長兄イチモンジと三男? サンゾウの素顔
アネイタという惑星は暗くどんよりとした世界だった。いくつもの建造物や緑化した公園のような施設も多数見かけるが景観はよくない……。正直、幼少の故郷を思い出す。今頃、親や幼馴染はどうしているかとあまり今までは考えなかったが、少しはよぎってしまう。ただ。生まれ故郷は平和だった。しかし、故郷とは似付かずここは火種の真っ最中だ。
「ところで兄貴! 俺たちはどちら側の仲間なんだ?」
「んも~。聞くのが遅いわよ! わたしらは宇宙軍側よ」
オカマの肉体改造した覆面サンゾウ兄貴が答えるが……。
「まあ、俺としてはシシロウ兄貴に再開することが第一目的なんでな」
「わかっているわよ、わたしにだって個人的な目的はあるわよ。ただ、共闘しているのは宇宙軍で敵は……」
覆面だから深刻な面持ちなのかわからないが、俺もサンゾウ兄貴と同様につばを飲み込む。
「敵はイチモンジ長兄率いる軍団とジト兄貴が統率する獄囚軍とシシロウ兄貴とファーストガヴァダヴァダンことGVDのTDR(ザ ダーク ライド)一機か…」
「ま、豪勢なこと。しかし、敵の識別はできているのね」
「昔は同士打ちとか避けてなにかシンボルを身につけたりするのがあったと聞いたことがある。俺の場合は武道家として全体の気の流れでわかるしな。個々の気の流れが何に所属するか想像できるからな」
「合格。でもね、まだ、彼らと私達は敵対したわけではないわ。出会ったら臨戦態勢しても交渉はしてね」
「シシロウ兄貴以外とは争う理由がうまれていないからな……。多分、敵視されているとは思うんだが……」
そんな中、TDRの弐号機こと、RYは可笑しな行動をとる。破壊されたGVDを拾い集めているのだ。
「なに、やっているんだ? カインの奴」
「まあ、見ていてなさいな」
これは、何かの戦法なのかと俺は見届けた。いくら、RYが主戦力とはいえ、俺らは生身で戦うのだ。奴がとちったとしても当てにはせずやり抜く気概はある。だからといって気にならないわけではないが……。
「あれは!」
「ふふふ、面白いでしょ?」
どういう仕掛けになっているかはわからないがRYは拾い集めたGVDを修理どころか分解、再構築し変形させ複数のRYを作り上げている。そして、それらはRYに付き従い飛行している。
「TDRの槍とシールドが変形して光の羽を模して光輪と化した時と似ているな」
「基本的な機能はそれと同じよ」
それじゃ、ファーストより凄いんじゃ……。負けてられないな。そう思い血を滾らせていると複数の障害物が俺たちにはばかる。
「GVD、NBか…。性能的にはTDRと変わらないとされる量産機」
「それと、ただ一人、生身で仁王立ちにしている男…」
「ひさしぶりだな。イチモンジ=キクドウ…」
兄弟弟子の長兄として尊敬はしている。年の差は離れていてイチモンジの兄はやや、中年にはいり始めている。さほど、手合わせすることもなかったので若かった時の人相しか覚えていない。だが、以前より屈強で力に溢れている印象はある。手ごわそうだな……。
「なあ、兄貴話が……」
「いえ、イチモンジ! 話があるのはまずは私の方よ」
サンゾウが割って入る。かなり憎しみがこもった語気を感じる。
「ふむ、女が太刀打ちできる術は口だけか」
「え?」
今、イチモンジの兄貴がサンゾウ兄貴を女だと……。
「なあ、サンゾウ兄貴……」
「こんな時まで、話を邪魔しないで頂戴!」
そう言うとサンゾウ兄貴は覆面を剥いだ。そこには、以前であった、スカリやミリーよりディーテ姉より凌ぐ美女がいた。ただし、不釣合いな顔の傷が目立つ。
「女とは心弱いものだな、顔に傷が残った程度で隠すとはな。その程度で猫パンチ継承をかけて勝負することがおこがましいのだ!」
「いーえ! 人相が目立つから隠していただけ」
いや、覆面していた方が印象に目立つと思うとちゃちはいれないとする。しかし、美貌からしても人が近づくだけだからな。それほど、掛け値なしの美人だった。しかし、今まで、サンゾウをオカマと思っていた俺はいったい……。
「イチモンジ! あなたのおかげで武人としての覚悟はできたわよ。感謝している」
「しかし、私はお前たち誰ひとり受け入れぬぞ。肩ならしに女のお前と末弟を血祭りするつもりだ」
交渉の余地全然ないじゃん。別にいいけど。
「イチモンジの兄貴! 最強はシシロウ兄貴だとおもっている。小手調べするのは俺たちの方だぜ?」
「ぬかしよるわ! 小僧ができるのは威勢をはるだけよ」
「もう、ゴタロウ勝手に喧嘩売らないでよね!」
いや、サンゾウ兄貴……じゃなく姉貴、あんた、無茶苦茶私怨晴らす気でいるじゃないか! 気のせいにみえないぞ。
「かかれ!」
そうこうしているうちにイチモンジ兄貴とGVD、NBが向かってくる。ここでバトルか!




