ジョゼを救え
どうも、作者です。22話です。
ジョゼはどうにかなるんでしょうか?
「ジョゼさんが、何か巻き込まれていますわ」
その言葉を聞いたとき、私は困惑した。あまりに曖昧で、確実性が含んだ言葉。
「一体何があった?」
ギルマスが冷静に言い放つ。そうだまだ何があったかはわからない。私も落ち着かなければ。
「ジョゼさんが帰ってきていませんの、少なくとももう二時間は」
「「二時間も!?」」
二時間、あのジョゼさんが二時間。
「あ、えっと、それってそんなに大変なことなんですか? 別に変なことでもないのでは?」
「えぇ、通常でしたらそう思うかもしれません、しかしジョゼさんは別です。基本的に彼女が家から一時間以上出るなんて基本ないんですよ」
そう、ジョゼさんが、家を出ること自体ほとんどない。でるとしても、図書館か商店、それか私たちの中の誰かのところに行くくらいだ。どこか、薬草採取をするとしても、その場合は私かギルマスのところに報告するように言ってある。つまり、まずありえない。
「その、ジョゼという方は相当の出不精なんですね」
「嬢ちゃんはそういうやつだからな。しかもここにいる人間以外に知り合いいないし。ってあんたは?」
「あら、ご、ごめんあそばせ。何かお邪魔してしまったみたいですわね」
バーレさんとレーシュさんが急に入ったことを詫びている。しかし、緊急事態だったのだから謝ることはないだろう。
「いや、それはいい、一応プライベートではあったが、今はそれどころじゃない。とりあえず、心当たりは? 店で襲われたってことはないはずだ。あそこには、結界が張ってある。あそこで何かあれば俺に伝わってくるからな」
ギルマスは冷静に分析している。この場で一番困惑しているのは私かもしれない。私も少し落ち着かなければ。
「ジョゼさんが出ていったのは恐らく本を借りに行ったのだと思います。カウンターに英雄記の三巻があったので読み終わって続きを借りに行ったのでしょう」
「図書館には?」
「ここに来る前に私が確認しに行きましたが、図書館にはいませんでしたわ」
「商店の方にもいねえのは確認してるぜ」
お二人はもうジョゼさんがいそうなところは確認している。
「となると、道中で何かに巻き込まれたか、それか」
だが、今このあたりで何かいざこざが起きているという話は聞いていないし、その予兆のようなものも確認していない、そしてジョゼさんには”そう”される理由もある。
「誘拐されたか、ですね」
「ま、確実に誘拐だろうな」
「どうして、誘拐されるのですか? 話を聞く限り、やはりあなた達にとって重要な人物のようですから、あなた達に打撃を与えるためですか?」
レイドはそう聞いてくる。それもそうだろう、一人だけジョゼさんのことを知らないのだからそう思うのも仕方ない。
「いや、俺たちとの関係を知る人間なんてほとんどいないだろうよ。レーシュ嬢がらみだと何とも言えねえが、それでもただの薬屋を誘拐するほどではないだろう。十中八九、ジョゼのスキルだろうな」
私含めてジョゼさんのスキルを知る人物は全員それしかないという顔をしている。
「スキル?」
「はい、ジョゼさんには『活性』という植物を魔力をもって強制的に成長できるスキルを持っています」
「しかも、気温なんかの整った生育環境なしでな」
「つまり、植物であればどんな貴重なもの、生育が難しいものでも無限に増やせるわけですか。それは狙われるのも納得ですね」
そういうことだ。問題はどこでそれを見られたか、それが問題ですが。
「とりあえず、今はジョゼの行方を捜す。すまんが、ハ、レイド、手伝ってくれないか?」
「えぇ、正直無視していい案件ではないようですからね」
「「レイド!?」」
二人は同時に驚く。それもそうだろう。この国で、いやこの大陸でその名前を知らない人はほとんどいないのだろうから。
「レイドって言うと、あのレイドだよな、あ、レイドさんですよね」
バーレさんが改めてかしこまる。相当焦っている。でも、貴族のレーシュさんやギルマスに気軽に話している時点今更ではないでしょうか。
「そうかしこまる必要はないですよ。どこまでいっても、私も一介の冒険者ですから」
「そ、そうですか、じゃあ遠慮なく」
バーレさんもなれたものらしい。一瞬で元のテンションに戻っていた。もう普通の商人というには人脈が普通ではなくなってしまっているのがよくわかる。
「まさか、”SS”ランクの冒険者様が来ているとは、驚きましたが、今は心強いですわ」
「さて、ジョゼの案件はここにいる人間で処理しなきゃいけねえ。とりあえず、どうするかすぐ決めるぞ」
私達はギルマスの言葉に一斉にうなずく。ジョゼさん、どうかご無事でいてください。
意識を取り戻してから、多分一時間くらい。私はどうすることもできずにただぼーっとしていた。なんせ手足は椅子に縛られて動かないし、口が封じられて召喚もできない。かといって、シゼルには戦闘能力もないし、不用意に喋ればシゼルの存在が気づかれる。シゼルもそれがわかっているから喋らない。
正直、お手上げだ、手は上げられないが。やれることがないのだ、だが、きっとバンカさんたちなら、明日には気づいてくれるだろう。なんせ一日私がいないのに気づけば動いてくれるはずだ。流石に今日は気づかないだろうが、それは仕方ない、一日空けているぐらいで騒がれほど、私も子供に思われていないだろう。
さて、本当にどうしよう、せめて周りの状況でもわかればもう少しやりようはあるはずだ。唯一自由に動かせる首を上に曲げて明かりを見る。だからと言って、特に何も思い浮かばない、何かできること。
そうだ、暴れてみよう。もしかしたら、それで、外に人がいるかどうかくらいはわかるかも。
私はとにかく動かせるだけ体を動かす。そうすれば、椅子や床が揺れる、上にある明かりも少し揺れている。よーし、このままの勢いで、もう縄も緩んでほしい。
「おい! うるせえぞ! 女!」
その声と共に勢いよく扉が開かれる。体格のいい男が、入ってくる。男は私の方に近づくと髪をつかむと、強制的に目を合わせてくる。
「あんま、騒いでると、殴るぞ、あぁ?」
「おいやめろ、クヤハさんから放置しとけって言われてんだろうが」
もう一人体格が細めの男がそうなだめる。私の髪をつかんでいた男は、舌打ちだけして元の場所に戻って扉を閉める。
流石に髪を引っ張るのは、やりすぎではなかろうか、殴られないのは分かっていたが、それでも怖かった。もうやりたくないなぁ。しかしわかることもあった。とりあえず、常時いる監視役は二人、交代制かな? あと男の一人は短気だ。絶対やり返してやる。
それと、男と目を合わせたときに思いついた。目が使えるのだ、なら『鑑定』はできる。二人が話している間に『鑑定』をする。二人の人間の名前は、ギャングA、Bでいいのだ。まぁどうでもいい。しかし、レベルは需要だろう。強さの指標になるはずだ。
レベルは二人とも25程度、職業はまんまギャングだった。どれくらい強いかはわかないけど、今の私のレベルと大差はない。それがわかっただけ御の字だろう。
とりあえず、片っ端から『鑑定』をかける。特に重要そうな情報はない。しいて言うなら灯りがろうそくの火ということだろうか。まぁ、この世界に電気の機械なんてないし、電灯なんてないし、ろうそく以外ないのだが。
しかしもう一つ重要なことに気づく。どうやら『鑑定』はある程度の遮蔽物は貫通できるらしい。思い出してみれば、森で採取と化しているときに木の後ろの植物とかできた気がする。
だが、これのおかげで、扉の先の人間がいるかどうかがわかる。これは、重要な情報だろう。あとはどうやって、この猿轡をどうにかする方法を考えるのだ。
明日、バンカさんたちが気づいたとして、それでは私にとっては遅いことに気づく。何せ私には、下の方の時間がないのだ!
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
ジョゼを書いていると、結構やばい状況なのにジョゼの性格に引っ張られるのか段々コミカルになっていってしまいます。




