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八玉(やたま)の宝玉

「ここですじゃ」

 


 無力、最弱を備えた長老っぽいじじいと呼ぶべき存在。じいさんに連れてこられたのは教会(何の宗教かしらんけど)兼防空施設になっているらしい建物だ。そこから、隠し通路にはいって奥までたどり着く。なんだかお約束の展開だ。

 


 そこにはだらしなく腹を仰向けにした猫の像があった。狸の置物みたいにだらしなく股まで広げて非常にだらしのない様だ。これが、連中の崇める救世主的な神だったら、信仰が叶っていても力及ばず終わって破滅するな。

 


八玉(やたま)(ねこ)(がみ)さまですじゃ」

 


「ですじゃ、ってな…。何これ八岐大蛇(ヤマタノオロチ)のパロディーネーム?」

 


 この猫神さまとやら、股が広い、七つはボールでも入れるのか? 丸い窪みがあり、一つだけ宝玉がはめ込んであった。

 


「ふーん。俺は財宝の価値とかわからないが値打ちがありそうだな」

 


「とんでもない! これを手にした者は宇宙の覇者になれるのですぞ」

 


「そんなものがなんでこんなところにある?」

 


 ゴタロウ=ヴィヴァルディも舐められたものである。しかし、じじいは大真面目。

 


「そのご利益で盗賊とかどうにかなったんじゃないの?」

 


「とんでもない!」

 


 またかよ。聞いてやるよ。

 


「わしらただの人間が手に触れた瞬間死にますのじゃ! これは選ばれし強者だけが手にいれることができるのですじゃ」

 


「ふ~ん、胡散臭いことこの上なしだな。それって俺なら資格があるとか言って玉を掴ませようとするんだろ? 俺が死んじゃったらどうするの?」

 


「い、いや、大丈夫ですじゃ……多分」

 


「多分ってな……」

 


 お互いが半信半疑でどうするんだよ。なにがしたいんだよ、このじじい…。

 


「お願いですじゃ、この玉はいずれ知れ渡ります。それを巡って他の覇を唱えるやから共に奪われて争奪の地になりますのじゃ」

 


「要するに戦火を避けるための厄介払いか? 弱者って手段が大概に酷いんだよな。弱いからってなんでも哀れんで手を差し出してもらえると思うなよ!」

 


 俺は怒鳴りつける。それほどキレているわけではないが言いたいことは口に出す。

 


「ヒー! 何とぞ、何とぞ、慈悲を~宝玉をお受け取りくだされ~!」

 


「何でだよ」

 


 じじいと一悶着していると、こつこつと近寄ってくる足音がくる。それが、俺に気づいて欲しいと言わんばかり存在感だ。

 


「はーい、君たち、どいてくれないから僕がそれもらってやるから」

 


 あちゃー…。屈強そうだけど見た目不細工で顎割れ顔でかいマッチョ野郎がくる。なんかシースルーなファション着ている。見たくもないごっつい筋肉とグロイ乳首が透けている。こ・い・つ・は汚物だ!

 


「誰じゃ? あんたは?」

 


「じいさん、警戒しなくていいぜ、ベーザ一味の雇われの身だが、用事はあんたらじゃなくてね」

 


「この宝玉か?」

 


「そっ。八玉の宝玉さ」

 


 じじいは一括する。そういう元気を常にしろよ。

 


「貴様なんぞ、縁も資格もない奴がくるとこではないわ! 去るのじゃ!」

 


 思うんだけどさ……俺だって、たまたま盗賊をぶち殺しただけであって…別に特別でもなんでもないと思うのだが。

 


「別に、災厄アイテムを譲れるんだからあげればいいじゃん」

 


「ゴタロウ殿はわかっておらん。確かに災厄を孕んでおるが誰にでも渡すものではない。選ばれしものだけじゃ! それに資質なしに触ろうとすると…」

 


「どけよ、じいさん」

 


 とりあえず、名前がしらんから汚物と名付ける。汚物はじいさんをどけると宝玉に触れようとする。

 


「ああ、そうそう仕事なんでな。ここに来る途上で殺っちまったよ。ここに入るなって妨害するものでな。僕は出来が良いものでね」

 


 コイツ…。

 


 殺しを誇ってはいけない。やむ得ない場合でも静かに目的に果たすことに全力を尽くす。そうでなければ殺人を楽しむだけの人間になるだけだ。そんな人間は大きな目的を遂げることはできない。師匠の考え。

 


 俺も人に暴力を振るな、なんていえる立場ではないが……他人が殺生したと告げると無性に感にはさわる。

 


 さておき、汚物が宝玉を触る瞬間に事はおきる。

 


「ベーザ一味に潜伏してみるものだ。俺も宇宙覇者争奪戦にはいれるとは…な…。あれ?」

 


 

ボン!

 

 


 そうすると、汚物は体中が破裂して爆発する。まあ、いつも俺が人を殺めている時のパターンによく似ている。ちょっと、悪党とはいえ、可愛そうなので汚物ではなく一人の男が死んだといっておくかな。グロイな。コレ。

 


「ね!」

 


 ね! じゃねえよ。あのじいさんはあれを俺に持たせようとしたんだろ? 勘弁してくれ。

 


「俺、帰るわ」

 


「待ってくだされ。まってくだされ。ゴタロウ殿は違いますのじゃ」

 


「信用できるか! ボケじじい。俺を殺す気か? 悪の元凶はアンタじゃねぇ?」

 


 反吐がでそうだ。俺は馬鹿らしくなり立ち去る。ここで、その宝玉をてにしたら、馬鹿かお人好し以下の愚か者になる。そもそも、俺は善人ではない。

 


 だが……。

 


 ―――――お持ちなさい。ゴタロウ=ヴィヴァルディよ―――――

 


 自分の頭の中で声が響くようなきがした。なんなんだ? あの、猫の像からだ! ふざけやがって! 破壊してやると俺は拳を握り近づいた。

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