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『フィンらんど』  作者: 神宮寺匁トロロ
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【第9話 :王宮の地下】

第三十八章:厳重なる城の地下


深夜のアルディニア王国。王宮の裏手に身を潜めたフィンとジンの姿が、月光の中で静かに佇んでいた。


「本当にやるのか?」

ジンの低い声が緊張感を帯びていた。


フィンは剣を握りしめ、迷いのない眼差しで前を見据えた。


二人は息を殺しながら隠し通路へ進入した。冷たい石造りの回廊は薄暗く、壁に並ぶ松明の明かりがゆらゆらと揺れている。足音が響かないよう慎重に進む中、兵士たちの巡回の足音が遠くから響いてきた。


やがて目の前に現れたのは、巨大な鉄扉だった。複雑な紋様が扉全体に刻まれている。


「これが地下への本当の入口か。」

ジンが低く呟いた。


しかし、その扉の周囲には何重にも兵士が配置され、警護の目は隙なく張り巡らされていた。


「無理だ。姿を消す魔法でもない限り、突破なんて不可能だ。」

ジンが苦々しい表情を浮かべた。


フィンは扉と警護の様子をじっと見つめた後、静かに深呼吸をして答えた。

「仕方ない、一旦戻ろう。無謀なことをして捕まるわけにはいかない。」


二人は慎重に来た道を引き返し、城の影に紛れながら脱出を図った。冷たい夜風が二人の頬を切るように吹き抜けていく。


「次はどうする?」

城を抜け出した後、ジンが問いかけた。


フィンは一度空を見上げてから答えた。

「明日、ルーナに聞いてみよう。彼女なら何か知っているはずだ。」


第三十九章:占い師ルーナの導き


翌朝、フィンとジンは森の中に佇む占い師ルーナの小屋を訪れた。静寂の中、風が木々を揺らす音だけが響いている。


扉をノックすると、ルーナの穏やかな声が内側から聞こえてきた。

「入っておいで。」


小屋に足を踏み入れると、ハーブの香りが漂い、水晶玉が中央の机に鎮座していた。ルーナは深い碧色の瞳で二人を見つめ、微笑みながら促した。

「また来たのね。今度は何を知りたいの?」


フィンは前に進み出て、昨夜の潜入が失敗に終わったこと、警護の厳重さに阻まれたこと、そして姿を消す力があれば打開できるかもしれないという考えを語った。


話を静かに聞き終えたルーナは、水晶玉に手をかざし、目を閉じた。やがて玉が淡く光り始め、神秘的な空気が小屋を満たした。そして、彼女はゆっくりと口を開いた。


「八つの神器の一つ、『虚空のペンダント』。その力を持つ者は完全に透明になり、どんな目からも姿を隠すことができる。」


フィンとジンは驚きの表情を浮かべた。


「そんなものが本当にあるのか?」

ジンが疑わしげに尋ねる。


ルーナは頷きながら続けた。

「確かに存在するわ。そして今、その神器を所有しているのは、敵国ザルディア王国の将軍カイン。」


「カイン…?」


「そう。彼は『虚無の将』と呼ばれ、冷酷無比な戦術で知られる将軍。その名の通り、『虚空のペンダント』の力を駆使し、戦場では無敵とも言える存在よ。彼からその神器を奪うことは、非常に困難な試練となるでしょう。」


それでもやるしかない。アリアを助けるためなら、どんな試練でも乗り越える。


その決意を感じ取ったルーナは、棚の奥から古びた地図を取り出し、二人に手渡した。


「これがザルディア王国への道。そして、カインの守る砦の場所も記してある。」


ルーナの表情に一瞬陰りが見えたが、彼女は慎重に言葉を選びながら続けた。

「アルディニア王国は間もなく、ザルディアの要塞エストニアとの戦闘に突入する可能性が高いわ。カイン将軍もその戦いに参加するはず。その道中で、戦乱に巻き込まれる覚悟はしておいて。」


ジンは険しい表情を浮かべ、低い声で言った。

「エストニアか…。そんな場所での戦闘を避けて通るのは不可能だろうな。」


ルーナは深く頷いた。

「エストニアは戦略的に極めて重要な拠点。アルディニアとザルディアの争いは激化している。この戦乱を乗り越える覚悟があるなら、進むべき道が開けるでしょう。」


フィンとジンは深く頭を下げ、ルーナに感謝を述べた。小屋を後にし、冷たい森の風に迎えられながら歩き出す二人。

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