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狼王子に溺愛された兎姫  作者: あずあず
バッドエンドルート〜23話まで
23/40

それからの日々

くん、と髪の匂いを嗅がれる。

もう慣れっこだ。


「リリー様の匂い好きー」

「あらそう?私もレッディの匂いが好きよ」

ふふ、と笑い合う。

きゃっきゃっと兄弟たちがじゃれついている。


「やめろ、俺の髪まで嗅ぐんじゃない!院長先生!やめさせてください!」

「お兄様の匂い、あんまり好きじゃない」

「なんだと!?」


「あなた達、おやめなさい」

リーン夫人が嗜めた。


「だってレッディが!」

「院長先生、違うよ!お兄様が!」


やいやいと騒がしくケンカをする姿も、なんとも愛おしく思える。


サンテシューリッヒ記念保護施設で育つ、十人の子どもたちだ。

ここから巣立った子も今年で丁度十人。

色んな種族の子がいるが、みんな親を亡くしたり、親から人の扱いを受けなかった子たちだ。


まだまだ少ないけれど、保護施設はここを含めて四つある。



兎、狼、猫、鷹領は統合され、一つの国となった。

無知だった私は猛勉強の末、女王として国を治めている。

熊領は、独自の文化で細々と暮らしていて、こちらからの介入はあまり好まれない。


本当はあの人が王になるはずだった国。

その意志を継いで国を繁栄させるために、悲しんでいる暇もなかった。

私はあなたの正義を受け継いでこの国を守らなければならない。


十分頑張ったかしら?

時々そう聞いてみたくなる。



幸せだったかと問われれば、幸せだと答えるだろう。

この国の礎を築いてくれた。

私の人生を取り戻してくれた。



何年経っても、本を読んでいたら、またあの人の声が聞こえてきそうで、どんなに忙しくても、寝る前は欠かさず本を読んだ。


朝目が覚めると、少しだけ、ほんの少しだけ絶望する。

毎日、あなたがいない日を生きていく。

夢から覚めて、やっぱりいないんだ、と思い知らされる。

それが毎朝繰り返されて、私は少しだけ痩せた。



「僕が君を守るだなんて、嘘ばっかりね」


独り言のつもりだったが、レイランは表情を変えずに言った。

「陛下は見違えるほど強くなられました」

「確かに、もう弱いうさちゃんではないわね。私が死んでも、アルテミオ様は私だと気付かないかもしれないわ」



目を瞑ると金色が見える。

(それだけたくさん私を見つめてくれたからだわ)

くちづけは幻影の貴方と。それから喧嘩をした時。

それも愛しい思い出だ。



なんとなく、肩の傷痕を撫でる。

(私は、まだ慣れないのよ…あなたがいないことに。もう何年も経っているというのに)


それでも私は生きていく、この国と共に。


天に召された時、貴方に胸を張って会えるように。

(その時は、少しくらい褒めてくれるかしら?)


目の前の十人の子どもたちの笑顔が、この国の未来は明るいものだと教えてくれる。

明日より、短編で好評を頂いた『婚約破棄されたので、月花の君に求婚すると言われても、今更遅い。』の連載が始まります。

ぜひ宜しくお願いします。


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