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第3話 気づいたらアンデットになってました

ようやくタイトルに触れたぞ!

あ、他の話もよろしく

 さて、こいつらどうするか。結局4人は死んでたんだよな。ということは2人は生きてたってことで…うーん、改めて殺すのも抵抗あるんだよな。あの時は命の危機だったからさ、結構がむしゃらだったんだよね。

けど殺さないと他の人にも襲いかかるだろうしな。捕まえて街まで連れてくのは無理そうだ。ステータスがそこまで変わらないので多分途中で逃げられてしまう。

 それにしても切られた所痛い。めちゃくちゃ痛い。今は布をグルグル巻きにしてます。…あれ?姉ちゃんの《治癒の書》でどうにかなりません?


「姉ちゃん、これ、直せない?」

「どれどれ?うわ、派手にやったね。待ってね…うーん、止血と治りやすくするくらいはできるかな?完治させるには中級くらいの魔力は必要だからね。とりあえず…はい、《回復(ヒール)》」

「ふぅ、ちょっと楽になった。まだパックリだけど…ありがと」


 《治癒の書》は説明では、治癒系統の魔法に補正が入り、イメージにも補正が入るスキルだった。下級魔法でも中級に近い効果を得られる。いやぁこれ、上級魔法くらいになったら結構なんでも直せそうじゃね?


「さて、この二人どうする?やっぱり殺しといた方がいいのかな?」

「んん!んんん!」

「うるさい」


 そう言って姉ちゃんは《杖術》を乗せて棒で殴った。めっちゃ痛そう…死んでないよな?大丈夫?


「やっぱり殺しちゃった方がいいんじゃない?」

「はぁ…そっか。それが世の中の為だよな」


 ということで処理した。うん。こういうのも速い内に経験できて良かった。ちょっと速すぎた感は否めないけど…ただ俺も姉ちゃんも結構大丈夫なもんだな。くよくよするより全然いい。


「それじゃ交代で休むか。最初は私が見張ってる」

「了解。それじゃ頼んだ」


 暫くして姉ちゃんに起こされ俺の見張りの番になった。夜の間はスケルトンが何体か襲ってきただけだそうだ。ただ一回だけ大きな魔力の動く気配がしたそうだ。しかしそれは一瞬で近くで消えるように居なくなってしまったらしい。


「眠い…やっぱちょっと疲れたのか?」


 その後は少しづつ新しい魔法を試していく。スキルの《不死の種》も調べてみるが、説明文は「不死への道」しか書いてないし…俺は不死なんだろうか?


「ま、どうでもいっか…」


 そう思うとまた急激に眠くなる。

だが寝てしまう前に足に激痛が走った。我慢して《探索(サーチ)》を確認してみると近くに大きな魔力反応が合った。くそっ、これに気づかないのかよ…

 しかもフラフラしてきて視界が定まらなくなってきた。ステータスを見るとどんどんHPが減っている。状態が猛毒になっていた。

 やば、声が出ない…姉ちゃんを呼べばまだなんとかなるかも知れないのに…

 もうHPが10残ってねぇ。苦笑いをしようとしたが頬は動かなかった。あぁ前世でも知ってるぞ。これは2度目だ。命が消えてく感覚ってのは数字で表されると生々しいな…ごめん、姉ちゃん。じゃあな。


 そしてHPは0になった。





 ここはどこだ?俺は誰だ?わからない。わからない。ワカラナイ。

 あぁ痛い。苦しい。このままじゃ死んでしまいそうだ。死ぬ?無理だ。どうして?ワカラナイ。

 体が消えていく。この感覚は知ってる。知ってる。そうだ、魂が、命が消えてくって奴だ。


 思い出した。俺はライ。ここは?それはワカラナイ。

 俺は死んだんだ。死んだから死ねない。シネナイ。

 死人に死は訪れない。

 この感覚がずっと続くのは嫌だな。すぐに終わるのかな?それともずっとこのまま?

 あぁ、早く消えてしまいたい。


 ダメだ。消えちゃダメだ!死んじゃダメだ!俺は残してきた。たった一つの大事なモノを。大事な人を。今度こそ、間に合うように……


『スキル《不死の種》が発動しました』





「…よ…てよ…起きてよ!ライ!」

「ん…んん?」


 そして目が覚めた。え?なんで確かにHPは0になったと思ったんだけど?


「良かった!」


 姉ちゃんが抱きついてきた。うん、状況が掴めない。


「えっと…どういうこと?俺、HP0になったはずなんだけど?」

「そうだよ!心臓が動いてないから焦った…んだけど?あれ?心臓動いてない」

「え…?どゆこと?」

「いや、ライの心臓動いてないんだけど?」

「どうなってんだ?俺生きてるよな?…ん?」


 その時俺が見たのはステータス。変わった所は《闇属性以外の属性適正》が《全属性適正》に変わってたりする。それと謎スキル《不死の種》が消えてるのといくつかスキルが増えてる。だがそこじゃない。種族が…リッチになってる…


「姉ちゃん、落ち着いて聞いて欲しい。俺、アンデットになってる」

「え?えぇぇぇ!?!?」

「いや、だから落ち着いてって…多分《不死の種》のせいだと思う。種族がリッチになってる。毒で体力が0になったとき発動したんじゃないか?」

「それじゃアンデットになれるスキルだったってことか…それにしても…ゾンビとかスケルトンにならなくて良かったね」


 確かに思考が残ってて骨とか腐肉になってたらショックだったな…その点は良かったかも知れん。


「でも生きてて…いや死んでるの?うーん、まぁ生きててくれて良かったよ」

「ま、生きてるってことでいいんだよな…うーん、複雑だけど不死の勇者とか格好いいな。うん」


 厨二心をくすぐられるね。称号の勇者は生きてるし、スキルも属性適正も増えた。これは強くなったってことでいいんじゃないだろうか?

 ちなみにステータスはこんな感じ



名前 ライ

種族 リッチ

職業 勇者

Lv.25

HP  320

MP  750

STR 370

AGI 400

LUK 110

能力 通常スキル《全属性適性Lv.2》《全属性耐性Lv.1》《感覚共有Lv.-》《使役者Lv.5》《剣術Lv.1》

   勇者スキル《成長促進Lv.-》

   種族スキル《不死Lv.-》《召喚Lv.5》

   特殊スキル《模倣吸収Lv.-》

称号 勇者 不死者



 おお、不死になっちゃったよ、俺。でもこの不死は完璧じゃない。体を完全に消滅させられたら流石に死んでしまう。ただ老化などで衰弱はしなくなるようだ。ついでに不老でもある。

後は召喚に適正があるみたいだな。《使役者》は《召喚》で召喚した魔物を使役しやすくなる補正効果のついたスキルだった。

 それとごちゃごちゃしていた適正スキルが全属性で統合されてる!これは良い。

 あ!《剣術》ついてるじゃん!嬉しい!これは嬉しい!ステータスもかなり上がってる。《成長促進》のお陰だと思う。このスキルはステータスの上昇に補正がかかるスキルだ。勇者ずるくね?

 後は《模倣吸収》。格上との戦闘時、戦闘中にレベルアップが見込めるとのこと。逆転を狙えるスキルだ。うん、チート。

 称号《不死者》はアンデットの使役に補正がつく称号だった。

 ちなみに姉ちゃんのステータスはこれ。



名前 レイ

種族 人間

職業 勇者

Lv. 25

HP  360

MP  600

STR 300

AGI 310

LUK 200

能力 スキル《杖術Lv.3》《火属性適正Lv.2》《水属性適正Lv.1》《風属性適正Lv.3》

   勇者スキル《成長促進Lv.-》

   特殊スキル《治癒の書Lv.2》

称号 勇者



 姉ちゃんもかなり強くなってるな。適正とか耐性スキルは統合されるとレベルも統合されるんだな。

 おっとそんなことより… 


「俺を毒で殺した奴が近くにいるはずだ。急いで魔力草を回収して帰ろう」

「そうだね」


 思い出したら怖くなってきたな。早く帰りたい。てか、アンデットは受け入れて貰えるのか?暫くは隠しといた方がいいかもな。

 そして魔力草は案外すぐに見つかった。


「これが魔力草かぁ。魔力回復ポーションになるんだっけ?」

「こんな草がねぇ。そんな大層なものになるとはとても思えないけど」


 普通はあまり無いみたいなんだけど、それなりに多い群生地を見つけ採取して街に帰った。

 まずはギルドで換金をする。


「全部で24本。確かに確認しました。2400Gです。それにしても幸先が良いですね。ランク1クエストと言えば普通、500G位が一回辺りの相場ですから」

「へぇ、そうなんですね。あ、そうだ。俺たちこの街初めてなんで、どこか良い宿無いですかね?駆け出し冒険者でも泊まれそうなとこ」

「それでしたら、大地の風亭なんていかがでしょう?あそこなら一晩200Gで止まれますよ」

「良いですね。場所は?」


 受付嬢から色々話を聞き、暫くは大地の風亭で厄介になることにした。

 言われた通りに道を進み大地の風亭に到着したのだが…俺の中の厄介事センサーが…


「おいおいおい、俺たちが誰だかわかってんのか?あ?」

「ですから、お酒はこの時間お出ししてないんです!夜のみとなっています!」

「俺たちは今飲みたいっていってんの。俺たちのボスに掛かればこんな店簡単に潰せるんだぜ」

「それでも無理なものは無理なんです!」

「ちっ!」


 うわぁなんか居るよ。関わりたくねぇ…ちょっと様子を見とこうかな。

 と思った矢先、男が腕を振り上げた。え、ちょっ!


「おい、それはダメだろ」


 気づいたら止めてました。はい、関わりたくなかったんだけどね。


「あ?なんだおめぇ。お前からボコボコにしてやるよ!」

「はぁ…やっちまった…めんどくせぇ…」


 まずは目の前の男を腹を殴って、次に回し蹴りで後ろに控えてた男を二人蹴り飛ばして、最後にナイフをもった男は顔面に拳を叩き込む。うん、こいつら弱くね?俺、魔法特化なんだけど。


「なぁ?まだやる?」

「な、なんだおめぇは!?ボスに言いつけるからな!」


 小物臭スゴいな、あの男。あいつらにストーカーされるのは勘弁だな。ボスとやらに目つけられるのも厄介そう。


「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」

「うおっなんだ!?」


 食堂の方に居た人達が一斉に雄叫びを上げ始めた!?なにこれ、どうなってんの!?


「あ、あの!ありがとうございました!」

「あ、あぁ。どういたしまして。そんなことよりこれなに?」

「やぁ、兄ちゃん強いな!あいつらはここらで有名な小悪党なんだよ!あいつらのボスがそれなりに偉い奴でな、衛兵が手を出せねぇんだ」

「ひゅー、カッコ良かったぞ!兄ちゃん!」

「は、はぁ」


 なんか偉い奴の子分だったらしい。でも小悪党を倒したんだから勇者っぽくね?うん、勇者っぽい。


「あのあの!本日はどういったご用件で?」


 おう…この娘、宿の従業員なんだろうけどかなり食い気味だな!顔近いって!


「今日は宿を取りに来たんだ。ここが良いってギルドで聞いてさ。そっちの人と一部屋ずつ」

「お二人は恋人どうしですか!?」


 だから近いって…


「姉弟だけど?」

「そうですかぁ」


 いや、なんでそんな「ホッとしました」みたいな顔してんの!?てか、お仕事しようよ!


「それで部屋は?」

「あ、少々お待ちください!」


 結果的に宿は取れた。なんか色々大変だったけど…

 でも一番衝撃的だったのは…

異世界に来てはや三日。気づいたらアンデットになってました。


8/20ステータスの表記を変更しました。

8/21《不死》スキルの設定を一部変更しました。

修正前 HPが0になれば死ぬ

修正後 体が完全に消滅されれば死ぬ

9/6 死亡シーンに精神世界的な描写を追加しました。

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