緑月の夢
どうも、作者です。18話です。
箸休め回です。前までの重い雰囲気はどこへやら、のほほん回です。
「やぁ、久しぶり、ジョゼ」
見覚えのある空間、緑髪の中性的な少女、貴様は、女神!
「僕だよ~、約束事をはたしてもらおう」
あぁ、たまには話すっていうやつね。それはいいけど、何を話すの。
「なんだろうね?」
何も考えてないの!?
「仕方ないじゃん、今日を見過ごすとしばらく接続できる機会がないんだよね。だからとりあえずつなげた」
そんな理由なのか。あ、でも一つだけ聞きたいことがあったんだ。
「うん、何?」
あなたがこの世界で信仰されている女神なの?
「うーん、難しいところだなぁ、確かに僕も信仰されている女神ではあると思うよ。実際、送魂祭で祀られている女神は私だしね」
やっぱりそうなんだ、じゃあアレスの行方とかわかるの。
「残念ながら、僕たちは女神ではあるけれど、そのすべてを事細かに把握できるわけじゃない。何より、魂というのは漂白されてまた僕の元に流れ着く。僕からしたら、全て真っ白い魂だからね、見分けがつかないんだ。でも、アレスという鳥もこの世界に流れついているよ」
そっか、アレスはもうこの世界に飛びたっているのか。
「そういうことだ」
それにしても、本当に女神だったのか。
「女神じゃないと、この世界に転生なんてさせられなよ。人の手で完璧な転生なんてできないさ、いーや他の女神にもできないね」
さっきも思ったけど、他にも女神がいるの?
「いるよ、ほら、君も聞いただろう、この世界の暦について」
あぁ、三色の月の話? あれが、三色の月があって、それが暦になっているやつ。
「そ、三色の月はそれぞれ一柱の女神の端末なんだよ」
あ、さっきの送魂祭であなたが祀られているというのは、
「そういうこと、僕が緑の月の女神だ」
もしかして、さっきのしばらく接続できないっていうのも、
「僕の月がしばらくでないからだね。ちなみにその間、君の動向もずいぶん追いづらくなるんだよねぇ。まぁ、リアルタイムで見る必要ないけどさ」
やっぱり全部見てたのか。なら、助言とか送ってくれてもいいじゃん。そこそこ苦労したこともあったんだけど。
「そんなこと言われてもねぇ、僕別に未来予知とかできないし、いちいち助言して君が怠惰な人間になっても、いやそれは元からか」
そうだ、元から怠惰なんだから、いいじゃん。
「してもいいけど、次助言とかできるのだいぶ先だよ」
あ、そっか、使えないなぁ。
「仕方ない、僕は役立たずの女神だからね、仕方ないね」
まぁ、いいか。
「あぁ、そうだ。この世界はどうだい?」
うん、結構楽しいよ。まぁ、君が与えてくれたスキルと、あとは私の運だよね。それのおかげだね。
「本当にね。君が運がいい。助言と言えばそれだね、人には気をつけなよ、君が出会った人が善人ばかりで忘れがちだろう?」
それは分かってるよ。流石に初対面相手に油断しないよ。
「でも、レーシュちゃんのときはだいぶ油断してたでしょ」
う、そうだけど。
「ま、気を付けることだね。あとは、君のスキルは貴重だから、あんまりに人に見せないこと」
分かった。でもそれ今更言う?
「ごめん、言い忘れてた。仕方ないじゃん、こういうの初めてなんだからさ~」
でも他にも転生者っているんだよね?
「いるね、ただ普段やってるのは別の女神さ」
そうなのか。
「ま、そういうことだ」
ふーん、なんで呼びだしたの?
「私も一回呼び出してみたかったんだよね。そしたらちょうど波長のいい君が死んでしまったからね」
つまり私は被害者。
「それはそうなんだけどね。あ、そろそろ時間か」
そう、じゃ、さようなら。
「あっさりしてるなぁ、まぁ、またよろしくね」
朝、随分となじんだベッドから起きる。まぁ、いつもなら二度寝するところなのだが、今日はずいぶんと意識がはっきりしていた。
「めずらしいな、お嬢が二度寝しないとは!」
「女神に会ったもんで」
「あ、ああ俺たちを与えた女神さまか! 様子はどうだった!」
シゼルもそういうの気にするのか。まぁ、『幻想召喚』を与えたのはあの女神だし、ある意味生みの親みたいなものか。
「何も変わってなかったよ」
「そうか!」
さて、今日も薬屋を始めますか。
青の月の初月一日、この世界ではこういう、日の読み方をするらしい。初月、中月、終月という感じなのだとか。まぁ、特にだからと言ってなんだというのかという感じですが。
「おはようございます、ジョゼさん、シゼルさん」
「おはようございます、バンカさん」
「おう!」
「今日はずいぶんと早いですね、大体私が起こすのに」
まぁ、そうである。私があまりに起きて準備をしないので、こうしてギルドに出勤する前に起こしにくれるようになった。正直、本当はもっと寝たいのだが、バンカさんに起こされては起きないわけにはいかないのだ。
「お茶いれようか?」
いつもならすぐ行くところだが、今日は私が起きていたせいか、バンカさんがギルドに行くまでに余裕があった。
「お願いします」
「俺も入れてくれ!」
「ついでにやったげる」
この世界に来てから、随分と家事ができるようになっていた。人の順応性というのはすごいものだ。元の世界にいたときは全然できなかったのに。やらなければならないとなれば、努力できるものだ。
最初の方はできものを買っていたが、時間つぶしにもなるようになってからは自分でやるようになっていた。バンカさんやバーレさんが教えてくれたおかげで結構すんなり覚えられた。今では、ハーブティーも簡単に淹れられるになっている。
「はい」
「ありがとうございます」
あいかわらず、バンカさんの所作は優雅だ。すごくきれいですねと言ったら、ギルマスの秘書という役割もあり、どうしても身分の高い人の応対することが多いからだと言われた。
「うん、随分と淹れるのがうまくなりましたね」
バンカさんは、リラックスした表情でそういってくれる。ハーブティーの淹れ方を教えてくれたのはバンカさんである。その人に褒めてもらえるのは中々うれしいものだ。
「まぁね~、そういえば、バンカさんって女神のことってどれくらい知ってるの?」
「女神って、随分と横暴な言い方をしますね。まぁ、異世界の方からしたら別世界の神ですしね。むりもありませんか」
バンカさが苦笑しながら言う。いや、どちらかというと、本性を知っていると様付けをする気が起きないだけなのだが。
「女神様ですか、そうですね、私は信心深い方ではないのでなんとなく、敬っているお方達、という感じでしょうか。ハーフエルフなので、特にこのお方という感じではないですし」
言い方的に、人によってこの神を信仰しているとかあるのだろうか、そういえば女神もそんなこと言ってたな。信仰されているが自分かは難しいとか。
「ただ、人間のお方達は基本青月の女神様を信仰されていますね」
そうなんだ。何かあるんだろうか?
「どうして?」
「人間を生んだのは、厳密には獣族を作ったのは青月の女神様ですからね」
「獣族?」
「獣族とは、獣から派生した者たち、また青月の女神によってつくられた者たちです」
「へぇ、じゃあエルフは違うの?」
「そうですね、エルフは霊族です、そしてあとは魔族ですね」
ふーん、そんな感じなのか。でも魔族はいかにも敵っぽい。それぞれに女神がいるのか。いや待て、ということは、あの女神にもそういうのいるのか前々そうには見えん。
「まぁ、青月信仰はこの国では薄いですが」
「そうなんだ」
「あ、そろそろ行かなければいけませんね」
そんな時間かぁ、はぁ、どうせ来るとしてもいつも通りの人たちだけだけど。ちゃーんと営業しますか。
「それでは、頑張ってくださいね、ジョゼさん、シゼルさん」
「おう!」
「バンカさんもね~」
裏道の薬屋は月の色が変わろうが、変な女神に絡まれようが営業するのだ。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字・コメントお気軽にどうぞ。
今回でやっと三月裏道譚の三月の部分が少し意味が分かったかなと思います。そうだといいな(願望)




