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ラストは笑顔で

宇宙(スペース)疫病(プレイグ)……!」

 


 サンゾウの姉貴はそれを聞いてギリっと歯噛みした。忌々しい記憶でもあるのか。

 


「話しましょう。だれもが制することができなかった宇宙の猛威を」

 


 ディーテ姉、いや八玉(やたま)の宝玉本体は悲しそうに言った。

 


「宇宙を制圧しようと、とある組織が活動していました。しかし、彼らのやり方は武力制圧ではなく病を蔓延すること。私の父にあたるカイラスは組織と戦い滅ぼしましたが疫病だけはとめることはできませんでした。滅び行く宇宙の生命に対抗する手段は私こと八玉の宝玉です。しかし……」

 


 話はこうだ。

 


 ディーテ姉の力をもってしてもただでは防ぐことはできなかった。幾億の星の住人が死に絶えた。サンゾウ姉貴の故郷を滅ぼしたのもその病気。唯一生き残ったサンゾウ姉貴は師のカイラスが引き取った。なぜ? サンゾウ姉貴が生き残ったのが疑問に残る。

 


 実は、師カイラスより凌ぐ力と宿命を背負う子供達が物事を解決できるのではないかと直感したようだ。ただの感だ。しかし、八玉の宝玉も、その可能性を信じて疫病を制することはできないが一時的止めることはできたようだ。俺たち猫パンチの五兄弟が育つまで……。

 


 俺や、イチモンジ兄貴、シシロウ兄貴といった資質認めた子供とジト兄貴やサンゾウ姉貴といった病で家族を失った者たちも運命を感じ育てようだ。しかし、サンゾウ姉貴は女。実は普通に子供として育てたかったらしい。ジト兄貴にしても疫病が幼少のころから少しずつ蝕んでいたらしい。だからかジト兄貴は俺と戦わずにして俺に託し死んでいった。

 


 それが宇宙(スペース)疫病(プレイグ)のようだ。

 


 師匠の家族も死んだ。その孤独を補う為に八玉の宝玉が実の娘そのものに生まれ変わってくれたようだ。

 


 しかし、それによって宇宙の疫病を防ぐ均衡が弱まったようだ。そして、いまに至って限界に近づいてくる。

 


 俺は少しも悲しくはない。良くないこととはいえ、それが俺たちの集ったきっかけなのだから。しかし、決着はつけなければならない。

 


「最後に宇宙の疫病を擬人化させます。相手は生身の人間になるのですから、あとは生命の一個体としてどちらが強いかできまります」

 


「だけど、人間に変えたとはいえ勝てる相手だという保証がないってことだろ? 大丈夫だ。俺が一発でそんな奴やっつけてやるさ」

 


「待って、行かないでゴタロウ。私はこれ以上親しむ人間を失いたくないの。ましてゴタロウは……」

 


「心配するなよ。サンゾウ……姉貴。俺は死なない。さあ、戦うとするか」

 


「頼みましたよ……ゴタロウ。失敗すればもとの疫病となります」

 


「まかせてくれ! 案内してくれ宝玉よ。いや、ディーテ姉」

 

 

 


 そう言うと、どこかわからない異空間に俺は転送された。世界は俺以外虚無で色がない。透明で闇すらない。そこに奴が待ち構えていた。

 


 宇宙(スペース)疫病(プレイグ)

 


 姿は形容しがたいが凶兆を纏った人間。闇と病みの元凶、そういう醜悪な容姿だ。別に悪くはない。ラストバトルとしてはいい悪役面をしている。

 


「ふっ」

 


「……」

 


 俺は妙に可笑しかった。こいつが今まで俺たちを苦しめた元凶? 笑わせるな。俺たちの戦いはいくらだって続く。お前ばかり相手をする気はない。

 


 相手には意識がないのか何も語りかけてことない。だが、俺を敵だと認識してくれたようだ。俺へと向かってくる。

 


「お前なんぞはただのパンチで十分だ!」

 


 俺一人の拳で全てはきまる。徒手空拳、技もなにも必要ない。ただ思いっきり殴るのみ!

 


「シャー!」

 


 俺は(かい)猫音(びょうおん)発してから全てを拳でぶつけた。

 


「……」

 


 宇宙の疫病は言葉を発しないが悶えるかのように動きまくりながら崩れていく。こんなことでしか存在できない奴を哀れにさえ思うが……。俺には関係ない。

 


「シャー! 楽勝」

 


 こんな奴に俺たちは悩まされたりしないのだ。人間を舐めるな!

 


 全ての人間の敵をとったつもりはない。俺はやるべきことをしただけ。苦しかったのは俺たちの猫パンチ五兄弟の争いだけ。これで、決着はついた。俺は達成感にたどり着いた。あとは、気ままに生きられる。暴れられる。

 

 

 


 

 そして、月日がたつ。

 

 

 


「ゴタロウ、どこへ行くのよ?」

 


「どこって俺は孤高の武術家だからな。また、争いがあるところに首を突っ込むだけだ」

 


 相変わらずの覆面姿のサンゾウ姉貴は笑ったかのようにみえた。いや、覆面をはぎとって優しく微笑した。もともと、掛け値なしの美人だから驚いてはしまう。

 


「何を気取っているのよ。そういうおバカさんなところ好きよ」

 


「言っていろ! ついてくるなよ」

 


「嫌よ~。一人って退屈よ」

 


「あんたには仲間が他にもいるだろ?」

 


「言ったでしょ。最後にはあなたのそばにいたいって」

 


「ああ、うぜえ」

 


 俺は、少し照れながら拒絶する。

 


 あれから、皆はそれぞれの道にいった。ディーテ姉は元の宝玉に戻り人ではなくなった。別に悲しくない。ディーテ姉はいつまでも宇宙と俺たちを見守っているだろう。

 


「なに、浸っているのよ。バカね」

 


 またも、笑顔で言う。よほど上機嫌らしい。

 


「あんたの笑顔は悪くはないぜ」

 


「ウフフ、ありがとう。もう、最近は幸せしか感じないのよ」

 


「あまり笑ってばかりでいると平和ボケにしか見えないが笑顔って大事だよな」

 


「そうそう、笑顔、笑顔。ゴタロウも笑って!」

 


「こうか?」

 


「不細工~。ウフフ」

 


 あのな~。俺で遊ぶなよ。サンゾウ姉貴。

 


「姉貴いい加減にしろ!」

 


「あと、姉呼ばわりはやめてね」

 


「呼び捨てか? 別にいいけどな、サンゾウ。しかし、今更だがサンゾウって女らしい名前でないな」

 


「そこは言わないで。でも私を呼んでくれてありがとう」

 


「そんなことで礼をいうなよ」

 


「だって、スカリさんがあなたを狙っているみたいだし距離を縮めないとね」

 


「あの、スカリが? 両手に花だな。いらないけどな」

 


「そういうこと言わない」

 


 最後にして生ぬるい色話で終わってしまった。だが、俺の戦いは続くだろう。生涯武人でいたい。決して楽な生き方とは言えないが性に合っている。だから、女とか不要だ。

 


「てめえ、サンゾウくっつくな!」

 


「ウフフ」

 


 まあ、でも最後には笑顔だな。俺は笑ってサンゾウを許した。

 ようやく苦行が終わりました。 


 楽しんで読んでいただけたでしょうか?

 

 少しでも、楽しんで読んでくれたのなら幸いです。

 

 今日で終了したこの話を糧に次の話の励みにしたいです。

 

 ので、感想をくれたら幸いです。と、おねだりする自分(*´∀`*)


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