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水面下の情報戦

どうも、作者です。26話です。

最近暑さに慣れてきた気がします。嘘です。暑いもんは暑い。

作戦会議から一か月くらい、確か…、今日は何日だっけ。


「今日って何日でしたっけ?」


「青の月の終月、一日です」


そうだ、いつの間にか、新しい月に入っていた。あれから、あのマフィアたちに大きな動きはない、なんでも青の月に仕掛けること自体珍しいのだとか。青の月の時期はイベントごとが多いので、騎士たちの動きも活発になる。だから何か仕掛けるのは難しいらしい。それを聞いたら、それほどお前が迂闊だったと言われたが。


まぁ、私もあれ以来随分と警戒して動くようになった。何より、常にレンズを召喚しっぱなしにするようになったのだ。そうすれば、私に何かあってもすぐに他の人間にレンズが伝えてくれる。


なので、あれから特に変わったことは、と言いたいところだが、まだ何かが解決したわけではない。そのため、色々と変わったことがあった。一番変わったのは、


「鎧の人! その本面白いか!」


「うーん、絶妙なラインですね、作者の表現力には目を見張るところがありますが、内容が追い付いていないですね、星三つといったところでしょうか」


レイドさんがよく店にいるようになったことだろうか。


なんでも、ギルマスから時間に余裕があれば、私の護衛をするように言われたらしい。と言ってもあまりに目立つのでこの店の中だけだが。といっても店に来ているのだから目立つのでは?


「SSランクの冒険者なんて人が来ているのにどうして人が来ないんだろう?」


最高の客寄せパンダだと思うのだが、SSランクの冒険者なんて、冒険者としてはあこがれの的だろう。そんな人が実質常連状態なのだから、レイドさん目当ての客と書きてもいい気がするのだが。


「簡単な話、私がこの店に来ていることを誰も知らないからですね」


「でも、誰かしらはこの店に入るところ見たりしてるでしょ」


「もしかして、ギルドマスターから聞いてないんですか?」


「何が?」


本気で何のことかわからなかった。


「えぇ、あの人言ってないんですか、まぁいいです。この店、厳密にはこの店がある裏道にはこの道に入ることに違和感を感じなくなる結界が張ってあるんですよ」


何それ、本当に聞いてないですけど。え、まじで、そんな結界張ってあったの、いやそういえばこの前にギルマス来た時に結界のメンテナンスみたいなこと言ってなかったか。あの時言ってた結界ってこれのことかぁ。


「なので、この道に入ったとしても、誰も違和感、というより興味がわかないという表現の方が適切でしょうか。おそらくほとんどの人がこの店に来ないのはその弊害でしょう。特に目的意識を持たない人はこの道に行ってみようという意識も湧かないようになっているのでしょうね」


今まで一切お客が来なかったのはそういうことか。確かにレーシュもギルドに言われてここに来たと言っていた。まさしくそういうことだ。レーシュだってそれなりに目立つ存在なのに今までレーシュ目当ての人間がいなかったのもそういう訳か。


「てことは、ここってまず見つからない場所なの?」


「そういうことですね、というか、ここにあなたがいることがわかっていたのであれば、マフィアだってまず最初にここを襲うはずでしょう?」


確かに。なるほど、ここって相当な安全地帯だったのか。


「じゃあこの店って一生客がこないのでは?」


「そうですね、結界がある限りはまず滅多なことでは人は来ないでしょうね。ですが、完全に入らないということはないと思いますよ、まぁ、その結界をさらっと抜けれるレベルで考えてないとかそんなレベルでなければいけないと思いますが」


そんな人いるのか、つまり何も考えず唐突にこの道に入る人だよね、そんな人いるのか?


「でも、だとしたらここで護衛する必要ないのでは?」


「万が一、というのはありますので。それに、宿代が浮きますから」


そう、レイドさんは今ここに泊っている。一番危険なのは夜の時間帯なので泊まり込みが一番安全ということもあってそうなった。もともと、この建物は家としても使っているわけだが、一人暮らしなものだからすごく部屋が余っていた。なんでも、昔は宿だったらしい。なので今更一部屋くらいどうってことないのだが。


でもレイドさんの素顔は見たことがない、この一か月一緒に過ごしているのに一度も鎧を脱いだところを見たことがないのだ。それに中性的かつ鎧でくぐもっているものだから男の人なのか、女の人なのか判別がつかない。


「その鎧、邪魔じゃないの?」


「特に何も、正直寝るときもこのままの時もあるくらいなので」


なるほど、快適なんだ。特注品なのかな?


「それで、()()はどうですか?」


「まぁ、ぼちぼちかな?」


この一か月ひたすらレンズで情報収集をしていた。私以外のみんなもそれぞれのつてを使って情報収集しているらしい。


「あなたが、情報収集しているのを見たことがないのですが、どんな感じなんですか?」


「まぁ、ほとんどは」


「俺以外の召喚獣だな!」


その通りだ、まぁシゼルはシゼルでポーション生成をしているので召喚獣フル稼働である。


「となると、レンズさんですね。ですが、レンズさんを使うのであれば、結局あなたの視界を共有する必要があるのでは、指示出しをする必要もあるでしょうし」


「それがこの一か月で召喚士のレベルが上がってやれることが増えたんだよね」


主には、まず同時に召喚できる召喚獣が一体増えた。これが一番革命だった。今まで、シゼルともう一体で終わっていたのが二体の召喚獣を組み合わせられるようになった。そして、もう一つ、レベル30になったときに召喚できる獣が一体増えた。


「まぁ、その子がずいぶんと便利でね、手がいっぱいあるから私の代わりに記録してくれるんだよ」


もっと厳密にいえば、モンジの魔法は紋章を刻めば使える。つまりモンジで一度紋章を出しぱなっしにすればモンジを退去させても使える。なので、紋章を利用して私とレンズの視界共有をその子にも共有できるようにした。


「こうすれば、自動情報収集装置の完成ってわけ」


「何度聞いてもあなたの召喚獣は無法ですね。ですが、どれくらい情報を集めたのです?」


「んーとね、まず所属している人の顔はほとんど分かったかな、あとレベル。あの時は大変だったな、レベルと名前は私が鑑定使わないといけなかったから疲れるんだよね。あとは、薬物を買ってる人。あと行動範囲、これぐらい?」


ん? なんだかレイドさんが固まっている。まぁ、自分でもかなり情報を集められたと思うが。何だったら、頭に手を当てて悩んでいる気がする。


「あなた、予想以上でしたね、これからもやりますか? その情報収集?」


「まぁ、ギルマスから何か言われるまではするよ」


「その後は」


「ん~? まぁやらないかな、自動って言ったけど、ずらしてるからこっちにも視界共有されてて結構疲れるからね。これ結構めんどくさいんだよ、だからもうやりたくないかな~」


正直、むかついてなければここまでやらなかっただろう。マフィアに対する怒りはまだまだ収まらないのだ!


「はぁ、あなたが怠惰でよかったですよ、本当に。それと同時に私はあなたを敵に回すこともなくなりました」


「私もレイドさんを敵に回したくない」


「そうですね」


ま、随分と情報収集した。それに、集めた情報は逐一ギルマスに送っているが、いつ仕掛けるんだろうか?


「いつマフィアとやるとか知ってる?」


「いえ、私も知りません、しかしまぁ青の月の間はやらないと思いますよ。あっちが行動制限を受けているように、こちらもまた仕掛けるには騎士たちの動きに注視しなければなりませんから、この時期は動けないでしょうね」


そうなのか、つまり今はにらみ合い、というより、一方的に情報を集めている状況な気がするが。ということはしばらくは平穏そうである。


「私もクエストがありますから、あまり不用意に外出しないようにしてくださいね」


「じゃあ、レイドさんのクエスト見学していい?」


どんな感じか気になるし、ちょっと見てみたい。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

最近は一か月が早いです。作中では一瞬で一か月が過ぎるのですが、現実でもこんな感じで過ぎている気がする。

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