少女と裏道
どうも、作者です。20話です。
いつの間にか20話です。
俺は、あの日ボスの命令を受けて、しぶしぶあの森に行った。薬草を採りに、ギルドは俺たちに薬を売ってくれないため、違法商店で買うか、自分たちで薬草を取ってポーションが作るしかない。
その日も、他の派閥との抗争があって構成員が結構な負傷をしてしまったがゆえに、俺が採りにいかなければならなくなった。くそが、なんで俺が採りにいかなければならないのか。こんなことなら、冒険者の経験があるなんて言わなければよかった。
しかしその日はそれが運がよかった。でかい獣を連れた女を見かけた。冒険者であるのは確実なため、俺は身を潜めた。ギルドに報告されると厄介だからな。一度”それ”を見る前にバランスを崩して、ばれかけたが、近くにいる、ニックスロップを追い出して、何とかごまかした。
その後だった、その女が”それ”を使ったのは。そう、種から植物を成長させたその”力”を見た。俺はこれを見たときやべぇと思った。でけえ獣に、そんな”力”を使うやつが”薬草採取”をしている。これはつまり、そいつは全くのド素人がその”力”を保有していることの何よりの証だった。
ただ、その獣に勝ち目がないと感じた俺は、その日はそのままその女を見送った。そう、必ずその日がやってくる。そうなれば、俺たちは、いや俺はマフィアの頂点どころじゃなく支配者にだってなれちまうんだから。
雨が降っている。ついさっき降ったばかりだ。この帝都だと雨が降るのは数日に一度くらいだ。たまに全然降らない日もあるらしいが、雨が降るときはめんどくさいから、個人的にはありがたい。何より、レンズが動いてくれないのだ。普段ならレンズを飛ばして空から都市を見て時間つぶしをするのだが、雨が降るとレンズが嫌がって飛んでくれないのだ。
「ジョゼ! ちょっと雨宿りさせてくれ!」
「あ、バーレさん」
バーレさんがやってくる。唐突な雨でぬれてしまったらしい。
「拭くもの持ってくるよ」
「すまん」
ということで拭くものを持ってきてバーレさんに渡す。バーレさんは疲れた顔をしている。
「やっぱ最近忙しいの?」
「そうだな、冒険者が増えて市場が活発になってるからなぁ。まぁ商品が売れる売れる。これならさすがは帝都って感じだ。これなら、数年以内に店を構えることもできるかもしれねぇ!」
そうか、店を構えるのって実際は数年かかるものか。私は数日で店出したから苦労してないんだよなぁ。
バーレさんが、少し寒そうだ。まぁ、この時期は気候は安定していて、日本の秋ぐらいの涼しさで過ごしやすい。しかし、さすがにぬれると寒いのだろう。
「シゼル、あのホットポーション出して~」
「ん、あれか! 了解!」
コップをとりだしてシゼルの瓶から赤っぽい液体をコップに注ぐ。最近新しい植物を手に入れたため作ったジュースみたいなものである。
「これは?」
「体が温まるポーション、冬にちょうどいいだろうって、ギルマスさんが渡してくれた植物とレシピから作った。この時期に飲むと体が熱いくらいだけど、冷えてるからちょうどいいでしょ」
帝都に夏はないが、冬季はあるらしい。赤の月ぐらいからそこそこ冷えるんだとか。そういうことで、ギルマスさんから事前にもらったのだ。なんでも、最近来た知り合いにもらったとかで。ただし、ギルマスにも渡す前提で。何せ私に植物を渡せば、無限供給できるからね。つまるところギルマスさんが飲みたいから体よく使われたわけだが、中々においしかったため許した。
「助かるぜ! 嬢ちゃん、意外と気が利くよな」
「以外は余計だよ」
私だって人を慮れるのだ。確かにめんどくさがってやらないこともあるが、約束を反故にすることになるのだ。これでも人の縁は大事にする方なのだ。
「雨は厄介極まりないなぁ」
「まぁ、外で活動する分には面倒だよねぇ」
中から眺める分にはとても綺麗で尼が落ちる音も心地よくて好きなのだが、やはり登校するなどには厄介極まりなかったしなぁ。
「何より、客が来ないんだよ」
「そっか、みんな外出たくないよね」
「あぁ、相当切羽詰まってなきゃ、冒険者も雨の日は休みにすることも多いからな。まぁ人が来ない」
まぁ、わざわざ出なきゃいけない用事がなければ外に出ることはないだろうしそんなものだろう。
「だが嬢ちゃんの店があって助かったぜ、じゃなきゃもっと濡れてたな」
「でもせっかくだから、何か買ってよ」
「それなら、このドリンクをもう一杯、中々にうまいなこれ」
話しているうちに、いつの間にかバーレさんのコップの中の液体がなくなっていた。
「あんまり飲みすぎると、汗だらだらになるか気を付けてね」
私もおいしくて何杯か飲んでいたら、サウナに入ったかのように汗だらだらになって大変だった。あの時は大変だったなぁ。
「りょーかい、それにしてもシゼルの中は無限にでもなってんのか? どこから液体出してきてるんだ!」
確かに無限にストックできるな。今まで気にしたことなかった。
「今まで食べた草から精製した液体は、全部俺の中に保管してるからな! 普通のポーションもあと十ダース分くらいあるぜ!」
そんなにあったのか、確かに毎日結構な量をシゼルに渡してるがなぜそんなにストックしているのか。
「それって、混ざったりしないの?」
「しないな!」
しないのか、便利だな。
「うーん、俺も無限にものをストックできればなぁ。もっと商売が楽になるんだがなぁ」
確かに、それができたら、保管問題は解決できる。それだけで、随分と楽になりそうだ。
「シゼル、それって液体以外もストックできない? 私ももっと楽できるし、グラスで作った瓶とか置き場所なくて困ってるんだけど」
「残念ながら無理だな! それにそれはお嬢の自業自得だろ! 俺以外に頼るんだな」
別にモンジもレンズもそういうことできないからなぁ。いやモンジならそういう魔法使えないかな? 今度試してみようかな。
「と、そろそろ、行かなきゃならんな」
「何かあるの?」
「あぁ、ちょっと商売の話があってな」
「頑張ってね~」
商人らしいこともやはりしてるんだなぁ。私はそういうの一切やらないし。私も見習ったほうがいいかなぁ?
「あぁ、嬢ちゃんも気をつけろよ」
「ん? 何を?」
「最近何かと、きな臭いからな、人が増えるっていうのはなにもいいことばかりじゃない。悪いもの多く入ってくることになるし、帝都に来た田舎もんを狙って悪い奴らが狙うことも多いからな、そういうの巻き込まれんように」
この前、ギルマスが来たのはそれもあったのだろうか。
「わかった~」
「本当にわかってんのかね。ま、雨の日は女神様の目も見えにくくなるらしいからな、雨の日は特に気を付けろ」
そんな話があるのか、面白いな。ということは、あの女神も雨の日には私のこと見えなかったりするのかな? 今度覚えてたら聞いてみよ。
「わかったよ」
まぁ、最悪モンジを呼べば解決できるのだ。問題ない。
「じゃ、またな」
「は~い」
私は、コップを片付けて、いつもの作業をする。時刻で言えばまだ昼前だった。
お昼ごはんを食べた後、あまり薬づくりのやる気がなかった。やはり、雨の日は調子が上がらないものである。しかし、レンズは空を飛ぶのを嫌がるので空からの散策はできないし。どうしようかな。本でも読むか。
確か、この前図書館で借りた「英雄譚」の三巻がベッドの上にあったはずだ。それを取りに行こう。
この「英雄譚」、中々に面白い。というか。なんでも本当にいた英雄の話を多少、虚構を混じえながら物語に仕立てるらしい。特に二巻の眼鏡と本が特徴的な英雄の話は涙なしでは見れなかった。少しラノベっぽさもあって読みやすくて、時間つぶしにピッタリである。
私は店のカウンターでその本を読む。あれ? おかしいな、先の内容がなんとなく読めるぞ? ...あ。そうか、昨日の夜に読み終えてしまったんだ。半分寝ながら読んでたから忘れてた。
「うーん、仕方ない、やることもないし本借りにいこう」
帰ってきたら、ちょうどよく睡眠欲が出て昼寝もできるし、今借りに行くのが吉、というやつだ。雨は少々めんどくさいが、まぁ、今行く気が起きたから行こう。
ということで、いつもの道を使って図書館に行く。この世界に来てから一時間ぐらいなら歩いても全然疲れ亡くなったおかげか、行動力が上がった気がする。あっちの世界にいたときは、コンビニに行くのすらめんどくさかったものだ。
それにしても、本当に人がいないなぁ、いつもならもう少し人がいる気がするが、やはり閑散としている。裏道は、やめておこうか、近道だから普段は使うのだが、さすがにやめておこう、まぁ、ちょっとしたまわり、
ゴン! なにかに頭をぶつけられた感触。一瞬死んだ瞬間の記憶がフラッシュバックする。そこで私の意識は途切れた。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。
ちょっとまずい展開です。ジョゼは大丈夫なんですかね?




