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報復の大地  作者: 西 一
4章 光と闇
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魔王復活

 ザクセンが宰相となって間もなく、夜空には、月が怪しげなほど見事に輝いていた。

 まるで月の持つ重力の作用が、これから起こる不可解な現象を物語っているかのようであった。


 やがて月明かりが、流れ行く分厚い雲に覆われた時、暗黒に包まれた空間から突如、十字星が輝きを増す。

 すると、

 寝室で寝ていたザクセンに語り掛ける声がした。

『ザクセン、ザクセン……』

 聞き覚えのある声で目覚めた彼は、慌てて部屋の周りを見た。

 薄暗い部屋の窓が少し開いていて、カーテンが風になびいている。視線を戻すと、目の前に、怪しげな青白い光のような物が浮かんでいた。

 恐ろしさの余り、ザクセンはその場から逃げ出そうとしたが、体が動かない。何か、もの凄い力で体が押さえ付けられているようだった。


 青白い光は、人の姿に変わった。

 その時、金縛りから解放されたザクセンが、慌ててベッドから降りると、

「生きておられたのですね、カイザー様」

 涙を流しながら床にひれ伏した。


 カイザーはひれ伏しているザクセンを睨み付ける。

『お前がいて、なんだ、この有り様は。何故、戦わぬ。何故、奴らの言いなりになっている。予は、死んでも死にきれぬ。このままでは……』

「恐れながら、今のザルツには中央諸国と戦うだけの力はありません。遊牧民族であった我が国との国力の差は歴然としています。まずは、諸国と肩を並べるだけの力を身に付けることが先決です」

『ならぬ! 予には時間が無い。予が地上にいる間、シオンの首を持って来るのだ。予、自らが手を下し、シオンを亡き者にするのは容易い。だが、シオン一人を殺したところで、ビクトリアは滅びぬ。予は、復讐の念に燃えている。この屈辱を残したまま、予は行けぬ……』

 そう無念そうに言うと、カイザーは再び青白い光になって窓の外へ出て行った。


 ザクセンは青白い光を追って、窓から乗り出すように見渡した。

 月を覆っていた分厚い雲が離れ、辺りが明るさを取り戻していた。そこからはただ、静まり返ったケルンの夜景が見えるだけで、青白い物体はどこにも無かった。

 ザクセンはその場に立ち尽くし、

「さぞ、ご無念でありましょう。必ず、必ずビクトリアを倒し、憎っくきシオンの首をカイザー様に捧げます。どうか、安心して見ていて下さい」

 光の消え去った方に向かって言った。

 亡き主君に、ザクセンは復讐を誓ったのだった。


 翌日、ザクセンは人が変わったように、激しい形相で部下達の前で言った。

「ワシは、どんなことをしてでもビクトリアを倒す。必ず成し遂げて見せる。まず、この国を一つにまとめるために、ワシはガザフ王国の王子を、国王として迎え入れようと思う」

「えっ、他国の者を、王に迎え入れるのですか?」

 皆、驚きを隠せない。

「ワシは、どんなことをしてでもビクトリアを倒すと言ったであろう。もはやザルツ一国では、中央諸国と戦う力は無い。だが、ガザフを見方に付ければ、奴らを倒すことも不可能ではない。ミハイル王子は、カイザー様が愛されたソフィア皇后の弟君であられる。ワシの知る限り王子は、まれに見る逸材だ。正統な王族の血を受け継ぐミハイル王子を、ザルツ王に迎え入れても、何等おかしくはあるまい。我らゲルド出身の者が政権の中枢にいては、諸候はケルンには来ないだろう。分裂を避け、ザルツを一つにまとめるためには、なんとしてもミハイル王子をザルツ王として迎え入れなければならないのだ」

 ザクセンの目は、昨日までの彼の目ではなかった。

 まるで何かに取り憑かれたような鋭い目付きに、部下達は息を呑んだ。


「しかし、肝心のガザフ王が、ミハイル王子を手放すでしょうか? セルゲイ公は、ことのほか末子のミハイル王子を可愛がっていると聞きます」

「高齢のセルゲイは、国の行く末を案じているだろう。ビクトリアによる中央勢力からの外しに焦っているはずだ。必ずセルゲイは、我らの条件を受け入れるに違いない」

 ザクセンは急遽、ガザフ王国に使者を送った。



 ザルツの使者が秘密裏にガザフ王国の首都・エノバに入った。

 程なく、ミハイル王子は、国王である父親のセルゲイに呼ばれた。

 何か言い難そうにしていたセルゲイを見兼ねて、

「今日、ザルツの使者が来たそうですが、一体、彼らは何をしに来たのですか?」

 不安そうにミハイルは言った。

「……それは」

 セルゲイは言葉を濁す。

「この時期にザルツの使者と会われては、ますます中央世界から孤立しますよ」

 とミハイルが忠告するも、

「そのことだが……ザルツは、お前を王として迎え入れたいと言ってきたのだ」

 この言葉にミハイルは驚いた。

 彼の驚きを見てセルゲイは慌てて、

「勿論、この話は断り、使者を追い返した。安心するが良い、お前を手放したりはしない」

 使者を追い返したと言ってミハイルを安心させた。


「何故、追い返したのです? すぐに使者を呼び戻して下さい」

 思い掛けないミハイルの言葉に、

「ザルツに行く覚悟があるのか」

 セルゲイは聞いた。

「ザルツが私を王として迎え入れるのであれば、私は喜んでザルツに行きます。ザルツは姉上が愛した国ですから」

「……ならば、構わぬのだな」

「はい。その方が、父上も嬉しいのではありませんか」

「うっ、……うむ」

 本心を見透かされ、セルゲイは戸惑った。

「中央諸国から孤立しているガザフにとって、強国ザルツと結ぶことは得策です。でも、私は自分の欲望を満たすために行くのではありません。内戦がささやかれているザルツの危機を救い、しいては、中央諸国が最も恐れる、ザルツの侵攻を阻止するために私は行くのです」


 やはり、ミハイルは、息子達の中で一番、利口じゃ。手放したくはない。手放したくはないが……。


 ミハイルの優秀さを見せ付けられるも、セルゲイは国の行く末のために覚悟を決めた。

「分かった。そこまで考えているのなら、もう何も言わぬ。だが、このことは中央諸国には秘密にしておかねばならぬ。ザルツと同盟を結び、謀反を企んでいると思われては一大事だからな。今日、お前を病死したことにしておく。ガザフの王子ミハイルは死んだ。そして、今日からお前はザルツ王として生きよ」

「はい、父上」

 ミハイル王子は、ザルツ王として生まれ変わった。

 彼の乗った馬者は、密かに王都ケルンに向かった。


     

 ケルンに着いたミハイルは、名をザルツ風にルドルフと改め、ザルツ王国の国王となるべく、すぐさま即位式が行われた。

 即位式には全国から有力諸候が集まって来た。

 ザクセンの目論み通り、抗争の続く国内の政変に、一応の終止符が打たれたのだった。


 ザルツ王に即位したルドルフ(ミハイル)には実権が無く、宰相のザクセンが全てを握っていた。

 ルドルフは、ザルツを一つにまとめるためだけに利用されたのだと知った。

 それを思い知らされる事件が起こった。ニュルンベルグへの遷都である。

 ザクセンがルドルフに相談も無く、独断で決めたのである。


 ザクセンは中央諸国との国境に近い、ニュルンベルグの小さな町に王都を移した。

 中央諸国が建設している長城の、最も近い場所への遷都。

 このニュルンベルクへの遷都は、ザルツが中央進出に動き出したことを世界に知らしめるものだった。


 ザルツは勝手に長城を破壊し、その材料を使って城の建設を急いだ。

 王都ニュルンベルグは名目であって、軍事拠点としての要塞へと変貌していた。

 ザクセンは強硬に臣下の礼を拒否し、あくまでビクトリアと対等であると宣言したのである。

 


 ザルツ王国の挑発行為に、中央世界は動揺した。

「なんと! あの怪物ザクセンが生きていたのか」

「ザルツは我々を侮っているのか? 許可無く、勝手に王都を国境近くに移し、しかも、我々が築いた長城の材料を使って城を築いている。我々を見下しているとしか思えぬ」

 ザルツの、あからさまな態度に、元老院は不満を募らせた。

「奴は知っているのだ、我々が戦えないことを。大戦から四年、世界は復興の真っただ中にある。今、ザルツと戦えば、今までの苦労が水の泡となろう。それを奴は知っている、我らが戦えないことを知って、奴は強硬に迫ってきたのだ。恐ろしい男だ、ザクセンは」

 とシオンは唇を噛み締めた。

「では、奴の要求を受け入れるのですか?」

「止むを得ない、今は戦うべき時ではないのだから」

 シオンはザクセンの要求を受け入れた。

 元老院は、ザルツ王ルドルフに宛てた、戦争回避を呼び掛ける趣旨の親書をザルツ王国に送ることにした。


「――ウッ……」

 急に口を抑え、シオンはその場にかがみ、うずくまった。

「どうかしましたか、陛下」

「心配は無い。ただ……」

 そう言い掛け、シオンは何度も激しい咳をした。

 口に手を当てて咳を堪えていたその手が、見る見るうちに真っ赤に染まっていく。

 ただならぬシオンの容体に、

「医者だ! 医者を呼べ! 早くぅ!」

 元老院の貴族達は狼狽した。


「構わぬ。医者を呼んでもどうなるものでもない」

「しかし……」

「自分のことは、自分が良く知っている」

 病名は、不治の病とされる結核けっかくだった。


 血を吐いてうずくまるシオンの横で、ゼノンが声を掛けた。

「いつから、この様な症状が表れたのですか。初めてではないでしょう」

 落ち着いたシオンは、ゆっくりと彼らに話した。

「血を吐いたのは最近のことだ。それ以前から、体に力が入らない。もう、長くはないのかもしれぬな」

 病に侵され弱気になるシオンに、

「何を言われます! 陛下にはまだ、やることが沢山あるではないですか。スカイ様のためにも、長生きしてもらわなければなりません」

 ゼノンが強い口調で勇気付ける。

「そうであったな。我が子、スカイのために」

 笑顔でシオンは返事した。

 シオンの吐血は、彼ら重臣達に動揺を与えた。

 シオンの病気は重臣達以外には知らされることはなかったが……。



 ザルツ王国では早くも、『シオン倒れる』の情報がザクセンの元に届いていた。

 諸侯が一つにまとまり、勢いづくザルツに、彼はこの機を逃さなかった。

 ザクセンは新王ルドルフの名のもと、全国の諸候に召集を命じた。


 続々と諸候の大軍がニュルンベルグに向かった。

 だが、肝心のルドルフが戦いに反対して、未だケルンに留まったままだった。

 そもそも彼は、平和を使命としてザルツに来たのである。戦いへと動き出したザルツを懸命に回避させようと、ザクセンとルドルフが対立した。

 

 戦いに同意しないにルドルフに、ザクセンは強硬手段に出た。

 病気を理由に、ルドルフを政治の舞台から遠ざけ、彼を幽閉してしまった。

 すでに諸候はニュルンベルグに集結している。ザクセンは焦っていた。王の同意がなければ軍の統制は出来ない。

 ザルツは戦う前から足並みが乱れていたのだった。



 幽閉されたルドルフの部屋の前には、何人もの監視人が彼を見張っていた。

 ルドルフは監視人に、ここから出すように命じるが、監視人はひざまずいたまま動かなかった。

 そこへ、ザクセンが数人の部下を連れて遣って来た。

「これはこれは、ご機嫌が優れないようようですね、陛下」

「――何故、お前がいる?」

 ルドルフは、ザクセンの一人娘であるリリーと一緒にいた。

「お父様、何故陛下をこんな所に閉じ込めておくのですか」

「黙れ! 我が娘といえど、ワシの邪魔はさせん。そこをどけ!」

 リリーの反抗的な態度に、ザクセンは彼女の頬を叩いた。

「やめて下さい! リリーは私の心の拠り所です。リリーのお腹の中には、私の子がいるのです」

「子だとぉ!」

 ザクセンはルドルフの言葉に逆上し、リリーの首をつかんで締め付けた。


「この、親不孝者め! ワシを不忠者にしたいのか。ワシはあくまで陛下の臣下であり続けなければならなんのだ。だが、諸候はこれを見てどう思う。ワシが陛下と姻戚関係を持ち、王位を狙っているのだと思うだろう。せっかくの努力を、無駄にしおって」

 更に首元を強く締め付ける。

「やめて下さい! ザクセン卿。全ては私が悪いのです。異国の地で、何もかも違う環境の中、失望に暮れる私をリリーは優しく慰めてくれました。いつしか私はリリーに心を寄せるようになりました。全ては、私が悪いのです」

「……」

 困惑の表情でザクセンはルドルフを見た。


「何故、ザルツの政治に参加出来ないのですか。私が病気でないことぐらい、卿も知っているはずです。私は、この国のなんなのです? お聞かせ下さい」

 ルドルフが救いを求めるようにルドルフが聞くと、

「何を今更、そんなことを言われるのです? 陛下は、このザルツの王、国王陛下です」

 しらじらしくルドルフは答える。

「それなら何故、私をこんな所に閉じ込めておくのです」

「陛下のためにございます。この国の者は全て、中央諸国との決戦を待ち望んでいます。その戦いを真っ向から反対されている陛下を、彼らはどう思うでしょうか。決起盛んな将兵達が、陛下の命を狙う恐れがあります。私は陛下をお護りしているのですよ」

「戦いを求めるなんて、有り得ない」

 ルドルフはザクセンを睨み付けた。


「陛下はビクトリアに従属せよと言われるが、その必要はありません。確かに我が国はビクトリアに支配権を返しました。けれども、ザルツはビクトリアとは対等なのです。陛下のなされようとしていることは、ビクトリアの臣下になれと言っているようなものなのですよ。誇り高いザルツが、ビクトリアの臣下になるということは、この国の者にとって屈辱に他ならないのです。どうか、御分かり下さい」

 ザクセンが諭すも、

「その誇りのために、国が滅んでも構わないと言われるのですか」

 なおもルドルフは詰め寄る。


「我々は、負けるために戦おうとしているのではありません。確かな確信のもと、勝利するために戦うのです」

「卿ほどのお人が、本気で中央諸国を相手にして勝てるとでも思っているのですか? 今の中央諸国は昔とは違います。この四年間の間に国力は充実し、軍事力を付けているのです。そのことは卿ご自身が一番良く知っているのではありませんか」

「さすがは陛下、良く御存知で。陛下の言われる通り、ザルツ一国ではとうてい中央諸国には勝てません。しかし、ガザフが、七王国最強のガザフが見方になればどうです?」

「父上が、宗国であるビクトリアを裏切るはずはない」

「それはどうですかな。ガザフは我が国同様、彼らの処遇に不満を募らせています。セルゲイ公は、八十に近付く自分の年齢を意識して、自らの夢というか、意志というか、ガザフのあるべき姿を創りあげて見たいと思っているのです。陛下がこのザルツにいることが、何よりの証拠ではありませんか」

「そ、それは、そうですが……」

「何も、セルゲイ公が裏切るとは言っていません。セルゲイ公は高齢、政権に居座り続けることは出来ません。他の者が裏切るやも知れません」

「――兄が、兄上が裏切るとでも言うのですか」

「はい、すでに密書は届けてあります。中央諸国を倒した暁には、世界を半分に分け、西半分をザルツが、東半分をガザフが支配する、という密書を送っています」

「そこまでの、根回しを……」

 ここまで事態が進行しているのかとルドルフはうなだれた。


「私には、分からない。私は、貴方と共に平和な国造りを目指していたのに、貴方は変わられた」

 ルドルフは嘆くも、

「陛下、私は、何も変わってはいませんよ」

 真っ直ぐな目でザクセンは答える。

「私は心の底から貴方を敬愛していました。だが今は違う、あんなに平和主義者だった貴方がなされようとしていることは、国を滅ぼすことに他ならないのです」 

「陛下は、自分の大事なものを奪われて我慢出来ますか? 私は心の拠り所を、奴らによって奪われたのです。陛下がリリーを忘れ、戦いを決意するというのであれば、この場で娘を殺しても構いません」

「馬鹿な! そのために、自分の娘を手に掛けるというのですか」

「国を大事に思う気持ちがあれば、国を維持することが出来るなら、私はためらいなくリリーを殺します。そうでなければ国家の要職である宰相は務まりません。しばらくそこで、頭を冷やされるが宜しい」

 あえて冷たく言ったザクセンは、リリーを放して出て行った。

 

 リリーは泣き崩れながら、

「父は変わりました。ここへ来てから、父はまるで別人のように変わりました」

 ルドルフに言った。

「ああ、何かに取り憑かれたようなあの目、あれは人間の目ではない。何が卿をあそこまで変えさせたのだ……」

 ルドルフも頭を抱えてうなだれた。

 そこへ、

「ルドルフ陛下、ここにおられましたか。病気ということは、やはり本当だったのですね」

 有力諸候が次々と姿を見せた。

「どうしたのですか、みんなそろって?」

 ルドルフにはこの状況が分からない。

「我々は、奴、いいや、ザクセン卿の手で陛下が幽閉されたという噂を聞いたもので。ザクセン卿は平和主義者であり、中央諸国との戦いを阻止することを計画しているそうです。そのために陛下を幽閉し、勝手にビクトリアの臣下になろうとしています。我らは屈辱を受けることを、死ぬよりも恐れています。我々は戦いの日を、今か今かと待ち侘びているのです」

「諸候は皆、戦いを待ち望んでいるのか……」

 ルドルフは呟く。

「ルドルフ陛下、一足先に、新都でお待ちしております」 

 そう言って深々と頭を下げると、諸候はニュルンベルクに向かった。


 ザルツという国は、死ぬことよりも恥じることの方を恐れるのだと知ったルドルフは、

「この国の中で戦争を反対しているのは、どうやら私とお前の二人だけのようだね。私は、この国のことを何一つとして分かってはいなかったんだ。もはや私の力では……。事ここに至っては、戦いは避けられない。ならば国のために、僅かな可能性に賭けて戦うしかない。それでも良いんだな、リリー」

「はい」

 リリーは小さく頷いた。


「まさか、卿は自分一人が悪者になり、私を真の王に引き立ててくれたのではあるまいか。この国を一つにまとまるために、一人で悪者になろうとしていたに違いない」

「お父様が、そんなことを考えていたのですか?」

「そう、卿は何も変わってはいなかったんだ。私は彼のためにも迷ってはいられない。怪物と恐れられた卿が付いているんだ、ひょっとして勝てるかもしれない。世界を相手に、ザルツが勝利するかもしれないんだ」

 中央諸国との決戦を決意したルドルフ。

 ルドルフはリリーをケルンに残し、親衛隊に護られながら諸候と共に新都ニュルンベルクに向かった。


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