする。


「そういえば、情報集めとか大変だった?」


「ま、俺はついでくらいにしかやってねぇよ。そもそも、来たばかりの商人の情報網なんてほとんどないからな」


それもそうか、ギルマスのような偉い人でもなければ、レーシュのように貴族でもないのだ。上京してすぐの人間にこんなことを申し訳ない。


「それでも、やってくれたんですよね」


「悔しいが、俺じゃ何もできない、戦えない。嬢ちゃんがさらわれたときも結局何もできなかった。だからやれることはやらしてくれ」


「ありがとう、バーレさん」


「...。おう!」


すこし、悔しそうな顔をした後、少し強がりながら返事をする。


「いい友人を持ちましたね」


レイドさんがこっそり言ってくる。うん、バーレさんに出会えて本当によかったと思う。


「まぁね」


「なんか言ったか?」


「ううん、何も」


三人で、ギルマスの部屋の前までたどり着く。


「ごく当たり前にギルドマスターの部屋までやってきたが、こういうのって普通受付通すもんだよな。完全に感覚麻痺しちまってるが」


確かに、フリーパスだから忘れていた。というか私は一度たりとも受付を通してここに来たことがないから、完全にそういうものだと思いんでいた。だが今更である。


「まぁもう今更ですね」


レイドさんがさらっと扉を開けた。レイドさんもやはりそう思っていたか。


「お? どうしたお前ら? いやほんとにどうした?」


抱えられている私を見て、ギルマスが困惑している。と思ったら、すぐに納得したのか、普通の顔になる。なんだ、私ならこんなことがあるとでも思ったか。その通りです。


「まぁ、彼女の状態は置いときましょう」


「ちょっくら許可してほしいことがありましてね」


ということで、ギルマスに建物の上で見ていいかを聞く。


「別にそれくらい構わんぞ、そこなら結界の影響下だから目立たんだろうしな」


「おぉ、あざし」


「変な言い方ですね」


「そう?」


まぁ、言い方はさておいて、許可はもらえた。これなら見て構わないだろう。


「そうだ、この後言いに行こうと思ってたんだが、ちょうどいい。せっかく収穫祭だしみんなで宴会でもやらないか? まぁ、ちょっと最後の作戦会議も含めてな」


「それいいな!」


「そうですね、私もゆっくりした時間が確実に取れるのはここくらいですし」


宴会、なんとも不思議な響きだ。バンカさんやレイドさん、バーレさんと飲めるというのは中々に楽しそうだ。


「私もやりたーい」


「んじゃ、お前の店でやるか」


「え? 私の店?」


「ある程度場所が取れて目立たんのはそこくらいだろ?」


そうだけど、それだと私は掃除などをしなければいけないのでは?


「お嬢! 今めんどくさいって思ったな!」


「う」


図星すぎる。確かにそうだけど。


「俺たちも手伝うからさ、やろうぜ?」


「もう、わかりましたよ~」


ま、こんくらいはやろうか。


そこからはパレードの時間まで三人で掃除などをしつつパレードを待つ。そうしていると、


「お邪魔しますわ」


「お邪魔します」


バンカさんとレーシュさんがやってきた。


「二人ともいらっしゃい、二人一緒って珍しいね?」


この店で二人が会っているのは珍しくないが、大抵ばらばらに来ているから不思議だった。


「ギルドマスターから宴会の件は聞きました?」


「聞いたよ~」


「それをレーシュさんのところに参加できるか聞きに行ってたんです」


「あ、なるほど」


「残念ながら、陛下の開くパーティがあるので参加できませんから、空いてる時間に顔だけでもと」


残念そうに、申し訳なさそうにそう言うレーシュ。でもそうだ、レーシュは貴族なのだから参加できないのは仕方ないだろう。少し悲しいが。


「ま、いいよ、こうして来てくれたし、いつでも会えるだからさ」


「ありがとうございます」


私たちは互いに微笑みあう、別に彼女が来られないからと言って、私たちの関係が変わるわけでもないのだ。


「やはり貴族は忙しいですね」


「バンカさんは忙しくないの?」


「えぇ、今日は皆さん冒険業はお休みですし、事務仕事は今日のためにほとんどやっておきましたから」


「せっかくだからバンカさんたちも一緒にパレード見ようよ」


「いいですよ、どこで見ますの?」


「おう、ここの屋上だ、端まで移動して見ようって魂胆だ。もちろん、グリムさんから許可はもらったぜ」


「そういうこと、ならお供させていただきますわ」


「じゃあ、早速行きましょうか」


ということで、五人(と一匹)で見に行く。下を除くと大通りはずいぶんとにぎわっていた。


「やっぱりにぎわってんねぇ」


「こう見ると、この国の王は慕われていますね」


レイドさんの言う通り、これだけの人がこぞって見に来るということはそれだけ慕われているのだろう。よほど優秀な王様なのだろうか?


「お、来たぞ!」


大量の騎馬兵と騎士がきれいな列をなして縦断している。その列の間にひときわ目立つ馬車が見える。あれが王様の乗っている馬車かな。


「あの顔を出している人が王様?」


「そうですわ」


王様は馬車から顔を出し、集まっている人間に大手を振っていた。王様の印象は特別イケメンという感じではないが聡明さは感じる。感覚としてはギルマスに似た感じがある。


あれ、一瞬こっちを見た? 気のせいかな。


「どうしました? レイド?」


「いえ、なんでもありません」


もしかして、レイドさんも同じことを感じた? なら本当にこっちを見た? どうなんだろ?


「パレード、中々によかった」


「そうですわね、まぁ私はこの後、陛下にあいさつしに行くのですけれど」


そうか、この後もっと近くで見ることになるのか。なんだったら声を交わすことになるのか。それはそれで大変そうだ。声もちょっと緊張してるし、やはりプレッシャーとかあるんだろうな。


「ま、頑張って」


「えぇ、それでは私は戻りますわ、皆さんもどうか楽しんでください」


「おう! またな、お嬢様!」


「えぇ」


私たちも、騎士の列が完全に離れてから下へと戻る。いつの間にか時刻は夕刻が近づいていた。


「お、てめーらパレード面白かったかぁ、げふ」


「おう、戻ったな! じゃ、やるかぁ」


「もうやってるじゃないですか!」


いつの間にか来ていたギルマスとウロクがもう酒盛りを始めていた。


「ははは! ま、そういうこともある」


「そうそう! 楽しい時間は長い方がいいだろ!」


「はぁ、この人たちはななぁ。嬢ちゃん、俺も一杯やりてぇところだが、飯買ってくるよ」


バーレさんは本当に気が利く。


「ありがとう」


「それなら、私も一緒に買いに行きましょう、私も飲みたいですが」


「おう、助かるぜ!」


二人は買い物に出かけていく。レイドさんからため息をつく。ただ、にじみ出る雰囲気はどこか楽しそうだ。


「はぁ、ジョゼさん、今日は大変ですよ。頑張りましょう」


酒飲みが四人、確かに大変だこれ、特に飲み始めたバンカさんはやばい。でも、きっとこれも楽しい思い出になるだろう。だって、みんなと一緒にいられるのだから、今日ぐらいは少しだけ苦労してもいいかもしれない。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

本当にただただ平和な回です。しかし、ついに次回から本格的にマフィア襲撃が始まります。お楽しみに。

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