プロローグ
【関連作品】i❊merge (アイ・マージ) せっかくなので異世界免許教習所で働くことにしてみた
《秘宝の世界》
8つの世界の存在を知るものは、この世界をそう呼称する。
そこは、8つの世界の中では、特出して多くの“迷宮”が存在している。
この世界の“迷宮”では、自分の実力次第で“価値ある秘宝”を手に入れることができる。
それは、岩石、鉱石、宝石、輝石、奇石、奇跡など、形あるものから無いものまで様々である。
それらを求めて、数多くの“探究者”が“迷宮”に挑む。
栄光を手にする者は限られる。
命を落とす場合もある。
それでも“探究者”は、夢と希望を“迷宮”に求めるのであった。
この世界は、何れの先には“巨漢系”が主となる世界へと変貌する。
これは、それより前の時代の物語である。
とある迷宮。
一人の男が目を覚ました。
目覚めがすこぶる良い。
その男は、横たわるベッドから上半身を起こした。
ベッドの傍らには、紫色の長い髪を後ろに括っている女性が立っている。
その女性は、目覚めた男に声を掛けた。
「おはようございます。」
「おはよう。よく寝れたよ。どれくらい寝てたのかな?」
「はい。ちょうど1年です。」
「そうか。じゃあ、まずは風呂に入ろうかな。」
「かしこまりました。」
1年ぶりに起きたのは、“俺”だ。
久々によく寝た気がする。
「俺が寝ている間に何か変わったことはあったか?」
「先日、20階層を踏破した者が出ました。」
「おおっ!初めてじゃないか?」
「はい。初めてのことです。」
「素晴らしいね。因みにそれは、どこのパーティーだったのかい?」
「それが、単独の探究者です。」
俺は寝室を出て、風呂場に向かう。
風呂場といっても、ちょっとした湖くらいの大きさはある。
「単独で20階層を踏破か。20階層の階層主は誰だったかな?」
「鉄ゴーレムです。」
「そうか。ああ、そうだ“フィリア”。」
「なんでしょう。」
「“特殊な8体”を集めておいてくれるか?」
「かしこまりました。」
ドタバタと駆け寄ってくるものがいる。
それは、朱色の髪をした男勝りな女性だ。
「ミライ!起きたんだなっ!」
「ああ。おはよう。」
その朱色の髪をした女性は、俺の前に立ち止まって動かない。
「“シュウナ”、俺は風呂に行きたいから、そこを退いてくれないか?」
「じゃあ、一緒に入ってやるよっ!」
「お前“女形”だろう。ダメだ。」
「何でだよ~!」
「そこは、俺のモラル的にタブーだ。諦めろ。」
シュウナが不貞腐れる。
「やっぱり入る。」
「ダメ。」
「入るったら入る。」
「ダメったらダメ。」
俺は、フィリアに目配せをした。
俺の意を悟ったフィリアは、シュウナの首根っこを鷲掴みして強引に引っ張る。
「ふんっ!じゃあ、もうミライのことなんて大嫌い!」
「本当に嫌いか?」
「嫌い。」
「そっか。本当に嫌いなんだな。」
「嫌い。」
「分かった。本当に嫌いなんだな?」
「・・・・好き。」
「なら良し。」
これぞ、テンプレだ。
フィリアは、シュウナの首根っこを鷲掴みしたまま連れ去っていった。
俺は、風呂場に入る。
巨大な扉を開けた途端、もうもうと立ち込めた湯気が流れてくる。
遥か上空から、温泉が滝となって流れ落ちる。
俺は、衣服を全部脱ぎ捨てて、温泉の湖に飛び込んだ。
そう。
俺の名は“ミライ”。
この“迷宮”の主は“俺”だ。
誰も気づかぬ山奥の秘境にある小説を読んで下さいまして、誠にありがとうございます。
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