第2話 3人の幼馴染と 12:03
協力。頼りに。
「「あー、そうなのかぁー」」
「お前ら信じてないだろ!?」
「「うん」」
「この野郎!!?」
12時を通り過ぎた昼下がり。俺は教室で3人のイケメン達と共に、窓際にある4つの机をくっつけて弁当を食べていた。
「可哀想に。遂にイッちゃったか、頭」
「倒置法やめて!? 」
肩を落としている中、コイツは何の躊躇もなく罵倒して来る。容赦無くて泣けて来る。
この頭をトントンして馬鹿にしているのが、俺の幼馴染の1人である斎藤 春。ショタを詰め込んだ様な容姿、行動、そして少しの毒舌味がショタ好きの女子から絶大な人気を誇る、イケメンと言うよりはウチのマスコット枠であるが、俺は何回もこの毒舌に泣かされている。
「マジだって!! なぁ? アレク?」
俺は更衣室に来てくれた灘アレクに助けを求めた。アメリカと日本のハーフでモデルをしており、その王子様的な容姿、行動には誰もが一度は憧れを持つ程のイケメン。中々女好きであるが、女子の前でのコイツは、あだ名の通り『王子』に似合うイケメンになる。
あそこに居たアレクなら、そこに誰かが居たであろう痕跡を見ていた。説得してくれる筈だ。
そう思って言ったが、アレクは少し煮え切らない反応で首肯した。そして謎に少し距離を置きながら言った。
「お、おぉ……まぁ、その認めてやっても良いんじゃないか?」
「は? 本当に言ってる?」
「ふん! だから言ってるだろ!! 本当に居たんだって!!」
アソコには俺がまだシャワーに入ってないにも関わらず、今まで使っていたかの様に湯気が出ていた。勿論水もあちこちに散らばっていた。
これで信じない訳にはいかないだろう。
「いや、その、なんだ。まぁ国史がバイじゃ無く、露出狂でも無ければ信じてやってもいいんじゃないか……」
「待て待て待て待てッ!!?」
「ちょっと!? 何があったの!?」
俺は勢いよく立ち上がり掌を突き出した後、ゆっくりと座り込み無表情で机に肘を着き某司令官の様に構えた。
ーーそうだ。そうだった。
アレクは更衣室で俺に近づいた時、動きを止めていた。その理由は……まぁ、女子が裸で隣に居る状況であれば、想像は容易いだろう。しかも、あの時の俺はあまりの出来事にどうする事も出来ずにいた。
つまりーー俺のアレが元気になったのだ。
「取り敢えず俺は普通だし、そんな趣味もない……アレクには早々に忘れて欲しい。マジで頼む」
「女子のあんな姿なら兎も角、俺だってめっちゃ忘れたい」
「……本当に何があったのさ?」
「凄い、気になる」
2人の本気な態度に、若干引く春。そしてそれに興味を持って目をキラキラさせているのが、間宮 翔太だ。
色黒イケメンで、切長の目、通った鼻筋、塩顔の割には優しいその性格から、周りから慕われるイケメン。因みに野球部に所属しており、1年生にしてエースで4番。既に今年の夏は惜しくも負けてしまったが、これから期待の1年生である。
このイケメン3人が俺の自慢の幼馴染達。
イケメンで性格も良い、最高の幼馴染だ。
しかし、どうやら俺の言っている事をどうしても信じてくれない様だ。嘆かわしや、俺……ま、自分でも信じられない事だから、そう思うのも仕方ないけど。
そんな黙る俺達にこれ以上聞いても仕方ないと判断した春と翔太は、モグモグとご飯を食べ進めた。
「この話はもう終わろう。話してるだけでも頭にあの光景が浮かんで来
「よし! お前らちゃんと考えて来たんだろうなぁ!!?」
続けて言ったアレクの言葉を遮り、俺は叫んだ。
そうだ! 今日来たのはこれからの意見を聞きに来たんだ野郎ども!! 午後も部活で忙しい翔太の為にと、態々学校に集まった理由。それはーー
「この夏休み、どうやって過ごすかを議論しましょう!」
俺はキランッと目を光らせ宣言した。それに翔太が除いた2人がほのぼのと拍手を返す。
高校一年の夏休みは、人生の一度しかない。楽しまなければ損だ。
ーーと、4人のLIN○グループで熱弁した結果。春からの『ピロンピロン五月蝿い。話し合った方が早い』という一言に此処に集まったのだ。
「……俺の事は気にしなくて良い。3人で遊んでくれ」
そして問題がこれ。翔太の夏休みの殆どは部活で埋まっている問題だ。
時間があるとすれば、毎週日曜日の部活休みとお盆休みぐらいで、4人が集まるのは難しい。それを考慮して遊ばなければならない。
「それは無理だって! 俺は毎日4人で遊びたいの!」
「4人で遊ばないと嫌なのは、此処に皆んな集まってるん時点で分かるだろ? あの春も来てるんだぞ?」
「ちょっと、どういう意味?」
俺が叫ぶ様に抗議すると、2人も同調気味に淡々と応えた。
「でも……俺の所為で皆んな遊べないのは………」
「まぁ、それはそれで気にしないさ。この4人で遊べないなら、俺は遊ぶべき子猫ちゃん達が一杯居るし」
「僕も。バイト多く入れて新しいゲーム買ってやりまくるつもりだし」
2人の気を遣っているのか分からない気遣いに、涙がちょちょ切れそうになる。
「よし、話が纏まった所でそれぞれの意見を出して行きましょか」
俺は無理矢理に方向転換させ、それに春が目を細めて真剣な表情で告げた。
「僕はゲームがしたい。だから4人とも同じゲーム買って。それかパソコン」
春は中々のインドア派。基本は外で遊ぶ事は好きではない。昔ならゲームをするのも大変だったが、今は違う。各々自分の家に居ても遊べる時代だ。これなら夜遅くにでもやっても良いかもしれない。
ただ、遊ぶ為には機材が必要でそれなりに金は掛かるが。
「うーん、それは俺とアレクなら問題なさそうだな」
チラッとアレクの方を見て同意を得ると、俺は翔太に視線を移した。翔太は目を瞑り、黙っている。
問題は翔太。昔から野球一筋だった所為もあってか、ゲーム機の類は何も持っていない。
「大丈夫、勉強に使うって事にしてパソコン買って貰う」
「よしっ!!」
その答えを聞いた春はいつもの怠そうな声音ではなく、ハッキリとした声でガッツポーズをした。
春のまさかの反応に、口元が緩む。
「……何?」
「いや、別に〜……ま、取り敢えずゲームで遊ぶのは翔太がパソコンを買った後って事で。じゃ、次は翔太行くか」
少し不機嫌そうに頬を膨らませる春に、笑いを堪えながら次を促すと翔太はポツリと呟き返した。
「俺は……夏祭りとか行きたい、かも。昼休みに会って話すだけでも十分楽しい」
「……翔太、そういうのは最後に言ってくれ。後な、それは当たり前に皆んなで行くに決まってるだろ! そこでナンパするのも含めてなあ!!」
「そうだったのか……!」
翔太は驚いた様に目を見開いた。
「じゃあアレクも夏祭りに遊びに行って、ナンパしたいって事で良いのか?」
「いや、俺は海に行きたい。そしてナンパがしたい」
「結局ナンパじゃねぇか」
アレクは、女子の前では猫を被っているが、男子の前では基本的に欲望全開だ。恋人も取っ替え引っ替えで、所謂、ヤリチン。こうなるのも、まぁ何と無くだが予想出来ていた。
「まぁな。折角の夏休みなんだ。水着見ないとダメだろ」
「僕はそこまで興味ないけど……」
「俺も」
女子の水着を見るのは良いが、それを現物で見るのと写真で見るのとで何が違うというのだろうか。
アレクの謎理論に呆れ否定する中、黙っていた翔太が口を開いた。
「俺は……少しある、かも」
「「え」」
「珍しいな……だけどそれでこそ男だ!!」
アレクは翔太を舐め回す様に見た後、肩を組んだ。
「よし! じゃあ頑張ってナンパするぞー!」
「お、おー」
2人は拳を掲げている。
何をしてるんだか、こんな翔太の姿を見るのは初めてだ。翔太がナンパに興味があるなんて、思いもしなかった。
「で? 国史は何がしたいの?」
「俺はなーー……特に決まってないな。その日の気分次第! ほら、今日はトントン相撲をします!」
「何でトントン相撲? ってか国史が何か提案する様に言ってたのに気分で決めるって……」
「まぁ良いが、今日は勝たせて貰うぞ」
「トントン相撲……久々」
昨日と同じ様に、弁当を食べ終わると鞄の中から箱や厚紙、ハサミを取り出した。
夏にやる様な事でもないだろうが、トントン相撲は思いの外盛り上がりを見せた。
やっぱり……こいつらと遊ぶの楽しいな
俺はそう思いながら、3人と夢中になって過ごすのだった。
「面白い!」
「続きが気になる!」
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