僕一人だけ。
暗い闇の中、明るく光る車のライト。電柱に群がる虫。
僕は、そんな、虫だ。
そう呟く午前2時。俺、黒木は、16の誕生日を迎えることとなった。
やることと言えば、騙しである。
クラスメイトを俺の相方であり親友、樟葉と騙すことだ。
残念なことに、人は完璧ではない。それは僕や樟葉のも同様だ。
僕は顔は整っている。またはイケメンだが、声はまるで雑魚だ。
相反するように、樟葉は声が声優並。男の俺でも惚れるほど。
そんな俺らがコンビを組み、騙す戦法。今まで沢山の嘘をついてきた。
それは決して、故意とかそんなものではない。確実、絶対ということだ。
俺の趣味はゲーム。世界人口18億とも言われるゲームだが、
俺の目的は決してゲームを楽しむことではない。
ゲームで知り合った女の子を落とし、お金をせびることでたる。
ん?屑?。
もうその言葉は、聞き飽きた。
自分で言い訳する。
惨めだ。そんなことどうだっていい。
そんなお金を、新しい女の子を探すために使う。
2時、クーラーが寒くなる時間。
通知の音が鳴るにつれて、僕は興奮して、気持ちよくなる。
ホントの僕は。気持ち悪い。オタクなのに。
自分を偽る。
虚言癖だ。俺は。
自分で分かっているのに。沢山のウソをついてしまう。
「彼女とかいるの?」
萌え声の彼女が言う。
樟葉の声を上手く使い、会話を成立させる。
そんな自分には。何も感じない。慣れてしまったんだ。
「今はいないよ。」
また嘘。ほんとは3人のストック。
リアルでも4人はいるのに。
夜が深まるにつれて、僕と彼女の関係は深まって言った。
お互いを。
道具としか扱ってないのに。
今日も嘘はバレなかった。
心臓の音が響く。
どく、どく。と、
そんな血液に、僕はこう話しかける。
死にたい。と
やけになった僕は、家を飛び出し。
クラスメイトに片っ端から話しかける。
本当の、僕で。
親からも見捨てられた僕にはもう未来はないのかもしれない。
やってないことを、やったっていうのはもう沢山だ。
何人の人を泣かせただろう。何人の人を笑わせれただろう。
けど今の僕は、本当のクズだ。
水溜まりをわざと踏む。
ぱしゃり。
靴下が濡れて、スボンも濡れる。
僕のほっぺからも、水がこぼれ始める。
そういえば彼女のことも、捨てたりしたよな。
好きじゃないのに、好きって言ったり。
それも樟葉が。
俺の、顔で。
それで女の子を泣かしたり、悲しませた。
自分でも悪いとは思うけど、快感に勝てない自分に。
死にたい。
死なせてくれない。
なんで、死なせてくれないんだろう。
朝。クラスでは俺の顔が黒板に書いてあった。
ゴミカス野郎!黒木!
机にはラクガキ。いじめである。
どこから流失したらしい。僕の声は。僕じゃないと。
クラスメイトの目は、僕に向けられていた、
悲しい、そう思うと思うだろう田中に。
僕は泣いていた、ありがとうと、震えた声で言いながら。
真実が伝えられた。虚言癖が、初めて解消されたのである。
それは、ドッキリだっただろうけれど。
泣き崩れる俺に、樟葉が話しかける。
その手には流失の原因を示すスマートフォン。
そしてにゃっと笑う樟葉の姿があった。