外道の魔法少女ディルティネス活動記録
パラレルでパロディ、マッドネスなローファンタジー世界『チック=ニ=チアサ』でございます。
今回は夏休みこども企画の劇場版ではなく、通常編成の方の夏イベ冬イベで起きる一幕を、ネタにしました。
20XX年。
謎の組織達へ告ぐ、地球を狙うのはいい加減止めて欲しい。
~~~
「ほらほら~、置いていくわよ瑠流~!」
「あははっ!あそこに見える小島まで、泳ぎで競走だよ瑠流ちゃんっ!!」
「あんたら!準備運動してないでしょ!?ちょっと待ちなさい!!」
「ヒデおにーさんがお昼にって準備してくれてるBBQまでに、戻ってきたいのっ!」
「足がつって海に流されたら、それも食べられないのよ!!」
「っ!!?ソレはヤダっ!!」
「確かに!!じゃあ準備運動しよう!」
現在の季節は夏。
場所はホームタウンを離れ、県企画の小中学生集団旅行で南日本……晴れの日が案外少ない県に来ている。
3泊4日で、保護者から離れて各地の観光名所を回って、勉強を名目に遊んで思い出を作ろうって企画。
それに毎年、随行として来て欲しいと打診を受けている。
……弟の田中久秀が。
ウチの子は家事万能。モブい見た目で無害を装い、無警戒で寄ってきた者にとてつもなく高い女子力を発揮して、デキる男の子を魅せる。
相当数居る小さい女の子達の性癖を「男だって家事ができないと格好よくない」と歪めてしまう、凶悪な女子力モンスター。
男子も男子で、美味しい料理を作る弟にごはんで懐柔され、あまり悪く言えない。
その子供を惹き付ける能力が貴重で、こうやって子供達に関係するイベントで引っ張りだこ。姉として鼻が高い。
……なお、弟は弟で小さい女の子にくっつかれれば事案と言う恐怖にやられ、絶対的な防衛線をひきたがる。
その姿が紳士的と、余計に女の子達をのぼせさせる原因となっているなんて、知りもしないで。
で、弟は一応まだ高校生。歳の離れた姉であるあたしも、娘を連れて一緒に来ている訳だ。
……夫?
仕事が詰まってて、同行できないと泣いてましたが、ソレが何か?
それで今は旅行3日目。曇り。
目ぼしい名所は回ったから、泊まっている宿泊施設周辺で自由時間。
お土産を探したり、こうして海で遊んだり。
「あの……これを使いますか……?」
「ん?あぁ、有り難う。そこの台に置いといてね」
海でも、遊び方でバラバラ。
砂遊び、ビーチスポーツ、海の家をひたすらハシゴ、パラソルや日よけテントでのんびりバカンス、浮き輪でずっとプカプカ、波打ち際で水遊び、貝拾い、ストイックに泳ぎ続ける、ボード等々。
「……おひー様。ボク、これ食べたい……」
「味見かな?……美味しい?それは良かった。それと何度も言ってるけど、おひい様だとお姫様だから、男に言うものじゃないよ?」
真っ先に海へ飛び出た赤青黄色の信号機3人娘や、弟を手伝うとか言ってメス顔して付きまとう緑や紫の娘達も居る。
……少女達の水着描写?はぁ!?そんなの知りたいなんて、あんた変態!?お巡りさんを呼びますよ!!
「あ、あのあの!わたしもっ……!」
「はいはい味見だね。……あはは、顔で味が良く分かるね。美味しくできたなら良かったよ」
…………許されるなら、あいつらに弟をとられるより先に、あたしの娘とくっ付けてやりたい(血涙&歯ぎしり)
~~~
やかましかったBBQのシメで鉄板海鮮焼きそばを出して、海の家製焼きそばに勝ったお昼過ぎ。
あたしの娘は旅行ではしゃぎ過ぎたツケがきて、ノックダウン。一緒にパラソルに入って、ぐっすりおねむ。
食後の満腹感も含めた余韻で、みんなウットリ幸せな顔して動きが鈍っている時間。
ソレはやって来た。
魔法少女がイベントに関われば、邪魔するようにやって来るのは世界不変の法則なのだろうか?
まるで名探偵が死神の如く、殺人事件を引き寄せるように。
「我は海亀クラゲ!!人間どもの無思慮な行いで命を絶たれた海亀達の無念と、不法投棄で堆積されたゴミが合わさって産まれた、ゴミ魔人だ!!」
―――魔人。
今年度猛威を振るう、襲撃者の総称。
曰く地球の周りを回る“アゴイ彗星”を本拠地とする環境保護団体(過激派)。
“アンチ・ゴミ・オーガニゼーション”を名乗り、地球……主に日本へ侵略してきた。
アゴイ彗星から分かれて落ちてきた隕石には転移の魔法陣が描かれていて、石の落下地点へ魔人が転移されて出現する。
一番最初、その初期対応で出撃した魔法少女達ピュアスターと、アゴ所属の魔人から総帥と呼ばれた存在による問答は語り草だ。
「無思慮な人間達による環境破壊の連続で、地球はもたん時が来ている。なぜソレが解らんのだ!」
「いろんなメディアでそんなのが一杯報じられてて、知ってるわよ!」
「だったら我々の意見は解るだろう?環境破壊を止める為、原因である人間達とその文明を破壊する正当性を!!」
「そんな極端な行動は理解できないわよ!まず積極的な清掃活動からすれば良いじゃないの!」
「その優しさとヌルい手段が地球を押し潰すんだって、分かるんだよ貴様っ!」
「だから私達が地球を……世界を守る姿とか見せなきゃならないんでしょうがあ!!」
そこからネットで変形・ネタ化して、
『地球はもたん時が来ているのだ!だから我々が粛清する!』
『極端よ、それは!』
や、
『その優しさとヌルい手段が地球を破壊するんだって、分かるんだよホムラスターっ!』
『だから私達が地球を守ってみせてるのよ!』
等と定着してしまった。下手するとその年の流行語として取り上げられかねない程に。
ちなみに総帥は大きい黒マントと仮面で素顔は見えなかった。
唯一の特徴は、仮面からはみ出たケツアゴだけである。
ついたあだ名は、アゴい総帥。ド直球。
閑話休題。
海亀クラゲの外見は、2足歩行する人間サイズの海亀。それと背後に2つ、クラゲと見間違うビニール袋がワシャワシャ音を立てて飛び回っている。
魔人による演説が始まる前から、近くに居た人達は慌てて避難する。
しかしパニックが起きていないのは、この世界では日常茶飯事な出来事だから。
その避難する民衆の中から「トイレに!」「お花摘みに!」「親戚のお葬式に……!」「用事を思い出したっ!」「……忘れ物……」「まだお昼の片付けが!」などと、頓狂な声が聴こえる。
避難者の塊から抜けたのは、赤青黄緑紫。
そう、あたしの弟を意識したり、色目も使う小娘どもだ。あと弟も変な方向へ全力疾走。
近くにいた人が心配な表情をしていたが、まずは自身の安全。想いを振りきるように、悲劇のヒロインぶって浸りつつ、避難を継続。
ちなみにあたしは、全体が見渡せそうな建物の屋根の上。おねむな娘を抱っこして、お気楽観戦モード。
人間達の逃げっぷりに気を良くした海亀クラゲ。そのいい気分のまま高笑いを上げていると、ハツラツとした少女声が響き渡る。
「待ちなさい!」
魔人と少し距離を取り、キレイな陣形を保ちながらやって来たのは、毎度お馴染みピュアスター達だ。
「地球の愛し子ピュアスター!!地球を壊そうだなんて、私達がさせないわ!!」
今年度の決め台詞がキまり、周囲へ魔法少女達謹製のキラキラエフェクトが飛び散った。
「来たなピュアスター!総帥に反抗した愚か者め、地球の悲鳴を直に聴くといい!!」
……ほんと、なんで魔法少女のいる所にコイツらって現れるんだろうね?
~~~
海亀の戦闘方法は2つ。
格闘術と、ビニール袋。
格闘術は言わずもがな。袋はヤバかった。
袋を口に詰め込んで窒息を狙うのが1番陰湿だが「クラゲと勘違いして食べて窒息や、胃にとどまって食事出来なかったりで、栄養失調死。お前らも体験しやがれ!!」の言葉は悲痛混じりだった。
他にも袋に海水を初め、様々な液体を詰めてぶつけようとしたり、ゴミを詰めて質量弾としたり。多彩な攻撃を仕掛けてきた。
が、結果は一方的だった。
袋さえ壊してしまえば、所詮は亀。亀なのだ。
「……ねえホムラスター?」
「なによ」
「これ、ハタから見るとイジメよね?」
「……否定できない」
5人の少女達が、頭と手足を引っ込めた大きい海亀を囲んでいる。
「みたまま。浦島太郎の、カメをいじめてる子供だよね……」
「……罪悪感……」
戦闘音がしなくなり、終わったかと戻ってきた人達もチラホラ。
「だからって距離をとると、また戦おうとしそう」
「産卵の真似で涙流し始めて、見物人を味方にする戦術なんてとられたら、ワタシ達の負けよ?」
「どうする?ヒデおにーさんに、亀でお鍋作ってもらうとかっ?」
ビクゥッ!!
ガタンガタン!!
亀の甲羅が激しく揺れる。
「魔人なんて食べたら、お腹壊しそうだよぉ……」
「おにーさんなら、なんでも美味しく料理しちゃうよ、絶対っ!!」
「……食べる発想、無い……」
「え~っ、食べてみたいなぁ」
ガタガタガクンガクン!!
よりいっそう、激しく揺れる甲羅。
会議は踊る。されど進まず。
しかもこのままマゴマゴしていると、外聞が悪くなりすぎる。
これは早くなんとかしないと!
5人の心がひとつになった時、異変が起きた。
『……魔人海亀クラゲ、アカウミガメへ、永続変換』
突如どこからか響き渡った、幼い女の子による呟き。
それと共に、海亀クラゲはサイズ補正され、この地域で活動するのに相応しいサイズまで小さくなった。
これにビックリしたのはピュアスター。
しばらく固まり、アカウミガメが海へとのっそり動き出した辺りで、正気に戻る。
そしてぽつりとツムジスターがひとこと。
「……わたし達の意味が……」
聞き流せない、ツンツンしてる癖に面倒見が良いミナモスターは、その言葉に反応する。
「やめなさい。正体不明の魔法少女に、手柄をかっさらわれるのは良くあることよ」
「分かってるけど……」
戦う前にやってくれていれば、ここまで気まずい思いをしなくても良かった。そして戦う意味すら無かったかもしれない。
言いたい事はとてもよく伝わる。伝わるが。
「やめなさい、ワタシ達は魔人の凶行を事前に止めた。それで良いのよ、良かったのよ。良い……はずなのよ」
ピュアスター、なんとも苦い勝利であった。
と言うか複雑なものを残しそうなタイミングまで、ピュアスター達を見ていた外道の魔法少女ディルティネスは、どこまでも外道である。
しばらく後、あたしがディルティネスへ問い詰めたら、出遅れたから全部任せるつもりだった、あそこで手を出したのは緊急措置で、善意だったと弁明した。
~~~
時間が思いっきり飛んで、季節は冬。
今度は市の催し、近場の雪山へ1泊2日のスキー旅行。
参加者はみんな最新のスキーウェアで、モコモコとした着ぶくれファッションでは無い。
まあ例外として、あたしの娘だけはモコモコにわざとしてる。そっちの方が可愛く見えるし。
参加者は例の5人娘と、あたしの家族で30人未満用の中型バスに乗っている。
他の家族は、日程の都合がつかなかったとかで、このバスを借りた。
でもその都合ってのが、なんか嘘臭いんですけど!?
連中の家族!バス搭乗前に全員子供とあたしの弟とを視線で行ったり来たりさせて、妙にぬる~~い目をしてたんですけどっ!?
あたしが親代わりで大切に大切に育てた、愛する弟を横からかっさらう、トンビの群れにしか見えないんですけど!!?
「ねね、ちょっと顔が怖いから落ち着いて」
おうこら夫この野郎!お前も大好きな弟(の料理)が盗られそうなんだぞ!?なんでそんな平然と―――
「―――大丈夫。盗ろうとしたら(弁護士の)仕事をするだけだから」
……お、おう。静か~に怒ってらっしゃる。頼りにしてるからね?
「任せなさい。久秀君は義理でも、大切な弟に替わりないからね」
よろしく!!
…………って。冷静に考えると、別に婿へやらなければ良いだけな気が。
「あ」
あたし達、久秀を女の子として認識してた?
「…………」
沈黙は肯定とみなす。
「片方言葉無しの会話を成立させるって、どれだけ仲良し夫婦だよ」
仲良しは否定しないけど!
しないけど、車内で席から立って後ろを向くのは危ないよ久秀!
「僕を盗むだの、訴えるだの。物騒な言葉が聞こえたから、気になって仕方がないんだよ」
ああっ!弟のジト目可愛い、天使!!
じゃない、久秀が気にする事じゃないから大丈夫!
「大丈夫じゃないから、気になったんだっての」
いやいやいや、ほんと何もないから―――
「―――久秀君とも片方無言で会話できる、仲良し姉弟じゃないか」
…………。
「…………」
「沈黙は肯定とみなします」
~~~
なんか恥ずかしいやり取りがあった気もしますが、それはポイします。いいね?バスの中は賑やかで平和でした。ねっ!!?
到着。スキー場の利用料金も支払い、早速子供達は遊ぶために動き出しました。
しかし、ひとりの少女は道具を取り出すなり借りてくるなりせず、にぱっ☆とした笑顔で我が弟のもとへ一直線。
「ヒデおにーさんっ!一緒にソリで遊ぼっ!!」
っ!?!?
6家庭全てに衝撃が走った。
みんなスキーかスノボで、ワーキャー楽しむのかと思っていたのに、黄色の子は最適解を見出していたのだから。
スキーとかスノボで「きゃー倒れちゃったー、いたーい(棒)」「大丈夫?滑りかたを教えてあげようか?」「……とぅんく」なんて夢を見ている場合じゃなかったのだ!
ソリだ。最大でも2人乗り。2人密着しないと乗れない。
そう、密着!して。
今回の場合、体が大きい弟に後ろから包まれるようすっぽりと納まり、そのまま風を受けて滑る。
身長や包まれ方によっては、耳に息をかけられる展開まで妄想される。
大人ふたりなら痛々しい光景だが、片方は小学生。歳が少し離れた兄妹か、仲の良い親戚が遊んでいる様に見えるだけである。
「恐るべし、瑪瑙」
「盲点。スキーで先生生徒、手取り足取りキャッキャウフフなんてお呼びじゃなかったわ」
「…………(魂抜けかけ)」
「……メー子、とんだ伏兵……」
やはり他の4人は、恐ろしいものを見るような表情で、黄色い子を見ていた。
「事案……不味い…………お巡りさん、違うんです……お願いします、信じてください」
お願いされた弟は、どこか変な所へ正気をトバしていた。
~~~
結局、5人組全員で何周か交代してソリ遊びしたら、あたしの娘が「ずるい、わたしも~!」と暴れだした。
それ以降は娘がソリと弟を独占し、他の遊びに気が向いても弟を手放さず。1番低い年齢を武器として、有効に使うとか将来が楽しみよ。
あの5人組と滑っていた頃は、陸揚げされて一週間放置された鯖みたいな目だった弟が、いつもの調子を取り戻してカワイイを愛でる幸せオーラまで放出していた。はぁ、天使だ。
でもさすがにずっと独占、と言うのもアレだから、みんなで出来る雪遊びを提案。
娘に睨まれたが、敵を作らないためと説得すればおとなしく引き下がった。えらい。
子供の監視を久秀に任せ、義務から解放された大人達はと言えば、気まぐれ。
ひたすら滑り込むのもいれば、夫婦でイチャついていたり、暖かい喫茶室で喋り倒すのもいるし、子供がはしゃぐ様子を無心で撮影し続ける親もいる。
……あたし?あたしはほら、弟と娘をひたすら記録し続けてる。
やがて子供達の気分が盛り上がり、場が最高潮に差し掛かる頃合い。
この場には7人の魔法少女が居る。
イベントで場が盛り上がる。
さあ、もっと楽しもう!なんてなれば、高確率でやって来るものがある。
「ベアはアゴの魔人!“ゴミノワグマ”ベア!!」
そう、現在敵対している存在が。
盛大にあがった雪煙の中から、熊を素体にして矢鱈とボロい家電がゴテゴテ混じった、異様な姿をしている魔人が現れた。
「今は雪の下ベアが、この山も不法投棄で一杯ベア!こんな事をしているから地球が汚染されて、環境破壊なんて悲劇が起きるんだベア!!」
素体はツキノワグマであろうが、大きさは段違い。3メートルは越えているだろう。
お洒落のつもりだろうか?頭から赤い毛が、一房垂れている。
スキー客はクマの演説など放り投げ、避難に全力。
さすがずっと似た危機に晒されてきた、この世界の住人である。
その避難者から逸れるように「トイレに!」「お花摘みに!」「親戚のお葬式に……!」「用事を思い出したっ!」「……忘れ物……」などと聴こえてきた。
……緑の子は何人の親戚を殺すのだろうか。
まったく、弟を見習いなさいな。
あたしの夫に娘を引き渡して「避難出来てない人がいないか見てくる!」なんて健気な言い訳してったのよ?
~~~
「そこの暴走グマ、落ち着きなさい!!」
演説を聞いてくれない人間に激昂して、雪を叩きに叩いていたゴミノワグマだが、謎の声に止められた。
巨大なクマの前に、並ぶ5色の魔法少女達。
その名も、地球の愛し子ピュアスター。
その姿を確認したクマは、器用に口の端を上げる。
「ようやく来たベア!お前達も雪の下へ埋めて、棄ててやるベアー!!」
これに対抗して、叫ぶピュアスターのピンクことホムラスター。
「せっかくのお泊まりデートを邪魔してくれた貴方なんて、有害物質を出さない高温で焼却してやるわ!!」
……ひどい私怨の八つ当たりだった。
他の4人も頷いているんじゃない。
「ク゛マ゛ーー!」
「てやーー!」
双方、闘志は十分。
お互いが突進し、もうすぐソニックウェーブみたいな轟音が鳴り響くと、そう予想されたその時!
『……ゴミノワグマ、最新家電、永続変換』
全てを否定する、愛らしくて外道なウィスパーボイスが、この場を支配した。
声に従って家電混じりのクマは姿を消し、ピッカピカな最新高級家電へと存在が変じる。
普段ならピュアスター到着前や戦闘中の良いところで、活躍を奪う外道行為をするはずである謎の魔法少女が、今までに無いタイミングで割り込んだ。
それで調子が崩れたピュアスター。
「ふぎゃっ!?」「きゃあっ!」「っ……!!」「うわわっ!?」「……むぎゅ……」なんて可愛い悲鳴と一緒に、全員で団子になってすっ転ぶ。
あと少しで沢山の家電と正面衝突する憂き目を回避出来たのだが、そんな事より謎の魔法少女への不満が強いらしい。
「あんたっ!今までこんな活躍の奪い方してこなかったでしょ!!今回が1番酷いんじゃないの!!?」
言い分はもっともだ。
謎の魔法少女が姿を見せない為、どこにでも声が届くよう、ホムラスターが叫ぶ。
すると、まだ退散していなかったのか、律儀に愛らしい呟きが帰って来た。
『……夏。海亀の悲劇、回避したかった……』
目が虚ろになっているこの子は、忘れていなかったらしい。遊びに出た先で襲撃されると言う似たシチュエーションで、起きた出来事を。
現在こっそり佇んでいる、スキー場管理棟の屋上にサッと行って、頭撫でたりハグしてやりたい。……ウズウズウズ。
もちろんピュアスターだってアレは覚えている。忘れられる訳が無い。
「だからって、このタイミングで!! ……いや、いいわ。スキー場に目立った被害が出なかったんだから、お礼を言うべきよね」
1度は怒ろうとするが、やはり夏のアレを思うと、どうしてもその気になれないらしい。
「はい、じゃあ解散!!気を取り直して、もっと遊ぶわよっ!」
嫌な事はさっさと忘れ、気持ちを遊びで塗り潰そうとするその様子は、現役の小学生には見えなかった。
外道の魔法少女ディルティネス、夏の苦い思い出から、変な方向へ先走る。
以下、いつものQ&A式設定乱打です。
興味無しや面倒、読みたくない等の方は、ここからはご遠慮願います。
本日の読了、誠に有り難うございました。
~~~
Q.久秀とねね姉弟の詳しい所。
A.“活動記録”ではなく“観察記録”をご覧下さい。
Q.今回の姉弟イチャつきは?
A.くどくなりそうなので、パスさせて下さいませ。
Q.事案発生!お巡りさんはどこ!?
A.主人公補正により、面倒見の良いお兄さんになついている子供達認定されております。よってお巡りさんのお世話にはなりません。
Q.夏と冬、なんで一緒にしちゃったの?
A.ディルティネスが夏で失敗して、冬で今度こそ!と意気込んで再び失敗する。それを分けると話が繋がらないんじゃないかと、悲観して。
Q.変身前の魔法少女達、色で言われてたけどアレは何?
A.髪の色です。この世界は現代日本と言えど、ローファンタジーでニチアサチックな世界です。みんなカラフルな髪をしているのですよ。
Q.魔法少女達の容姿。記述が無いよね?なんで?
A.妄想で補完して頂くためです。決して、決して!描写が面倒とか、理想や定番と違う!!と言うお叱りが怖いから等の理由ではないのです。ええ、決して!
Q.アゴ?
A.アゴです。魔人達は総じて、アゴに特徴を持ちます。亀は鋭い三角、クマはモッサモサの無精髭。ア~ゴ~(高音が程よくかすれた、合成音声)
Q.アゴい彗星?
A.アゴイと言う名称の彗星であり、赤くてアゴい人ではありません。
Q.アゴい総帥は?
A.ケツアゴのフルフ○ンタルさんをコラ画像?動画?で見てしまったんですよ!あんなの見せられたら、ネタにするしか無いじゃないですか!!
Q.フルフロ○タル?総帥は逆……
A.ホムラスターと総帥の会話で、その辺は分かってるでしょ!?細かく突っ込まれたら泣きますよ!?(涙目)
Q.クマから変わった家電、結局どうなったの?
A.スキー場管理棟の備品として、スタッフが喜んで引き取ってくれました。
Q.そう言えばピュアスターって武器は使わないの?
A.胸元のリボン付きペンダントが魔法を補助する機能を持っていて、武器らしい武器は必要ありません。まあ、魔法で武器みたいな形を作って、振り回したりする戦闘回も存在しますが。
Q.魔法少女達と久秀の年齢差は?
A.4~6歳と予想されます。現時点では危険水準ですが、お互いが20越えればなんともない差ですので、大丈夫じゃないですかね?知りませんが。
Q.瑠流?
A.ミナモスターの名前ですね。水属性だし、川をイメージして。
Q.瑪瑙?
A.こちらはリクチスターの。石言葉を調べて、和名と石言葉で名前に出来そうだったのがメノウだけだったと。自分が調べたサイトだと『勇気・行動力・成功』とあったので。
Q.他の3人は?
A.まだ付けてないです。