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狼王子に溺愛された兎姫  作者: あずあず
バッドエンドルート〜23話まで
10/40

【ここよりバッドエンドルート】断罪のはじまり(2)

【注意】ここからバッドエンドルートです。

世界線が分岐します。

ハッピーエンドルートは24話へ進んでください。

結局、父も母も妹も泣いて泣いて仕方がなかった。

何を言っても動こうとせず、怯え震えて、会場内の賓客も侮蔑の表情で見つめている。


「これだから兎は…」

などという声が聞こえ始める。


たまらず私はアルテミオの前に出て

「晒し首を免れた上、申し訳ありませんが、王族位の剥奪程度で許していただけませんか」

と懇願した。


「おい!勝手に何を言い出すんだ!!」

父はまだ自分の立場が分かっていないのか、そんなことを言っている。


「では銃で撃たれてみますか?」

と聞いたら、大人しくなった。


「うーん、そうなると兎族を取りまとめるのはリリー姫ということになるでしょう…」

「仰る通りかと思います」

タントレ殿下の言葉に私は頷いた。

俯くアルテミオにタントレ殿下は言う。

「まあ、行き来すれば良いのじゃないかな!?」


私は意を決して言う。

「いえ。兎領と狼領を統合し、二つの一族が共に手を取り共存すると言うのは難しいでしょうか?」


思いもよらない提案にアルテミオは私の真意を図りかねた様だ。

「どういうことかな?」

「恐れながら。アルテミオ様には、この世界を統治するに相応しい器があると存じます。まず手始めに我が兎領をも共に治めていきませんか?」


私は真剣に向き合って言った。

これに対して父は激昂した。

「我が一族を売る気か!」

「売るのではなく、共存です。そもそもお父様とお母様が罪なき領民を死罪などにするから、こんなことになるのでしょう?お父様はまずご自身の罪に向き合ったらどうです」

言外にお前が言うなと言ったのだ。


父は「ケッ」と言ってそっぽを向いてしまった。


「父と母、この愚かな妹の監視もしていかなければなりません」

「なるほど、リリー姫。君はなかなか策士だ」

アルテミオは私の手の甲にくちづけを落として微笑んだ。


「罪人を捕らえよ」

毅然とそう言うと、私の耳元で囁く。

「君はこれで良いのかい?」

私は金の瞳をじっと見つめて、それからにっこり笑った。


この世界を統治するにはまだまだ時間がかかるだろうが、足掛かりとなる兎と狼の領地を共に治めることとなれば他の一族より一手先を行くこととなる。

加えて、兎族には潤沢な資金がある。

アルテミオが国の統治に向け、これ以上ない後押しになるはずだ。


こうして、父、母、妹は狼族の王宮にある塔へ幽閉されることになった。

時々、牧師の方が赴いてこんこんと説教を説いてくれるそうだ。


私は、アルテミオとの婚姻まで兎族の領主として一時的に兎領へ帰郷した。

好意でレイランとトノリーも付いてきてくれた。


私を虐げてきた使用人たちは立ち尽くしたまま帰城を見届けている。

「…姫様、おかえりなさいませ…」

父のお付きだった老齢の執事が一歩前に出て気まずそうにお辞儀をした。

私はその姿を見て、

(この人、こんなに小さかったかしら?)

と思った。


「父の指示とは言え、あなたには昔、髪を刈られたわね」

執事はぐっとたじろいだ。


私は颯爽と入城する。

罪人どもの部屋を片付けるよう、テキパキと指示を出した。

俄に城内が慌ただしくなった。


「…私どもも手伝いますか」

とレイもトノリーも申し出てくれたが、私を虐げてきた使用人に対する罰だからと言って断った。


そして、久しぶりに祖母の部屋へ立ち寄る。

いつもこっそり使用人の目を盗んで入っていた。


(懐かしいな)


祖母の肖像画をそっと撫でる。


「これが…」

レイランは生唾を飲み込む。

祖母の生写しのようだった私。


「私、覚えておりますわ。本当に幼い頃ですけど母に連れられて、一度だけお会いしたことがありますの。もうその頃はお体がだいぶ弱っていらっしゃいましたけれど…」

そう言ったトノリーの目元は緩んだ。


「そう…」

私には殆ど祖母の記憶がない。

しかし、女王だった祖母と同じ白髪と赤い瞳が両親にとってここまで嫌われる要因になったのはなぜだろう。

続きは明日15時ごろ投稿します。


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