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来訪リハビリテーション。

 


『ピーーーーン! ポーーーーン! パーーーーン! ポーーーーン! ピーーーーン! ポーーーーン! パーーーーァーーーー、ポーーーーーーンンッ!!!!』



「……うるせえ!!」



 布団から半身を起こしてポケポケをしていたら、

自己主張の激しいインターフォンが鳴った。

 俺はこの自己主張が激しいインターフォンのことを“ワガママフォン”と呼んでいる。


 ママンとパパンは遅くなると言ってたし、人間と対面で喋るのが億劫だったので居留守を使おうかと画策したが、自分のスタンスに反する行動だったのでやめておいた。



「もしや……闇バイトの連中か!?」



 んなわけがない。

 もし本当にそうなら律儀に“ワガママフォン”を鳴らして、宣戦布告みたいな真似をするわけがない。


 だる重な身体を動かして扉の前に立つ。

 小柄なシルエットが見えて、思わずビクリとした。



「よ、よお……。ど、どうした?」


「心配で来ちゃったのっ! ……迷惑だった?」


「……いや、ありがとう。いい薬です」



 マフラーを巻いた雪柳がモジモジしている。

 俺も思わずモジモジした。


 ※ ※ ※



「……学校帰り?」

「そ。」



 手袋とマフラーを学生カバンに入れる。

 椅子にちょこんと座り込んで、周囲を見渡している。



「お母さんたちはお留守?」


「見りゃわかるだろ」


「みてもわかんないよ! クローゼットに隠れてるかもしれないじゃんっ」


「もし仮にここでクローゼットに隠れるような人物がいたのだとしたら、俺はその人と不倫している!」


「えっ……ひどい」


「いたのだとしたら!」


「このテディベア、前に来たときはなかった……」


「あったぞ!? それママンとパパンが結婚祝いに親戚からもらったやつだし!」


「……米吉くん、浮気してるなら正直にいって。このテディベアは一体なにっ!!」


「今、全部言わなかった?」


「……ひとりかくれんぼに使う用?」


「なんで俺、ママンとパパンの結婚祝いのぬいぐるみの綿を全部抜き取って、米と自分の爪を入れて、糸でぐるぐる巻きにして、風呂桶に浮かばせなきゃいけないんだよ! そこまでエンターテイナーじゃねえんだよ!!」


「ある程度はエンターテイナーなんだ……」



 ライフ・イズ、コメディアンである。

 人生は喜劇なのだ。



「風邪なんだからちゃんと休んでてね。あ、そうだ!ご飯作ったげるね!」


「……悪い。さっきお粥食べちゃったわ」


「ええっ……。なんで食べちゃうの? 彼女がせっかく手料理を作ったげるって言ってるのに〜」


「事前に連絡でも貰わんと人間は食欲には勝てんのじゃい!」


「じゃ、あったかいココア作ったげるね〜」



 ノリノリでキッチンに向かってゆき、ママンのエプロンを勝手に巻き付けて、ゴソゴソと他人の家の冷蔵庫を漁り始めた。

 なんとも微笑ましい光景である。



「ココア……どこ? ないじゃん……」



 あ〜もう、プロポーズしようかな。

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