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第0話 気づいたら異世界にいました

雨蟲 乙です!

気分転換に新作。

主人公は生き抜く?ことが出来るのか!?

「そろそろ起きなさい!」


 俺の朝はこうして始まる。目覚まし時計がないわけではない。機械的な音では起きられないのだ。

とりあえず、学校に行く準備を済ませる。準備と言っても着替えるだけなのだが。最近ちょっと汚れてきたブレザーに袖を通す。


「あぁ、ちっと昨日夜更かししすぎたかぁ?」


 趣味はアニメ鑑賞。夢中になるとついつい時を忘れてしまう。うーん。また布団に入ってしまいたい。

まぁそんなことは出来ないので階段を降りて朝ごはんが待っているだろうダイニングへ入る。


「おはよぉ」

「おはよう。なに?ライまた夜更かし?」

「姉ちゃんだって夜更かしくらいするだろ?」

「アンタ程じゃないわよ」


 ちょっと機嫌の悪そうなこの人は、俺の姉の狭間(はざま) レイ。成績、運動ともに平均をマークしている。見た目は弟の贔屓目無しでもかなり良いと思う。身長は160cmくらい?髪はポニーテールにしている。


「ほら!余計な話してると遅刻するわよ!」

「はいはい。わかったよ、母さん」


 で、こっちは俺の母さんの狭間 雫。姉をそのまま大人にした感じ?慎重はちょっと高くて170に届きそうな感じではある。


「あ、そうだ。今日、水泳の授業があるんだけど水着どこにあんの?」

「採ってきてあげるから早く食べなさい」

「おい、ライ。そういうのは前の日に用意しとけよ」

「父さんだっていつも似たような事やってるだろ?」

「ま、まぁな。それを言われると弱いんだけど…」


 そしてこの人、狭間 カイ。俺の父でしがない会社員をしている。母さんより話しやすい俺の相談役でもある。

 ついでに俺は狭間 ライ。どこにでもいる普通の高校生である。成績、運動ともに平均という姉の男バージョンです。ちなみに年齢=彼女居ない歴の持ち主である。今まで受けた告白は皆断ってきたのだ。三回くらい。


「そろそろ俺行くわ」

「あ、待って!」

「はい、水着」

「ありがと、母さん。姉ちゃん行くよ」


 とまぁ、俺の家族構成はこれくらいにして学校に行く時間だ。高校生にもなって姉と登校してるとか。友達に知られた時は笑われましたね。姉とは一時期険悪な時期はあったんだけど…今はそれなりに仲良くやってます。

 コミュ障とは言ってもそこまで重度のものじゃないから学校では上手くやってます。


「いってらっしゃ~い」

「いってきます」

「いってきまーす」


 俺の家の前は車の通りは殆どない。たまに配達のトラックが通るくらいだ。うーん。寂しい。

 

「あ、そうだ、姉ちゃん。俺の漫画勝手に持ってったろ!あれ、まだ俺読んでないんだけど」

「後で返すから。具体的には…明後日くらい?」

「いや、結構長いな!てか、すぐ読み終わるだろ?なんでそんな掛かるんだよ」

「他にも読むのがあるから」

「え、それじゃ俺が先に読んじゃ行けませんかね?」


 と、他愛のない会話をしているときだった。


「あ、ボールが道路いっちゃった」


 男の子が道路に飛び出していくのが見えた。車が殆ど通らないのでよく確認もせずに飛び出したみたいだ。いつもは車なんて通らないので安心して見ていられるのだが。


 だけど、今日は違った。


「危ないっ!」

「姉ちゃん!!」


 珍しく車が走ってきたのだ。運転手は前を良く見ていないようだった。


「クソッ!」


 俺も走り出す。このままじゃ姉ちゃんと男の子が轢かれちまう!焦った俺はただ突き飛ばすことだけを考えた。


 でも俺は一歩間に合わなかったみたいだ。


ドンッ!


(あぁ、痛い。突き飛ばしたつもりだったんだけどなぁ。男の子は…わからん。大丈夫だったんだよな?)


 体を動かそうとするが全く動かない。骨もギシギシ言ってる。外の音は聞こえない。あ、でも男の子が泣いてるのが見えるな。どうやら無事だったらしい。姉ちゃんは大丈夫だったんだろうか?無事だったらいいんだけどな。


 そこで俺の意識は途切れた。





 そこは白い空間だ。何も無く、ただ広く。

 そんな何も無かった空間に今、青白く光る玉が二つ現れた。

 そしていつの間にそこにいたのか。一人の女がそこに居た。

人とは思えないほどに美しく、どこか作り物めいた顔に、しかし、人間らしい笑みを浮かべている。

だが玉に気がつくと困った様な顔になった。


「あら?この子たちはまだだったハズなんだけど…ちょっとしたトラブルがあった見たいね…生き返られせてあげることも出来るけど、それは禁止だものね」


 困り顔だったのだが途端に面白そうに笑みを浮かべる。その笑みは今、この場に誰も居ないことが悔やまれる様な美しさだった。


「勇者召喚の魔法ね。何に利用しようとしてるのかわからないけど利用させて貰おうかしら?」


 もう一度、「うーん」と唸ってから何か思い付いたのか。意識を玉に向ける。


「弟君の方は…あら、面白い適正があるじゃない!与えておいて損は無いわね。お姉ちゃんの方は…これはちょっと大変そうね…仕方ない。あれをやろうかしら」


 女は玉の片方に手をかざし、光を注ぎ始める。

 その様子はどこか幻想的で、子供の工作の様でもあった。


「さぁ、出来たわ。それではいってらっしゃい!あなた達の成功を祈っているわ!」


 そこに玉は既に無かった。





「…きて…」

「…ん?」

「起きて!」

「うわぁ!」


 目を開けるとそこには姉ちゃんがいた。


「姉ちゃん…助かったのか?」

「ううん。私たち、死んじゃったみたい。男の子は助かったみたいだけど」

「ふぅん。死んだのか…死んだ…死んだ!?てかここどこ!?天国!?」


 俺たちは見たことがない場所に居た。イメージ的には…お城?


「私もまだ信じられないんだけど…そこの人に話を聞いて見れば少し分かるわ」


 言われて見ると、白いドレスを着た金髪の女の子が一人と全体的に白ずくめな怪しい集団が居た。


「えっと?」

「お目覚めになられましたか?勇者様。私、ここ、《エスポワール王国》の第一王女、ルーチェ・エスポワールです。よろしくお願いしますね」

「は、はぁ?ご丁寧にどうも。狭間 ライです」

「謁見の間にて国王がお待ちしております。どうぞこちらに」


 全然分からなかったんだけど。どうなってんだこれ?第一王女はもう説明は充分だと思ってるっぽい。


「ねぇ?なにこれ、姉ちゃん」

「はぁ…なんかね、異世界召喚されたんだって。さっき、魔法も見せて貰ったんだけど…やっぱり信じられないのよね」

「魔法!?魔法があるの!?」

「ちょ、ちょっと声デカイ!」


 おっほん。ちょっと興奮していたみたいだ。にしても魔法かぁ。俺も使えんのかな?やっぱ使いたいよね。魔法。

 お、そんなことを考えてる間に謁見の間に着いたみたいだ。


「よく来てくれた。勇者」

「勇者?」

「なんだ、ルーチェ。まだ何も説明していないのか?」

「いえ、こちらの方には説明致しました」


 なんで姉ちゃんにだけ!?って思うのは悪いことなんでしょうか。


「ふむ、では儂からも説明するとしよう。そなたらは勇者としてここに召喚されたのだ」

「その…勇者ってのは何をすればいいんでしょうか?」

「そうだな。その話をする前に自分のステータスをチェックしてくれ」

「ステータス?」

「なんか念じればいいみたいよ?《ステータス》って」

「なるほど」


 それじゃやってみようじゃないか。《ステータス》っと。お?おぉ!



名前 ライ

種族 人間

職業 勇者

Lv.1

HP  70

MP  200

STR 80

AGI 150

LUK 50

能力 通常スキル《無属性適正Lv.1》《火属性適正Lv.1》《水属性適正Lv.1》《地属性適正Lv.1》《風属性適正Lv.1》《雷属性適正Lv.1》《光属性適正Lv.1》《聖属性適正Lv.1》《全属性耐性Lv.1》《感覚共有Lv.-》

   勇者スキル《成長促進Lv.-》

   特殊スキル《不死者の種Lv.-》

称号 勇者



ちなみに姉



名前 レイ

種族 人間

職業 勇者

Lv.1

HP  50

MP  300

STR 50

AGI 80

LUK 100

能力 スキル《杖術Lv.1》《火属性適正Lv.1》《水属性適正Lv.1》《風属性適正Lv.1》

   勇者スキル《成長促進Lv.-》

   特殊スキル《治癒の書Lv.1》

称号 勇者



 王様の横で控えてる人に寄れば一般人だと平均で50くらいらしいから大分高いと思う。個人的に魔法とスキルってのがめちゃくちゃ気になるんだけど…後で色々検証してみよう。


「それで王様?結局俺たちは何を?」

「うむ、そなたらには隣の国に侵攻してもらいたい」

「は、はぁ。どうしてでしょうか?」

「土地が欲しいからじゃ」

「は?」

「欲しいからじゃ」


 はぁ?勇者を呼んだのは国が欲しいから?くそったれ!お断りじゃボケぇ!と言う訳にもいかないんだよなぁ。


「あの、少し弟と話をしてからでもよろしいでしょうか?まだ少し混乱していまして」

「うぅむ。おい、ヴェル。勇者たちに部屋を」

「ハッ!かしこまりました!」


 とりあえずお断りすることは決定してるんだよな。そんな理由で勇者召喚とか…もしかしたらこの国が貧困で切羽詰まってる。とか、隣の国に攻められてるからやられる前に。とかかもしれないけど。それにしたって戦争をしてやる義理もないわけだし。勇者だってなりたくてなった訳じゃないのだ。どちらにしろもう少しこの国を知りたい。もうちょい姉ちゃんと相談しようと思う。

 そんな事を考えてるうちに部屋に着いたみたいだ。


「狭いな」

「狭いわね」

「ま、いいか。で?どうする?やっぱ断るだろ?」

「当たり前でしょ?やっぱりまずはここを知らないと!」


 おぉ、考えてること一緒じゃないですか。やっぱ何も考えずに協力ってのは馬鹿のやることだと思うのですよ。


「それじゃ明日、断りましょうか」

「そうだな、ついでにここから出てこう」

「お金は?」

「あ…円じゃダメだよな?」

「ダメでしょ」

「ですよね…」


 そんなこんなで俺たち姉弟の異世界ライフが始まったのだ。

8/20ステータスの表記を変更しました。

8/21《闇以外の属性適正》を分解して表記。

9/6 死亡から転生までに謎の人物のエピソードを追加。

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