地獄へ突き落とすということ
VTuber 兎耳せつなさま主催
「書き出し統一お題企画」参加作品
神様がいるなんて嘘だ。
いるのなら学院はもっっっと平和だった
私立其鳴乃高校の朝は早い
ブロロロー……。
パラリラパラリラー。パラリラパラリラー。
パラリラパラリラー。パラリラパラリラー。
パラリラパラリラー。パラリラパラリラー。
「うヒャひゃひゃ――――――――――――――――――――っ!」
パタリロパタリロー。パタリロパタリロー。
パタリロパタリロー。パタリロパタリロー。
パタリロパタリロー。パタリロパタリロー。
ドカ、バキ、ゴク、ゴカっ!ゲシィ……ッン!
「へへ、やっぱ缶よりビンの方が強いぜぇ」
あー、なんて事だろう。神聖な学び屋は、今日も血みどろなのです!
*
放課後、日はまだ高い位置にある。
一枚のルーズリーフを持っている村田亮は、紙面から視線を外した。そのまま前を見ると目を輝かせ、ついでに鼻息の荒い一年生がいる。亮が来る前に、先に部室にいて彼を待ち構えていたらしい一年生は開口一番、「これ読んでください!!」と詰め寄ってきた。
その一年生は亮の視線に気付き、興奮気味に言った。
「どうですか、その詩!」
(いや、詩じゃねーだろ)
「前衛的でしょ!?」
(この手のは、お前みたいな奴がたくさん書いてるよ)
「僕的には、パタリロの部分が好きなんですよ!」
(歳いくつだ、お前)
自分の作品の解説を捲くし立てる飛鳥に、亮は聞き流しつつこめかみを押さえる。まず、どこから指摘すればいいのかを迷ってしまうような作品。思春期の暴走を一枚に詰め込んだような文章。
(なんで文芸部って所には、こういう輩が集まるんだろうな……)
若気の至りを作りに来たと言わんばかりの一年生はコイツだけではない。交流のある他校の文芸部も同じ様なものだ。ただ、そういう輩も徐々に去勢した馬みたいに大人しくなってゆくのだが、そんな時間を待っている余裕は亮のいる文芸部にはない。
夏休み明けには文化祭用の作品に目処付けたいし、それなりの質に仕上げて貰わないと困る。
なぜならこの学校は、学校が年一で出す学校誌に何故か文化祭用の小説をそのまま実名で載せる上に、それを全校生徒と学校関係者に配るからだ。
故に顧問からのプレッシャーがキツい。
だから亮は、その一人だった者として、とある伝統的な対処法を行うことにした。
「とにかく、没。何でかっていうとだな――」
それから亮は、希望に満ちた新人を地獄に突き落としにかかる。恐らく、後輩はこの日の事をしばらく忘れないだろう。
確かに、神聖な学び舎は血みどろになった。




