草を求めて戦闘中
どうも、作者です。14話です。
熱さで寝付けません。でも、毛布すらかけなければ、ましなことに気づきました。
「頑張れ~」
「あなたねぇ!」
剣を持った少女が襲い掛かる魔物を切り伏せる。数が多いためか、多少苦戦はしているようだが全然余裕そうである。流石は騎士の卵といったところか。
「レーシュ、背中」
「了解ですわ」
レーシュは背中を向けたまま、剣を向ける。後ろから飛び込んできた敵の急所に的確に突き刺さる。おぉ流石。
さて、ここは、サジッタの森。そこにいるのは、一人の少女と私、ではなく、フクロウの姿をした獣であった。それが今の状況である。こうなったのは、少しだけ時間を巻き戻す。
「ジョゼさん、行かないとはどういことですの!?」
「いや、だって私ただの薬屋だよ、戦闘とかやりたくないし」
冒険者を引退したというのに、戦闘なんてまっぴらごめんである。何より面倒くさい。
「それは、そうですが。しかし私ひとりでは、バルド草の見分けなんてつきませんわよ」
「ふっふっふ、そこはご安心をちゃーんと秘策があるので」
「本当ですの?」
というところで、図書館に行った日はそれで分かれた。次の待ち合わせは、四日後であった。
というわけで四日後、その日はいったん薬屋に集合した。というか私が指定したのだが。予定時間より彼女は少しだけ早く来た。まぁ、別にいいのだが。
レーシュは、前の学生服ではなく、戦闘用の服を着こんでいた。動きやすそうな服装の上から、手足と関節などの要所には防具を着こんでいた。それもそのはずで、サジッタの森は魔物が出る場所であるらしい。危険度は高くないもののさすがに生身はまずい場所である。
「それで、あなたの秘策とはなんですの」
「そのために、私のスキルについて話さないとね」
私は『幻想召喚』について話す。ついでに喋る獣がいることも。
「ちなみに、この瓶の中の靄がシゼルね」
「お、やっとそこの嬢ちゃんと喋れるぜ! よろしくな!」
「ほ、本当に喋るんですのね」
「いつも似たような反応だな!」
「人間なんてそんなもんよ」
逆にシゼルを見て驚かない奴は警戒した方がいいな。うん、多分やばい奴だろう。
「それで、もう一体のモンジさんを私につけるということですの?」
「いや、モンジじゃ薬草を見分けられないよ。『鑑定』使えないしね」
「では、どうするんですの」
「実は、最近召喚士のレベルが10をこえましてね。そしたら、新しい召喚獣を呼べるようになってね。その子を呼びます」
ちょうど、図書館に行く前の日にレベル10をこえていた。そしたら、新しい召喚獣を呼べるになっていたのだ。バンカさんからはいくら何でもレベルの上がり方がおかしいといわれたが。まぁ、いいのだ。
「なるほど、その子なら、薬草を見つけられると」
「まぁ、そういうこと。さっそく呼んでみるよ」
『出でよ、観察の獣、静かなる者、翼静獣、レンズ』
私の手の中から、光があふれ出る。そこから現れたのは、梟の見た目をした白い獣だった。大きさは1Ⅼのペットボトルぐらいだろうか。かわいい梟である。
「とても、かわいいですわね」
そういう彼女の顔は少し陰っている。
「実際戦闘力はまったくないよ」
「あぁ、しかも戦う気すらないぞ! つまり戦闘力は皆無」
「シゼルが言うか」
「では、この子は何ができるんですか」
「レンズができることは基本隠密。音を出さないで飛べる。それだけじゃなくって、どうも存在感をなくせるみたい。この前適当に飛ばせてみたら、一切周りの人は気づかなかったんだよね」
「それはすごいですけれど、それでは伝書鳩程度にしか使えないのでは」
それを聞いたレンズはレーシュに対して、翼を広げ、鳴いて威嚇した。
「お、どうした。何、そんなことはないと言ってるぜ!」
やっぱり、シゼルは他の召喚獣の声がわかるのか。モンジに対してあんまり翻訳しないのは何故なんだろう。まぁ、いいか。
「ご、ごめんあそばせ」
「どうどう、落ち着いてレンズ」
シゼルを撫でてなだめる。思ったよりプライドが高かったのかレンズ。まぁ、この子有能だからね。
「もちろん、レンズができるのはそれだけじゃないよ。レンズは私と聴覚と視覚を共有できるんだよ」
「共有できる、つまりジョゼさんが外に出なくても外の様子がわかるということですか」
「そう、しかも資格を利用する『鑑定』スキルも共有できるみたいなんだよね」
「なるほど、それならあなたが外に出る必要もありませんわね」
その通り! そう私にとって超絶便利な獣だ。これがあれば、外に出なくても、いろいろと知れる、暇つぶしも増えた。とてもいい獣である。あ、レンズも自信満々である。
「あなた、わかってるんですの?」
「? 何が?」
「いえ、気づいていないんならいいですのよ。ええ、ほんと。それで『幻想召喚』について、知っている人はどれくらいいるんですの?」
「? えーと三人だけだね、信用できる人にしか喋ってないよ」
まぁ、そもそもその三人だけしか知り合いがいないのだが。だが、そもそも信頼できると思った人にしか話していないので。間違いではない。
「それならいいのですが」
なぜか呆れた顔をされている。どうして?
「ほんとは、モンジも連れて行かせたいんだけど」
そう言いながら、シゼルに目配せする。シゼルも気づいたのかこっちを見る。目ないが。
「俺は退去しないぞ! 絶対いやだからな!」
まぁ、強制的に退去させてもいいのだが、さすがにかわいそうである。それに、薬を作ってもらえるから、退去させない理由もあるし。
「と、いうわけでレンズしか出せないけど、大丈夫かな?」
「問題ありませんわ、もとより戦闘の方が得意ですの」
「よーし、じゃ、薬とかは用意してあるから、出発しよう!」
薬はいくらでも作れるからね。こういう準備はいくらでもできるのだ。
「あなたはいかないのですよね」
それはそう。
というわけで、サジッタの森についたレーシュとレンズがバルド草を探している最中である。しかし、結構な頻度で魔獣とエンカウントする。ちょうど今切り伏せた魔獣たちで5度目の遭遇であった。
「うーん、本当に魔獣の数が多いな~」
「この時期にこんなにでるというのは聞いたことがありませんわね」
「なんかあったのかな?」
「今のところは問題ありませんわ、引き続き探しましょう」
と、いうわけで一人と一匹で当たりの薬草を手当たり次第に探して見つけてはレンズの目を介して『鑑定』をかける。だが中々見つからない。しかし、結構いろんな効能の薬草が見つかる。そのせいか、『鑑定』のスキルレベルが上がっている。特に、このハミン草の内容は面白かった。なんでも運が上がるらしい。面白い。
それに、中々に楽しい。レンズの視界は面白いな、なんせ、空を飛んだことはない。鳥の視点というのはなかなか面白い。何より空を飛んだ気分になるというのは楽しい。
「それにしても、言葉も伝達できるのですよね」
「うん、本当に便利だよね~」
「まぁ、そうですわね」
さて、そろそろ日が暮れ始めるころだった。それにしても、この世界が異世界であることを改めて実感させられた。なんせ、通常人間が出せない速度で走ったのだレーシュは。本人曰く、そういう魔法らしいが、それにしてもとんでもない速度だった。
「それについてくるこの子も十分速いですが」
「まぁ、そうだね」
「あ、また魔物だ」
「さっさと倒して探すのを再開しましょうか」
本当に見つかるのかな。
読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字・コメントお気軽にどうぞ。
何気にちゃんとした戦闘描写は初ですわ。




