X.上位者
激しい光が辺りを照らし、木々の枝先や雑草は焦げて炭化していた。
「メイリー大丈夫!?」
ニシオカはほとんど生身のメイリーを気にした。
「私は大丈夫...」
ニシオカもメイリーも無事だった。しかしそれはうまく避けたからではなく、そもそも狙われてすらいなかったことにすぐ気づいた。
胸に孔の空いた翅徒が跡形もなく消え去っていたのだ。
「なぜ翅徒が翅徒を...」
薄羽の翅徒はアリの翅徒が消し飛んだのを確認するとニシオカとメイリーを一瞥はしたが、敵意は見せずにすぐ飛び去ってしまった。
「...撃ち落とす?」
メイリーはライフルを構えたが、ニシオカは静止した。
「飛んだままあのレーザーみたいなので反撃されたら、メイリーを守れないよ」
たしかに。とメイリーは得心した顔でライフルを下ろした。
2人はマンションに帰り、リュウジとユウスケに薄羽の翅徒について話した。
「飛ぶ翅徒なら前にもいたが、笑う翅徒は初めてだな」
「前にいってた知能の高い翅徒...じゃないですか?」
ユウスケがそう言うと、みんな頷いた。
「俺が明日、オオモリの爺さんとこに行って話してくる。なにか対策が聞けるかもしれん」
「誰なんですか?」
「ずっと前から戦ってるお爺さんなんだ。といっても近年は引退してるようなものだけどね。こないだの館の持ち主だよ」