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Ⅰ.始まりはいつも突然
とある大学の学生寮。ユウスケは体を震わせながら外に出た。時刻は22時。
「...コンビニでいっか」
特にレポート期限が迫っているとかそういう事情はないが、この青年は機械いじりに没頭してつい食事を忘れてしまうのだ。
この日も一番近くのコンビニで簡単に済ませることにした。
歩いて5分程度。なにかと一人暮らしにはありがたい。毎日利用してるんじゃないかというくらいなので店員とは顔見知りだが、いつもと変わらぬ無愛想で淡白なやり取りがユウスケには心地よかった。
最近マイブームが来ているペペロンチーノとカフェオーレを買って店を出て、帰ってゆっくり食べよう。そう思って歩いていた矢先。
ユウスケの目の前に目付きの鋭い男が現れた。歳は30くらいだろうか。その眼光でこちらをじっと見ているようだ。
「あ、あの...なにか?」
ユウスケは動揺しつつ尋ねたが、男からの返事は意外なものだった。
「いますぐ逃げろ...!」
振り向くとそこには、見上げるような大男...いや、節足動物のような巨大な何かがいた。