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Ⅱ.異形
見上げるほどの"異形"を前に、青年は身動きができないようだった。
異形は4つある腕の一つを振り上げ、攻撃態勢に入る。
俺は駆け出し、青年をはね除けて異形の振り下ろした攻撃を受けた。
コートが破れ痛みが胸に走るが、さほど深い傷ではない。
「変身」
体が熱くなって皮膚が鎧のようになり、俺もまた奴らのような異形の姿になった。
「あ、ああ...」
青年は腰が抜けたらしく、尻餅をついたまま狼狽えている。こうなった人間を守りながらダラダラ戦うことは難しい。
「早々に終わらせる」
俺は右の拳に全てのエネルギーを集中させて異形の腹部を貫き、体内にエネルギーを注ぎ込んだ。
異形は痙攣を始め熱を帯び、脱力してその場に倒れた。
多大なエネルギーを浪費した俺もまた、人間の姿に戻り意識が次第にボヤけてきた。このままでは異形の残骸を処理できない。
頼みの綱は尻餅をついてるこの青年しかない。
「青年...頼みがある...」
そういうと青年は首を縦に振る。
「俺のケータイで...ニシオカってやつに連絡を...」
そこで俺の意識は途切れた。