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『フィンらんど』  作者: 神宮寺匁トロロ
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【第10話 要塞アルヴェルク】

第四十章:進軍の始まり


冷たい朝の空気が肌を刺す中、紅蓮の騎士団を先頭にアルディニア王国西地区の傭兵団が静かに進軍を開始した。列をなす数千人の兵士たちの中で、フィンとジンは歩兵団として隊列を進んでいた。


「いよいよ始まるな。」

ジンが肩越しに低く呟く。


ここで立ち止まるわけにはいかない。

フィンは視線を前に固定しながら、剣の柄を力強く握りしめた。その目には迷いの色はなかった。


行軍は過酷を極めた。荒野を抜け、崖沿いの険しい山道を何時間も進む。足元は石と砂利に覆われ、疲労が積み重なる中でも、隊列を乱すことは許されなかった。


夜になると野営地が設けられ、配給された硬いパンと薄いスープで空腹を癒した。それでも、兵士たちの間には緊張感と高揚感が混じり合っていた。


「こうして生きて食べられるだけありがたいってもんだ。」

ジンが冗談めかして笑ったが、その声には戦場を前にした微かな不安が滲んでいた。


フィンは夜空を見上げた。


第四十一章:拠点への到着


翌日の夕方、目的地である「アルヴァベルク」が視界に入った。


壮麗な城壁がそびえ立ち、その中に広がる要塞都市の姿は、圧倒的なスケールでフィンたちを迎え入れた。アルディニア王国西側防衛の要として知られるこの都市は、数万人の住民と兵士、そして傭兵たちが一丸となって戦争に備える拠点だった。


その壮大な光景に息を呑む。


街に足を踏み入れると、戦場へ向けた緊張感が空気を支配していた。金属を打ち鳴らす音、兵士たちの怒号、そして戦略を話し合う声があちこちから聞こえる。


案内人に連れられ、フィンたちは指定された宿舎へと向かった。そこは簡素ながら戦闘準備のために整えられた場所だった。


フィンたちは剣を置き、深く息をついた。


第四十二章:東西の傭兵団、結集


翌朝、アルヴァベルクの広場は、東西地区の傭兵団が一堂に会する場となった。


西地区の新兵が多い中、東地区から来た傭兵団は、すでにいくつもの戦場を生き抜いてきた猛者たち。その鋭い眼差しと無言の威圧感が、広場全体に緊張を走らせた。


「こいつら、ただ者じゃないな。」

ジンが小声でつぶやく。


フィンは拳を握りしめ、彼らの視線を真正面から受け止めた。


その瞬間、広場に鋭い声が響いた。

「全員、静まれ。」


静寂が訪れる中、蒼玄の騎士団団長

「グラシス・ブルーレインズ」が姿を現した。


冷徹な青い瞳と、毅然とした態度が彼の存在感を一層際立たせている。彼の登場により、東西傭兵団全体に緊張の波が広がった。


「我々がここに集った理由は一つだ。」

グラシスは冷静な声で語り始めた。その言葉は、一言一言が群衆に重くのしかかる。


「目標は、隣国ザルディアの要衝、エストニア要塞の制圧だ。これは単なる戦闘ではない。我々アルディニアの未来を賭けた戦いだ。」


その言葉に群衆は息を飲む。戦いの重要性と責任の重さが広場全体に響き渡った。


「この戦いで敗北は許されない。それを心に刻め。」

グラシスの鋭い声が静まり返った広場に深く突き刺さる。


解散後、フィンは静かに自分の剣を見つめた。


この戦いが終われば、アリアを助けに行く。

それまでは負けるわけにはいかない。


アルヴァベルクの冷たい風が吹き抜ける中、フィンの決意は一層強く燃え上がっていた――。

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