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ストーカー

ピンポン。

僕はおもむろにインターホンを押した。これで8回目のピンポンだ。

あいつ、何してんだよ。いつも、僕は朝登校する際についでに当時の家に行って、斗仁を迎えに行くという習慣がある。

まぁ、いつも出てくるまでが遅いのだが今日はいつにもまして出てくるのが遅い。

いったい、こんな時間を割いて何をしているのだろうか。少しキレ気味で待っていると、寝癖で髪が逆毛立っている斗仁がやってきた。


「あーごめん。今日ちょっと寝坊しちゃって、準備が遅れたわ」


うん、わざわざ言ってくれなくてもわかるよ。さっきまで寝てたんでしょう?君。所々にその痕跡が残っているからすぐ分かるよ。

朝から気分台無しな感じで今日も、いつものように通学路の軌道に乗った。


「いやさー昨日ゲームやってたらさ、気づけば朝3時だったんだよ」


斗仁は反省の色もない顔で言った。


「やりすぎだろお前。せめて、1時くらいまでにしろ。」


僕は冷たい口調でそういった。


「だって寝れないんだもん」


「それはお前が画面をずっと見ているからでーす」


なんとなく、語尾を執拗に伸ばしてみた。


「マジレスせんといてっ!」


斗仁は耳を塞ぐ。

果たしてこれはマジレスと呼べるのだろうか。

そんな疑念をテイクアウトしたまま、僕たちは学校があるほうへ進んでいった。

向かう途中で、何やら後ろから視線のようなものを感じた。

だから僕は後ろをぱっと見てみたが、後ろには人の影どころかカラスの一匹もいなかった。


「気のせいか…」


と言いながら僕はまた前を向いた。

そして、しばらくしてからまたも同じような感覚が僕の体を襲ったのだ。

もう一度、僕は振り返ってみた。

すると、気づいてしまったのだ。

電柱に身を潜めている人影に。

わかった…全部わかってしまったぞ。この妙な視線の正体は、電柱に隠れているあの人のせいなのであろう。何の理由があるかは知り得ないが、あの人はもしかして僕たちの元をついてきているんじゃないか?

なんだか…急に怖くなってきてしまった。


「どうしたの九牙」


深刻な顔して、斗仁は僕の顔を心配そうに覗き込む。


「僕達は今、多分誰かにつけられている。」


「本当にぃ!?」


斗仁はつけている張本人にも、もろに聞こえるようなテンションで言った。


「しいぃぃっ!気づかれてるって思われたらだめだろ。とりあえず、僕の言う通りにして。」


なんとなく、緊迫する。

なんかアニメとか映画で今のようなシチュエーションたくさんありそうだな。

のんきな事を考えながら僕は斗仁に指示を出す。


「僕の合図に合わせて、一気に振り向くよ」


「えっ!そんなことして意味あるの?」


斗仁は小声で囁くように言った。


「いいよ、もう。斗仁の場合、意味ないって感じで」


馬鹿に説明するほどに頭を使う作業はない。

だから、僕はこの説明イベントをスキップしたのだ。


「うん…」


いや、なんか納得してるし。


「じゃあ行くよ。3…2…1……」


0という合図とともに、僕たちは同じタイミングで後ろを振り向いた。

すると、電柱の陰に隠れていたあの人が道路の真ん中に出ていたのだ。

ビンゴ。僕の不意打ち戦法はあながち間違えていなかったらしい。

その電柱隠れの人は、驚いていた。

でも、僕はその10倍ぐらいに驚いていたのだ。


「えええっっっっー!」


そのストーカーの犯人はそう、銀髪の柚菜だった。

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